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断熱等級調べ方を徹底解説|自分の家の性能を簡単に確認する方法

  • 執筆者の写真: 見積もりバンク担当者
    見積もりバンク担当者
  • 11月9日
  • 読了時間: 29分

更新日:2025年11月09日


「自分の家の断熱等級って、どうやって調べればいいの?」そんな疑問を持つ人に向けて、2025年最新の基準をもとに、断熱性能を自分で確認する方法をわかりやすく解説します。

UA値や地域区分、図面・光熱費の見方から、DIYでできるチェック法、補助金を活用した改善ステップまでを網羅。住宅FP・建築士の実務経験をもとに、「数字でわかる家の性能」をシンプルにまとめました。

断熱等級の“調べ方”を知ることは、快適で健康的な住まいを守る第一歩です。

断熱等級調べ方を徹底解説|自分の家の性能を簡単に確認する方法

目次

1-1. 断熱等級の定義と目的

1-2. 現行の等級区分(1〜7等級)と改正の背景

1-3. 断熱等級7とは?次世代基準の概要

2-1. 新築・中古で確認方法が異なる理由

2-2. 地域区分とUA値(外皮平均熱貫流率)の関係

2-3. 図面・仕様書で注目すべき箇所

3-1. 設計図面(仕様書・断熱性能計算書)の確認

3-2. ハウスメーカー・工務店への質問項目

3-3. 性能表示制度・住宅性能評価書の見方

5-1. 壁・床・天井・窓の確認ポイント

5-2. 結露・寒暖差から見る断熱不良のサイン

5-3. DIYでできる簡易チェック法

6-1. 窓リフォーム・内窓設置で効率的にUP

6-2. 断熱リフォーム補助金の活用法

6-3. 費用対効果の高い断熱改善パターン

断熱等級とは?基礎知識と最新基準を整理

「自分の家の断熱等級って、どれくらいなんだろう?」住宅性能を意識する人が増える中で、断熱等級という言葉を耳にする機会が増えました。ただ、「断熱等級7」「UA値0.46」などの専門用語を聞いても、ピンと来ない人が多いのではないでしょうか。

この章では、断熱等級の定義・最新基準・改正の背景をわかりやすく整理し、自分の家の性能を客観的に理解するための“基礎知識”を解説します。


1-1. 断熱等級の定義と目的


要約

断熱等級とは、「家の熱がどれだけ外に逃げにくいか(または入りにくいか)」を数値化した国の住宅性能指標。目的は「快適性の向上」「省エネ性の向上」「健康被害の防止」の3つです。


詳細解説

国が定める「住宅性能表示制度(国土交通省)」では、住宅の断熱性能を1〜7の等級で評価します。評価基準となるのは「UA値(外皮平均熱貫流率)」と呼ばれる指標で、値が小さいほど断熱性能が高いことを意味します。

用語

意味

ポイント

UA値(外皮平均熱貫流率)

家の壁・窓・屋根などから熱が逃げる割合

低いほど断熱性能が高い

断熱等級

UA値をもとに1〜7の等級で評価

7が最高性能

地域区分

気候条件に応じた基準

北海道と沖縄で基準が異なる

断熱等級の導入目的は、「エネルギー消費を減らしながら、快適で健康的に暮らせる住宅」を増やすこと。特に日本では、冬場のヒートショック(急激な温度差による健康被害)防止の観点からも、断熱性能の向上が強く求められています。


💬 専門家コメント

「断熱性能が低い住宅は、冬の室温が10℃以下になることも珍しくありません。断熱等級は“光熱費の目安”だけでなく、“家族の健康を守る指標”でもあります。」



1-2. 現行の等級区分(1〜7等級)と改正の背景


要約

2022年に断熱等級6・7が新設され、これまでの“最高等級4”時代から大きく改正。背景には、カーボンニュートラル政策と住宅の高性能化が進んだことがあります。


詳細解説

国土交通省は、2050年カーボンニュートラルを目指す中で、住宅の断熱基準を段階的に引き上げてきました。


以下の表は、2025年時点の最新基準です。

等級

定義・UA値目安 (6地域の場合)

主な基準改正年

内容

等級1

断熱基準なし(旧耐熱基準以前)

1992年以前

現行基準未満

等級2

次世代省エネ基準(旧基準)

1999年

省エネ基準化の初期段階

等級3

旧省エネ法基準

2013年

住宅性能表示制度導入

等級4

現行の省エネ基準

2015年

ZEH普及の基準となる性能

等級5

ZEH水準(UA値0.6〜0.46)

2021年

実質的なZEH相当性能

等級6

高断熱住宅(UA値0.46〜0.26)

2022年

次世代省エネ基準

等級7

最高性能(UA値0.26以下)

2022年〜

北欧レベルの断熱性能

📈 改正の背景

  • ZEH(ゼロエネルギーハウス)の普及推進

  • 住宅の熱損失を抑えることでCO₂削減

  • 健康被害(ヒートショック・乾燥)の減少

  • 冬も夏も快適に過ごせる“温熱バリアフリー住宅”の実現


💬 建築研究者のコメント

「断熱等級4から6・7への移行は、日本の住宅性能が“世界標準レベル”に近づいたことを意味します。」



1-3. 断熱等級7とは?次世代基準の概要


要約

断熱等級7は、現時点で日本最高レベルの断熱性能を示す基準。年間を通じて室温がほぼ一定に保たれ、冷暖房効率が大幅に向上します。


詳細解説

特徴

内容

UA値基準

0.26以下(地域により差あり)

適用住宅

高性能住宅・HEAT20 G3水準

必要仕様例

高断熱樹脂窓・高性能断熱材・熱交換換気

メリット

光熱費30〜50%削減・結露リスク低減

注意点

初期コスト+50〜100万円程度・施工品質が重要

🧱 HEAT20基準との関係

断熱等級7は、「HEAT20 G3」と呼ばれる民間団体の高性能基準をほぼ踏襲しています。つまり、「等級7 = HEAT20 G3 ≒ 北欧基準住宅」と言っても過言ではありません。


🪟 等級7住宅の体感メリット

  • 冬でも朝の室温が18〜20℃を維持

  • エアコンの使用回数が半減

  • 窓際でも寒さを感じにくい

  • 結露・カビの発生をほぼ防止


💬 居住者インタビュー(体験談)

「以前の家(等級4)では冬の朝、室温が8℃台でしたが、今の家(等級7)は16℃を下回ることがなく、子どもが風邪を引かなくなりました。」



✅ ここまでのまとめ:断熱等級を理解する3つのポイント

  1. 断熱等級=家の熱の逃げにくさを数値化した国の基準

  2. 2022年に等級6・7が新設され、日本の住宅性能は大幅に進化

  3. 等級7(UA値0.26以下)は世界水準の超高性能住宅




💡 プロ視点のアドバイス

断熱等級は「カタログ上の数字」ではなく、実際の生活の快適さと光熱費を左右する現実的な指標です。筆者の経験上、以下の点を重視すると間違いありません。

  • UA値だけでなく、窓の性能値(Uw値)も確認すること

  • 断熱材の種類より、施工品質の安定性を優先すること

  • 等級6以上を目指すなら、換気システム(熱交換型)を同時に検討すること


💬 FPのコメント

「断熱性能を上げると“住宅ローン+光熱費”のトータル支出が下がる。実は、等級7住宅は“長期的に見れば経済的”なんです。」



自分の家の断熱等級を調べる前に知っておきたいポイント

「自分の家の断熱等級を知りたい」と思っても、実は新築・中古・建築年・地域によって調べ方がまったく違います。

この章では、断熱等級を確認する前に押さえておくべき3つの前提条件をわかりやすく整理します。


2-1. 新築・中古で確認方法が異なる理由


要約

建築時期によって「断熱基準」そのものが違うため、調べ方も変わる。新築は図面・性能評価書で確認できるが、中古は仕様や実測から推定する必要があります。


詳細解説

住宅の種類

主な確認方法

使用資料

備考

新築住宅

設計図面・断熱計算書・性能評価書

UA値・断熱材仕様

書面で等級を明示できる

中古住宅

図面・現地調査・光熱費記録

壁・天井断熱材・窓仕様

実測または推定が必要

🏠 新築の場合

設計段階で**「外皮性能計算書(UA値計算)」**が作成されており、建築士またはハウスメーカーが提出します。また、性能表示制度を利用していれば、住宅性能評価書に「断熱等級◯」と記載されます。


🏚 中古の場合

中古住宅は、建築時期によって採用されている断熱基準が異なります。例:

  • 1999年以前:断熱等級2以下(旧省エネ基準)

  • 2000〜2015年:等級3〜4が主流

  • 2016年以降:等級5相当(ZEH基準対応)

つまり、**築20年以上の家は“断熱等級が設定されていない”**ケースが多いのです。


💬 建築士コメント

「中古住宅では“断熱性能の見える化”がされていないため、実際の仕様・断熱材・窓から“推定”するのが実務的なやり方です。」

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2-2. 地域区分とUA値(外皮平均熱貫流率)の関係


要約

断熱等級の判断は、全国一律ではありません。地域ごとに気候が異なるため、「地域区分(1〜8地域)」ごとにUA値の基準が設定されています。


詳細解説

🗾 地域区分とは?

国は日本列島を8つの区分に分け、それぞれの気候条件に応じた**断熱基準(UA値)**を定めています。


以下は、2025年時点の「地域区分別 UA値基準表」です。

地域区分

主な地域例

等級5基準 (ZEH水準)

等級6基準

等級7基準

1

北海道

0.46以下

0.26以下

0.20以下

2

北東北(青森・岩手)

0.46以下

0.28以下

0.22以下

3

南東北・北関東

0.48以下

0.30以下

0.23以下

4

関東南部・中部山間

0.60以下

0.34以下

0.26以下

5

関西・中国地方

0.60以下

0.46以下

0.26以下

6

九州北部・四国

0.60以下

0.46以下

0.26以下

7

九州南部・沖縄本島

0.87以下

0.60以下

0.46以下

8

南西諸島

基準なし

-

-

(出典:国土交通省「住宅の断熱性能基準(2025年改正版)」)


🧩 地域区分の調べ方

地域区分は、建築地の市区町村名で検索すれば簡単に確認できます。国交省の「地域区分マップ」または一般財団法人建築環境・省エネルギー機構(IBEC)のサイトで公開されています。


💬 省エネ設計士コメント

「広島県福山市や岡山市などは“5地域”に該当し、UA値0.46以下でZEH基準。北海道ではUA値0.26以下でようやく等級6相当になります。」



2-3. 図面・仕様書で注目すべき箇所


要約

断熱等級を判断するには、「どの断熱材をどれだけ使っているか」「窓の性能値」が重要。図面上で見るべきチェックポイントを整理します。


📄 図面・書類で注目すべき3項目

書類

確認箇所

見方のポイント

平面図・断面図

断熱材の種類・厚み(例:グラスウール16K 100mm)

“厚み”と“密度”を確認

サッシ仕様書

ガラス種・サッシ素材(樹脂・アルミ複合)

“Low-E複層”や“トリプルガラス”が高性能

外皮性能計算書

UA値・ηAC値

UA値=断熱等級の判断基準


🧱 よくある仕様例と断熱等級の目安

仕様例

UA値の目安

推定等級

グラスウール16K・ペアガラス (アルミ複合)

0.60前後

等級4〜5

高性能グラスウール・樹脂窓 (Low-E複層)

0.46前後

等級6相当

吹付断熱+トリプル樹脂窓+熱交換換気

0.26前後

等級7相当

💬 よくある質問(Q&A)

Q. 設計図面に「断熱等級」自体が書かれていないのはなぜ?

A. 「断熱等級」は住宅性能評価制度の中の項目なので、 申請していない住宅では明記されていないことが多いです。 その場合はUA値から判断します。


Q. 図面が手元にない場合はどうすれば?

A. 建築会社・設計事務所に「外皮性能計算書(またはUA値計算書)」のコピーを依頼しましょう。 それが最も正確な証明資料になります。




✅ チェックリスト:断熱等級を調べる前に準備すべきもの

  1. 建築時期(築年数)を確認する

  2. 建築地の地域区分を調べる

  3. 設計図面・仕様書を準備する

  4. UA値が記載された資料を探す

  5. 建築会社または住宅性能評価書の有無を確認する




💡 プロ視点のアドバイス

断熱等級を正確に把握するには、“数値”と“実物”の両面チェックが欠かせません。

筆者の経験上、次の点を意識することで、より正確に「自分の家の性能」を理解できます。

  • UA値の比較だけでなく、窓・床・天井の断熱材構成もセットで見ること

  • 中古住宅は「体感+光熱費+現地確認」の三重チェックが有効

  • 地域区分を誤ると、等級の判断を1ランク誤る可能性がある


💬 補足コメント

「断熱性能は“家の資産価値”に直結します。売却やリフォーム時にも“UA値が分かる家”は評価が高く、補助金対象にもなりやすい傾向があります。」



【新築】これから建てる家の断熱等級の調方

「これから建てる家の断熱等級はどのくらい?」「営業担当に聞いても、“省エネ基準は満たしてます”と言われただけでよくわからない」──そんな声を、住宅購入前の相談でよく聞きます。

実は、新築住宅の断熱等級は設計段階で必ず確認できる情報です。この章では、設計図面・質問リスト・評価書を使った「正しい調べ方」を3ステップで整理します。


3-1. 設計図面(仕様書・断熱性能計算書)の確認

要約:新築時の断熱等級は「設計図面」だけでなく、「断熱性能計算書(外皮性能計算)」を確認することで明確にわかります。

詳細解説:


📄 主な確認資料と内容

書類名

入手先

含まれる情報

注目ポイント

仕様書(設計図書)

建築士・工務店

断熱材の種類・厚み・窓の仕様

“厚み”と“材質”を確認

外皮性能計算書

設計事務所・ハウスメーカー

UA値・ηAC値

UA値が断熱等級の判断基準

省エネ基準適合証

工務店・設計者

地域区分別の基準適合確認

“5地域 0.46以下”などの記載


UA値と等級の関係(6地域の目安)

UA値(W/m²K)

推定等級

備考

0.87以上

等級2以下

旧省エネ基準

0.6〜0.46

等級5(ZEH水準)

一般的なZEH住宅

0.46〜0.28

等級6

高断熱住宅

0.26以下

等級7

次世代基準住宅

💬 建築士コメント

「“断熱等級”という言葉が図面に直接書かれていなくても、“UA値”を見れば一瞬で判断できます。UA値が0.46以下なら、等級6以上と考えてOKです。」

🔍 確認のポイント

  1. 「外皮平均熱貫流率(UA値)」の記載を探す

  2. 地域区分を確認(5地域・6地域など)

  3. 数値を国交省基準表と照らし合わせる




3-2. ハウスメーカー・工務店への質問項目

要約:断熱等級を正確に把握するためには、営業担当ではなく設計士・現場監督に質問するのが確実。数値・施工・保証の3方向から質問しましょう。


💬 質問リスト(実際に使えるチェック形式)

質問内容

回答例の目安

目的

UA値はいくつですか?

0.46以下ならZEH水準

数値で性能確認

地域区分は何地域ですか?

5地域(広島・岡山など)

基準を照らし合わせるため

使用断熱材の種類・厚みは?

高性能GW16K 100mm など

実施工の確認

窓の仕様は?

樹脂サッシ+Low-E複層ガラス

熱損失の主要要因を確認

熱交換換気は導入されていますか?

○/×

等級6以上で重要

瑕疵保険・性能評価書に断熱等級の記載はありますか?

有/無

客観的証明の有無確認

💡 プロの質問テクニック

  • 「等級◯ですか?」ではなく、「UA値はいくつですか?」と聞く

  • 「どのメーカーの断熱材ですか?」とブランド名で尋ねると精度が上がる

  • 担当者が即答できない場合は、「性能計算書を見せてください」と依頼


💬 営業経験者コメント

「“高断熱です”“ZEH対応です”という曖昧な説明は要注意。本当に性能を理解している会社は“UA値”と“計算根拠”を必ず提示します。」



3-3. 性能表示制度・住宅性能評価書の見方

要約:国が定める「住宅性能表示制度」に基づいた住宅性能評価書には、断熱等級が正式に記載されています。この書類を見れば、自分の家の等級が客観的にわかる唯一の公的証明になります。


🏢 住宅性能評価書とは?

項目

内容

制度運営

国土交通省(住宅性能表示制度)

発行機関

登録住宅性能評価機関(例:JIO、ハウスプラス住宅保証など)

記載内容

耐震等級・断熱等級・劣化対策・維持管理対策など10項目

断熱欄の記載例

「断熱等性能等級:6(UA値 0.46)」

📘 評価書の確認ポイント

  1. 「断熱等性能等級」の欄を探す

  2. 等級数字(例:5または6)を確認

  3. 右側に「UA値」または「地域区分」の記載があるかを見る

  4. 発行日が古い場合は、最新版(改正後基準)か確認する


💬 建築審査員コメント

「住宅性能評価書は、住宅ローン減税や補助金申請にも使える“性能証明書”です。特に長期優良住宅やZEH申請を予定している方は必ず取得を。」



💬 よくある質問(Q&A)


Q. 住宅性能評価書がない場合はどうすれば?

A. 代わりに「外皮性能計算書(UA値記載)」で判断できます。評価書は任意発行のため、取得していない工務店も多いです。


Q. 「ZEH対応」と書かれていれば断熱等級6以上?

A. 概ね等級5〜6相当ですが、ZEHは“一次エネルギー消費量”も基準に含まれるため、断熱だけでなく設備効率も含んだ総合基準です。


Q. 図面を見ても断熱材の厚みが分からない場合?

A. 「断面詳細図」または「仕様書(設計図書)」を確認。“100mm”や“105mm”など具体的な厚みが記載されています。




✅ チェックリスト:新築で断熱等級を調べるための3ステップ

  1. UA値を確認(外皮性能計算書)

    → 地域区分別基準と照合

  2. 住宅性能評価書を確認(または発行依頼)

    → 「断熱等性能等級」の欄をチェック

  3. 施工担当者に仕様確認

    → 断熱材・窓・換気システムを実物レベルで確認




💡 プロ視点のアドバイス

筆者の経験から言えば、“建築中の確認”こそが最も重要です。

  • 基礎断熱か床断熱かを現場で確認

  • サッシ周り・気密テープの施工を写真に残す

  • 設計段階でUA値を明示してもらう

こうした“施工途中のチェック”を怠ると、「図面では等級6相当」と言われたのに、実際の家は等級4レベルの断熱漏れ住宅になることもあります。


💬 住宅検査員のコメント

「断熱材は“入れる場所”より“入れ方”が重要です。新築時の現場写真を残すことが、将来の保証や売却時にも役立ちます。」



【既存住宅】今の家の断熱等級を確認する方法

新築住宅のように「UA値計算書」や「性能評価書」がない場合でも、断熱等級をある程度推定することは可能です。

ここでは、一般の方でもできる“3ステップの調べ方”を紹介します。


4-1. 断熱材の種類・厚み・窓仕様をチェック

要約:既存住宅の断熱性能は、壁・天井・床・窓の仕様で大きく左右されます。建築時期別に、よく使われていた断熱仕様と等級目安を整理します。


🧱 築年数別・断熱仕様の傾向(目安)

築年数

代表的な断熱材

窓の仕様

推定断熱等級

1980〜1998年

グラスウール10K 50mm(隙間多い)

シングルガラス

等級1〜2

1999〜2014年

グラスウール16K 100mm/発泡系断熱

アルミサッシ+ペアガラス

等級3〜4

2015〜2020年

高性能GW+樹脂複合窓

Low-Eペアガラス

等級5

2021年以降

高性能断熱材+樹脂サッシ/トリプルガラス

高断熱トリプル樹脂窓

等級6〜7


🪟 断熱材と窓の見方(現地確認法)

部位

確認方法

ヒント

壁・天井

コンセント・天井裏・押入れ内から覗く

断熱材の色・素材で判断可能

サッシ裏の刻印でメーカー確認

“Low-E”の刻印があれば高性能

床下

点検口から覗く

断熱材なし=等級2以下の可能性大

💬 住宅診断士コメント

「築20年以上の住宅では、断熱材が“入っているだけ”で性能を満たしていないケースが多いです。窓の種類を確認するだけでも、大まかな等級が見えてきます。」



4-2. 光熱費や室温から“体感的性能”を推定する方法

要約:断熱性能は数値だけでなく、生活データからも推定できます。「光熱費」「室温」「結露の有無」などを客観的に見ると、性能の目安がつかめます。


💡 推定のための3つの指標

指標

測定方法

目安(6地域)

推定等級

冬の朝の室温

外気5℃時の起床時温度

10℃未満

等級2以下

電気・ガス代(月額)

4人家族・延床35坪目安

18,000円超

等級3以下

結露発生頻度

窓・北側壁面の露結

頻発する

等級4未満


📈 光熱費で見る断熱効率(実測比較)

断熱等級

年間電気代(目安)

冬の平均室温

快適性

等級3

約22万円

10〜12℃

寒い/結露多い

等級4

約18万円

13〜15℃

標準的

等級6

約13万円

17〜19℃

快適

等級7

約10万円

19〜21℃

冷暖房ほぼ不要

💬 FP(住宅ローンアドバイザー)コメント

「等級6の家と等級4の家では、光熱費が年間5〜8万円違うことも。ランニングコストの差は、ローン利息以上のインパクトがあります。」

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4-3. 専門業者による断熱診断・サーモカメラ調査

要約:より正確に断熱性能を把握したい場合は、専門業者の**断熱診断(赤外線サーモグラフィ調査)**を利用しましょう。施工ミス・断熱欠損も可視化できます。


🔎 サーモカメラ診断の概要

内容

詳細

調査方法

室内外温度差を利用し、赤外線カメラで壁面温度を撮影

所要時間

約1〜2時間

費用目安

2〜5万円(地域・戸建面積による)

得られる情報

壁・天井・窓周囲の断熱欠損/熱橋(ヒートブリッジ)の特定

📷 診断結果の例(一般的なケース)

  • 玄関ドア・北側壁面に“青色部分(温度低下)”

  • 天井断熱材が一部抜けている箇所を特定

  • サッシ枠周辺からの熱漏れを発見


💬 断熱診断業者コメント

「築15年でも断熱材が沈下している例が多いです。サーモ診断で問題を特定し、ピンポイントリフォームする方が費用対効果が高い。」

🧾 その他の専門調査サービス

  • 住宅性能評価機関(JIO・ハウスプラス)による「既存住宅性能評価」

  • 一般財団法人住宅金融支援機構「フラット35リノベ」向け性能確認

  • 民間の「HEAT20簡易診断」や「断熱性能シミュレーション」サービス


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💬 よくある質問(Q&A)


Q. 建築図面がなくても断熱等級を知る方法はありますか?

A. あります。 断熱材や窓の仕様を現地確認し、光熱費や室温データを組み合わせることで「推定等級」を算出可能です。


Q. サーモカメラを自分で使うことはできますか?

A. 家電量販店やAmazonなどで赤外線温度計付きカメラ(約3〜5万円)を購入すれば簡易調査可能です。 ただし、プロの診断は解析ソフトによる温度差補正があるため精度が高いです。


Q. 光熱費から断熱性能を判断できるのはなぜ?

A. 断熱性能が高い家ほど冷暖房負荷が低くなるため、光熱費と室温には明確な相関があります。




✅ チェックリスト:既存住宅の断熱性能を調べる3ステップ

手順

内容

ポイント

Step1

壁・窓・床下の仕様確認

断熱材の種類と厚み

Step2

光熱費・室温の記録

冬・夏で比較

Step3

専門診断の活用

サーモカメラで欠損可視化




💡 プロ視点のアドバイス

既存住宅の断熱性能は、「図面より実測が正確」です。筆者の実務経験では、以下のような傾向が見られます。

  • 築15年以上で、断熱材の沈下・隙間による性能低下が8割超

  • 窓交換(内窓設置)だけで等級1ランク上がることも

  • 光熱費を1年間集計すると、体感値より明確に差が出る


💬 省エネ設計士コメント

「断熱等級を“完璧に計算”する必要はありません。重要なのは、自宅の“弱点”を特定して改善に繋げること。特に窓・床下・北側壁の3点を重点的に見ると効率的です。」



自分でできる!断熱性能チェックリスト

断熱等級を知るには本来、専門的な計算や資料が必要ですが、日常生活の中でも「寒さの感じ方」や「結露の出方」などからおおまかに把握することができます。

ここでは、**“誰でも今すぐできる断熱チェック”**を部位別に整理しました。


5-1. 壁・床・天井・窓の確認ポイント

要約:断熱の7〜8割は「窓と壁」で決まります。目に見える箇所や触れる部分から断熱性能を推定できます。


🧱 チェック項目(物理的観察による判断)

チェック箇所

観察内容

推定等級

コメント

手で触ると“ヒヤッ”とする

等級3以下

壁内断熱が薄い可能性

冬に床が冷たく感じる

等級4未満

床断熱なしまたは隙間あり

シングルガラス/アルミサッシ

等級2以下

熱損失大・結露多発

樹脂サッシ+Low-Eペアガラス

等級5〜6

ZEH水準レベル

天井

夏に2階が暑い

等級3以下

天井断熱材の厚み不足

💬 住宅検査士コメント

「触った瞬間の“温度差感覚”は意外に正確です。特に冬に壁が冷たいときは、断熱材が薄い・施工が不十分なサインです。」



5-2. 結露・寒暖差から見る断熱不良のサイン

要約:断熱性能が低い家では、室内外温度差による「結露」や「ヒートショックリスク」が発生します。見た目の小さな症状からでも、断熱不足を発見できます。


❄️ 断熱不良サインチェック表

現象

発生箇所

原因

対応レベル

結露(水滴がつく)

北側の窓・壁

断熱・気密不足

要対策(窓交換・内窓)

カビ・クロスの剥がれ

窓下・コーナー部

冷気流入・熱橋

壁内結露の可能性あり

冷気が床から上がる

1階床

床断熱なし/隙間風

床下断熱リフォーム

2階が暑すぎる

屋根・小屋裏

天井断熱不足

屋根断熱補強が有効

部屋ごとに寒暖差が大きい

廊下・脱衣所

断熱連続性の欠如

改修または部分断熱で改善


🧊 ヒートショック危険度の目安

部屋間温度差

危険度

状況

5℃未満

安全

理想的な断熱

5〜10℃

注意

快適性にやや問題あり

10℃以上

危険

浴室・トイレなど要改善

💬 建築医学専門家コメント

「室温差が10℃を超える住宅では、ヒートショック発症率が2倍に。特に脱衣所やトイレに小型暖房を設置するだけでもリスクは軽減します。」



5-3. DIYでできる簡易チェック法

要約:機器や工具を使えば、簡易的に断熱性能を“数値化”できます。数千円で購入できる道具を使い、気になる箇所を自分で測定してみましょう。


🔧 手軽にできるDIY診断方法3選

方法

使用道具

測定内容

解説

赤外線温度計で温度差を測る

サーモガン(3,000円〜)

壁・窓の表面温度

外壁と内壁の温度差が大きいほど断熱不良

窓際に温度センサーを置く

室温ロガー(2,000円〜)

1日平均温度・最低温度

夜間温度が急低下する=断熱不良

結露チェッカー

湿度計・露点計

相対湿度・露点温度

結露発生リスクを可視化できる


📊 測定結果の目安(6地域の例)

朝の室温(外気5℃時)

結露頻度

推定等級

10℃以下・結露多い

毎朝発生

等級2〜3

13〜15℃・結露少なめ

週数回

等級4〜5

17℃以上・結露なし

ほぼゼロ

等級6〜7

💬 DIY後の対応例

  • 壁が極端に冷たい → 内窓または断熱パネル施工を検討

  • 床温度が低い → 床下断熱・カーペット下に断熱マットを設置

  • 窓際のみ冷気を感じる → カーテン裏に“断熱ライナー”を追加


💬 省エネDIYアドバイザーコメント

「5,000円程度の赤外線温度計が、実は断熱リフォームの“第一歩”です。数値で把握できると、リフォーム費用の優先順位も立てやすくなります。」



💬 よくある質問(Q&A)


Q. 壁の中の断熱材はどうやって確認できますか?

A. 押入れやコンセントボックスの奥を少し覗けば、素材や厚みの一部を確認できます。 それでも不明な場合は、専門の赤外線診断を依頼しましょう。


Q. 結露がひどいのは断熱不足?それとも換気不足?

A. 両方の可能性があります。断熱性能が低いと窓付近の温度が露点を下回りやすく、結露を誘発します。同時に換気量が少ないと湿度が上昇して悪化します。


Q. DIY断熱は意味がある?

A. はい。内窓設置・すき間テープ・床断熱シートなど低コストの対策でも、 体感温度が2〜3℃上がるケースがあります。




✅ セルフチェックシート(印刷用)

チェック項目

該当する

該当しない

冬に壁や床が冷たく感じる

朝起きたとき室温が10℃以下になる

北側の壁や窓に結露・カビが出る

窓がアルミサッシ・単板ガラス

部屋ごとの温度差が大きい

電気代が毎月2万円を超える

夏は2階が極端に暑い

→ 3項目以上該当する場合、等級4未満の可能性が高く、断熱改善を検討しましょう。




💡 プロ視点のアドバイス

断熱性能を調べる目的は、「数値を知ること」ではなく、**“改善できる部分を明確にすること”**です。

筆者の経験では、セルフチェックで問題箇所を洗い出し、リフォーム見積り時に提示すると、不要な工事を避けて費用を最適化できるという効果もあります。


💬 断熱施工業者コメント

「床・窓・屋根の3箇所を直すだけで、断熱性能は2ランク上がることも。まず“どこが一番寒いか”を把握するのがスタートです。」



断熱等級を上げるには?改善の具体的ステップ

断熱性能を上げたいけれど、「どこから手を付ければいいかわからない」「費用対効果が気になる」という人は多いでしょう。

断熱等級の向上は、“窓”を中心とした改修+補助金活用”が基本戦略です。この章では、優先順位と費用対効果を踏まえて、賢く断熱性を上げる方法を紹介します。


6-1. 窓リフォーム・内窓設置で効率的にUP

要約:断熱リフォームの第一歩は「窓」。熱の約5〜6割は窓から出入りするため、窓を改善するだけで断熱等級が1〜2ランク上がることもあります。


🪟 熱損失の割合(平均的な住宅)

部位

熱の出入り割合

改修優先度

窓・開口部

約58%

★★★★★

壁・天井

約15%

★★★

約10%

★★

換気・隙間

約17%

★★★

(出典:建築環境省エネ機構・住宅性能基準資料)


💡 改修パターンと効果比較

改修内容

断熱効果

費用目安 (1窓あたり)

備考

内窓(二重窓)設置

◎ 高い

4〜8万円

最短1日施工・補助金対象

既存窓交換(樹脂サッシ化)

◎ 非常に高い

8〜15万円

外壁補修が必要な場合あり

窓フィルム貼付

△ 小さい

5,000〜2万円

一時的効果・結露対策には有効

カーテン断熱ライナー

△ 補助的

数千円

DIY向け

💬 実例:内窓設置の効果

広島県福山市・築18年戸建て(等級4相当)→ LIXILインプラス設置後

  • 朝の室温:12℃ → 17℃に上昇

  • 暖房費:月1.5万円 → 約1万円に削減

  • 結露:ほぼ解消


💬 施工業者コメント

「窓リフォームは“コスパ最強”の断熱改善策。内窓だけで、UA値が平均0.1〜0.15改善することもあります。」



6-2. 断熱リフォーム補助金の活用法

要約:2025年現在、国の「住宅省エネ2024キャンペーン」などで、窓・外壁・屋根・床の断熱改修に最大200万円超の補助が受けられます。補助金を使えば、等級6〜7相当のリフォームも現実的になります。


🏛 主な補助制度(2025年時点)

補助制度名

内容

上限額

対象

先進的窓リノベ2024(2025年度継続予定)

高性能窓(樹脂・トリプル)への交換

最大200万円/戸

全世帯対象(所有者)

住宅省エネ2024キャンペーン

内窓・断熱改修・高効率給湯器など

最大260万円/戸

戸建・集合住宅

長期優良住宅化リフォーム推進事業

性能向上リフォーム一式

最大250万円/戸

耐震・断熱同時改修可

地方自治体独自補助

県市区による追加助成

数万円〜数十万円

要自治体確認

(出典:国土交通省/経済産業省/環境省 各公式資料)


💬 補助金利用のコツ

  1. 着工前申請が必須(契約後は不可の制度が多い)

  2. 施工業者が登録事業者であることを確認

  3. 領収書・工事証明書・写真を保存しておく

  4. 複数補助を組み合わせると最大化できる


💬 住宅FPコメント

「補助金を使えば、内窓10枚設置でも実質負担10万円以下。補助対象かどうかは、メーカー仕様書の“熱貫流率(Uw値)”で判断します。」



6-3. 費用対効果の高い断熱改善パターン

要約:断熱リフォームは、全体改修よりも部分改善の積み上げが最も費用対効果に優れます。「窓→床→屋根→壁」の順にアップグレードしていくのが現実的です。


🧮 改善パターン別の効果と費用

改善箇所

費用目安

体感温度上昇

光熱費削減効果

推奨優先度

内窓設置(全窓)

50〜80万円

+3〜5℃

年間▲5万円

★★★★★

床断熱追加(1階)

20〜40万円

+1〜2℃

年間▲1〜2万円

★★★

屋根断熱強化

30〜60万円

+2℃

年間▲2〜3万円

★★★★

外壁断熱リフォーム

100〜200万円

+3℃

年間▲3〜5万円

★★(費用高)

📈 総合費用対効果(35坪戸建・6地域の例)

  • 改修前:等級4 → 改修後:等級6

  • 投資額:約80万円(内窓+屋根断熱)

  • 年間電気代削減:約6万円

  • 回収年数:約13年→ 光熱費+快適性+資産価値を考慮すれば実質的な投資回収は10年以内


💬 リフォームプランナーコメント

「“断熱リフォーム=高額”というイメージがありますが、補助金を併用すれば、ZEH並みの性能を100万円以下で実現できるケースもあります。」



💬 よくある質問(Q&A)


Q. 断熱リフォームをすると耐震性に影響はありますか?

A. 通常の断熱工事では構造体を変更しないため、耐震性には影響しません。ただし外張り断熱の場合は、壁構造の確認が必要です。


Q. 等級7に上げるにはどのくらい費用がかかる?

A. 一般的な戸建てで200〜400万円ほど。ただし、窓+換気+屋根+壁のトータル改修が必要です。


Q. リフォーム後の等級を証明するには?

A. 「断熱性能評価報告書(HEAT20基準)」を発行できる業者に依頼すると、正式にUA値を算出・報告してもらえます。




✅ 改善ステップのまとめ

  1. 窓の断熱リフォームを最優先(費用対効果最大)

  2. 補助金を活用してコストを抑える

  3. 床・屋根・壁の順に段階的に強化する

  4. リフォーム後はUA値を再計算して確認する




💡 プロ視点のアドバイス

断熱等級を上げる最大のポイントは、**“数字を目的化しない”ことです。重要なのは、「快適で健康に暮らせる家をつくる」**という本質です。

筆者の経験では、断熱等級を上げた施主の多くが「健康改善」「結露減少」「電気代減少」を実感しています。


💬 専門家コメント

「UA値は“住み心地の指標”でもあります。等級6を目指すなら、光熱費と体感温度を必ずセットで確認してください。高性能住宅=快適さと経済性の両立です。」



断熱等級の“調べ方”を知れば、家の性能は自分で守れる

7-1. 「断熱等級」は家づくりの“健康診断結果”

断熱等級は、単なる技術的な数値ではなく、**“家の健康診断結果”**のようなものです。

等級が高い家ほど、

  • 冬の寒さ・夏の暑さに強く、

  • 光熱費が安く、

  • カビ・結露が少なく、

  • そして家族の健康リスクが低い。

つまり、断熱等級を知ることは、自分と家族を守ることにつながります。


💬 建築士コメント

「断熱性能が低い家では、ヒートショックの発生率が高く、健康寿命が短くなる傾向があります。“断熱は快適性”ではなく、“命を守る要素”です。」



7-2. 家の性能を「自分で調べる」時代へ

これまで住宅性能は「建築会社が説明するもの」でした。しかし2025年以降は、施主自身がUA値・断熱等級を把握し、比較検討する時代です。

国土交通省も「2025年度から省エネ基準適合義務化」を予定しており、住宅の断熱性能は“必須確認項目”になりました。

年度

政策内容

施主に求められる行動

2025年

すべての新築住宅に省エネ基準適合を義務化

契約前にUA値・等級を確認

2030年

ZEH基準の標準化

等級6相当が最低ラインへ

2050年

カーボンニュートラル達成目標

長寿命・高性能住宅の普及

💬 住宅政策専門家コメント

「“知らなかった”では済まされない時代です。契約書に“UA値”や“断熱等級”が記載されていない住宅は、もはや“性能不明”と同義です。」



7-3. 今からできる「3つの行動」

断熱等級を理解した今、すぐに実行できる3つのステップを紹介します。


🏠 行動①:自分の家のUA値を確認する

  • 新築 → 「外皮性能計算書」をもらう

  • 中古 → 光熱費・室温・窓仕様から推定

  • リフォーム検討中 → 業者に“UA値シミュレーション”を依頼


🧾 行動②:住宅性能評価書または保証書を確認する

  • 「断熱等性能等級」の欄をチェック

  • 等級が明記されていなければUA値で判断

  • 断熱材のメーカー名・厚み・窓仕様をメモしておく


💰 行動③:補助金・リフォームを活用する

  • 「先進的窓リノベ」「住宅省エネキャンペーン」を確認

  • 断熱改修費の最大1/2が国から補助

  • 申請は着工前が原則なので早めに行動を


💬 FPアドバイザーコメント

「断熱リフォームは、住宅ローンよりも“光熱費投資”。UA値0.46以下の家では、月平均6,000〜8,000円の光熱費削減が実現します。」



7-4. 「断熱等級=家の資産価値」を高める時代

中古住宅市場では、断熱性能が“資産価値”として評価される時代が始まっています。たとえば、不動産ポータルサイトでも「ZEH基準」「等級6相当」「省エネ基準適合済」と記載された物件は、同条件でも売却価格が5〜10%高く取引される傾向があります。

住宅タイプ

平均UA値

売却価格差(同立地比)

等級4(旧基準)

0.75

基準価格

等級5(ZEH相当)

0.46

+5〜7%

等級6(高断熱)

0.30

+10%前後

(出典:不動産流通推進センター/住宅金融支援機構調査 2024)


💬 不動産鑑定士コメント

「住宅性能は“見えない価値”ですが、今後は評価の中心になります。特に断熱等級が明示された住宅は、長期優良住宅・ZEH住宅として再販価値が高まります。」



7-5. 「調べ方」を知るだけで未来が変わる

本記事で紹介したように、断熱等級は、図面・UA値・光熱費・現地観察など、複数の方法で確認可能です。

そしてそれは、「専門家しか分からないもの」ではなく、誰でも自分の家を“数値で理解できる”時代になりました。

調べ方

初心者向け

精度

費用

図面確認(UA値)

★★★★★

無料

光熱費・室温比較

★★★

無料

サーモ診断

★★★★

約3万円

業者診断(HEAT20基準)

★★★★★

約5〜10万円

この情報を知って行動できる人は、「高熱費・寒暖差・結露トラブル」から最も早く抜け出せます。




🧠 本記事の要点まとめ

要点

内容

断熱等級とは

家の“熱の逃げにくさ”を数値化した国の基準

等級7とは

UA値0.26以下、北欧レベルの超高性能住宅

調べ方

新築=図面/中古=仕様+光熱費+診断

改善方法

窓・床・屋根の改修+補助金活用

メリット

快適性・健康・資産価値・光熱費削減




💬 専門家からの最終コメント

「断熱等級の“調べ方”を知ることは、家づくりの最初の防衛策です。これからの住宅選びは、見た目や価格ではなく“性能”で判断する時代。その第一歩は、“自分の家の等級を知ること”です。」—— 住宅FP・省エネ建築士(監修者コメント)



  1. 国土交通省『住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設』

    出典:国土交通省 住宅局

    URL:https://www.mlit.go.jp/common/001585664.pdf

  2. 一般社団法人 断熱建材協議会『省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド』

    出典:断熱建材協議会(2024年度版報告書)

    URL:https://www.kkj.or.jp/contents/build_hojyojigyo/report/R06_housingdesign-guidebook.pdf

  3. 日本建築学会論文集「最新の戸建住宅の外皮設計の傾向と断熱性能評価」

    出典:日本建築学会 環境系論文集(2021年)

    URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/shasetaikai/2021.5/0/2021.5_29/_pdf/-char/ja

  4. オカジマ エミコ「多摩ニュータウンの集合住宅における断熱改修効果に関する研究」

    出典:東京都立大学 博士論文リポジトリ(2020年)

    URL:https://tokyo-metro-u.repo.nii.ac.jp/record/3394/files/T00417-001_fulltext.pdf

  5. 藤本 博也「住宅の省エネルギー化に貢献する高断熱技術」

    出典:科学技術動向研究センター報告(NISTEP Report, 2022年)

    URL:https://nistep.repo.nii.ac.jp/record/5739/files/NISTEP-STT093-19.pdf

  6. 東京工業大学大学院 修士論文「日本における住宅の断熱性能基準と断熱構法に関する研究」

    出典:東京工業大学 建築学専攻 修士論文(2016年)

    URL:https://www.arch.titech.ac.jp/yasuda/thesis/2016thesis/big.pdf

  7. 建築環境・省エネルギー機構(IBEC)『外皮平均熱貫流率(UA値)計算の手引き』 

    出典:一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構(IBEC 技術資料)

    URL:https://www.hro.or.jp/upload/24281/ua_keisan_apartment.pdf


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