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ハウスメーカー倒産の現実|契約後・建築中に起きたときの対処法

  • 執筆者の写真: 見積もりバンク担当者
    見積もりバンク担当者
  • 11月8日
  • 読了時間: 32分

更新日:5 日前

更新日:2025年11月25日


「ハウスメーカーが倒産したらどうなるの?」

——これは、住宅購入を検討する誰にとっても“他人事ではない”現実です。

2024年以降、資材価格の高騰や人件費上昇により、全国で住宅関連企業の倒産件数が急増。大手でも支店閉鎖・事業撤退が相次ぎ、契約後や建築中の施主が突然のトラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。

本記事では、ハウスメーカー倒産の最新動向から、契約後・建築中・倒産後の具体的な対処法までを網羅。さらに、完成保証制度・瑕疵保険の仕組み、倒産リスクを見抜くチェックリスト、そして再建に向けた専門家のアドバイスまで、“実務と体験に基づくリアルな視点”で詳しく解説します。

ハウスメーカー倒産の現実|契約後・建築中に起きたときの対処法

目次

1-1. 近年の倒産件数と主な要因(資材高騰・人手不足など)

1-2. 中小工務店・FC加盟店のリスク構造

1-3. 大手でも安心できない理由

2-1. 契約金・手付金の扱い

2-2. 土地購入済みの場合のリスク

2-3. 工事着工前に取れるリカバリー手段

3-1. 工事中断・未完成住宅の現場対応

3-2. 下請け業者への支払い・引継ぎリスク

3-3. 残工事を引き継ぐ会社を探すポイント

4-1. 契約書・領収書・請負契約の確認

4-2. 建築確認申請や登記の状況

4-3. 支払い状況(どこまで支払ったか)

4-4. 瑕疵保険・完成保証制度の加入有無

4-5. 弁護士・住宅支援機関への相談先

5-1. 完成保証制度の仕組みと限界

5-2. 住宅瑕疵担保保険で補償される内容

5-3. 加入していない場合の自衛策

6-1. 経営不安な会社に見られるサイン

6-2. 見積りの異常な安さ・納期の短さに注意

6-3. 口コミ・財務情報・登記簿の確認方法

7-1. 倒産リスクは「選ぶ前に9割決まる」

7-2. 「倒産=家づくりが終わり」ではない

7-3. 今後増える“地域密着型倒産”への注意

7-4. 信頼できる会社を見極める5つの条件

7-5. 失敗を防ぐための第三者チェックの重要性

ハウスメーカー倒産が増えている現状と背景

注文住宅を検討している人にとって、「ハウスメーカーが倒産したらどうなるのか?」は決して他人事ではありません。2024年以降、住宅業界では資材価格の高騰・人件費の上昇・住宅需要の二極化が進み、経営難に陥る会社が増加しています。実際、帝国データバンクの調査では、2024年の住宅関連倒産件数は前年比約1.4倍に増加しており、その中には地域密着型の工務店だけでなく、フランチャイズ加盟の中堅メーカーも含まれます。


1-1. 近年の倒産件数と主な要因(資材高騰・人手不足など)


要約

2022年以降、ウッドショック・電気代高騰・人手不足が重なり、ハウスメーカー倒産が増加傾向に。特に資金繰りの弱い中小企業が打撃を受けています。


詳細解説

2020年代前半、建築業界では次のような「複合的コスト圧力」が発生しました。

要因

内容

影響度

資材高騰

木材・鉄・断熱材などの価格が2020年比で約30〜50%上昇

原価圧迫・利益率悪化

人手不足

大工・職人の高齢化、若手不足

工期遅延・外注費上昇

金利上昇

銀行融資の審査厳格化

運転資金の確保が困難

住宅需要の変化

Z世代・20代購入層の減少、リフォーム志向の高まり

受注減少

特に「固定価格契約」を採用していたハウスメーカーでは、契約時の原価想定と実際の仕入れ価格が乖離し、赤字受注が続いた結果、資金ショートを起こすケースが増えています。


💬 専門家コメント

「倒産は突然ではなく、受注減少・支払い遅延・職人離脱といった“前兆”が必ずあります。見積もりが異常に安い会社ほど、経営リスクを内包している可能性が高いです。」



1-2. 中小工務店・FC加盟店のリスク構造


要約

フランチャイズ(FC)加盟の工務店も“看板だけでは安全”とは限りません。運営母体と加盟店の資金は独立しており、加盟店単体の経営破綻も多発しています。


詳細解説

「大手ブランドの加盟店だから安心」と思う人も多いですが、実際には以下のような構造的リスクがあります。

仕組み

実態

リスク

FC加盟店制度

各地の工務店が本部ブランドを借りて営業

資金・施工・保証は各社独立

資金繰り

本部へのロイヤリティ支払い・広告負担

利益圧迫・赤字化リスク

保証制度

本部保証の対象外の場合も

倒産時に保証が使えないケースあり

つまり、「〇〇ハウス加盟店」の名義で契約しても、実際の契約相手は地元の法人です。母体企業が存続していても、加盟店単体が倒産すれば契約は無効になる可能性があります。




1-3. 大手でも安心できない理由


要約

大手ハウスメーカーも「倒産無縁」ではなく、過去には有名企業の経営破綻例も。経営基盤が安定していても、グループ内の再編や不採算部門整理が行われるケースがあります。


詳細解説

「大手なら安心」という心理は根強いですが、住宅業界の実情はそう単純ではありません。

  • 過去には年間1,000棟以上建築していた企業が突然の経営破綻

  • 不採算エリアの営業所閉鎖、子会社清算なども増加

  • 「分譲中心→注文住宅撤退」といった事業転換も

また、経営破綻=会社消滅ではない点にも注意が必要です。民事再生や会社更生を経てブランド名を残しても、契約中の施主が保護されるとは限らないのです。


💬 実務経験者コメント

「私が営業をしていた頃、同業他社が突然倒産し、現場に足場が残ったまま工事が止まる光景を何度も見ました。お客様は“どうして自分の会社が?”と呆然とされますが、業界では珍しくありません。」

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✅ チェックリスト:倒産リスクを感じたら確認すべき初期サイン

  1. 請求書の発行が遅れる

  2. 営業担当が頻繁に退職・転勤

  3. 現場の職人が変わる、工期が不明確

  4. 本社への電話がつながりにくい

  5. 見積書や契約書に不備がある




💡 プロ視点のアドバイス

倒産リスクは「ニュースで聞く遠い話」ではありません。資材高騰・人件費上昇・金利上昇という“トリプルショック”の中、経営の体力がある企業でも1棟あたりの利益は激減しています。


契約前には必ず以下を確認しましょう。

  • 直近3期分の決算公告(官報・電子公告)

  • 加盟団体・保証機関の登録状況

  • 完成保証や瑕疵保険の加入先




契約後・着工前に倒産した場合の影響

住宅会社と請負契約を締結した後、建築確認申請や着工準備の段階で突然倒産の知らせを受ける——。これは実際に多く発生しており、最もトラブルが大きくなるケースの一つです。この章では、契約金の扱いや土地購入済みのケース、リカバリー可能な手段を、実務と法的観点から整理します。


2-1. 契約金・手付金の扱い


要約

契約後に倒産した場合、支払済みの手付金・契約金は「債権」となり、返金されないリスクが高い。ただし、保証制度に加入していれば一部返還される可能性もあります。


詳細解説

請負契約時に支払う金銭の種類は、主に次の3つに分類されます。

名称

支払いタイミング

性質

倒産時の扱い

手付金

契約締結時

解約・履行の証拠金

原則返還不可(債権化)

中間金

着工時・上棟時

工事進行に応じた支払い

施工未着手なら返還請求可

最終金

引き渡し時

完成後に支払い

支払い前なら損害回避可

もし倒産が発生した場合、手付金は「一般債権」として扱われ、他の債権者と同列で分配されます。そのため返金率は極めて低く、実務上はほぼ回収不能です。


💬 弁護士コメント(匿名)

「住宅会社倒産時の債権回収は、清算管財人が整理するまで半年〜1年かかります。金額が大きい場合は破産管財人に債権届出を行うことが重要です。」

アドバイス

契約前に必ず「完成保証制度」や「住宅保証機構(JIO)」の登録有無を確認しておくことが、自衛策として有効です。



2-2. 土地購入済みの場合のリスク


要約

土地だけ先に購入しており、住宅契約先が倒産した場合、「土地はあるのに家が建てられない」という状況が発生します。


詳細解説

住宅購入の流れでは「土地購入 → 建築契約」という順序を取ることが多く、土地決済後に建築請負会社が倒産すると、以下の問題が生じます。

発生しやすいトラブル

内容

対応策

建築確認申請が未提出

設計図書が使えず、再申請が必要

新しい設計士を手配し、再申請

設計図・申請書類が未交付

設計著作権は倒産企業側にあることも

弁護士を通じて譲渡請求

金融機関への融資が停止

住宅ローン実行条件を満たさない

新しい請負契約書を再提出

特に、**土地ローンの支払いだけが続く“宙ぶらりん状態”**は心理的・経済的にも非常に負担が大きいです。この段階では「早急な情報収集と、別会社への引継ぎ準備」が不可欠です。


💬 体験談

「土地を購入して2週間後に契約したハウスメーカーが倒産。設計データが引き渡されず、再設計費用でさらに100万円かかりました。」

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2-3. 工事着工前に取れるリカバリー手段

要約:着工前なら、まだダメージを最小限にできる。契約解除・保証制度申請・他社引継ぎなど、冷静にステップを踏むことが重要です。


具体的な対応ステップ

ステップ

対応内容

ポイント

① 倒産の公式確認

官報・登記・破産公告を確認

「一時休業」「事業停止」と区別

② 契約書・領収書の整理

支払額・契約日を整理

証拠として弁護士・保証機関へ提出

③ 保証制度の確認

完成保証・瑕疵保険の登録先を確認

申請期限内に連絡

④ 新たな建築会社の選定

同業他社へ引継ぎ見積もり依頼

「引継ぎ案件対応可能」な会社を探す

⑤ 融資先との再調整

銀行に事情を説明・融資再審査

新請負契約の提出で再開可

💬 よくある質問(Q&A)

Q. 倒産したハウスメーカーから設計図を受け取れない場合、どうすれば?

A. 設計図は著作物のため、倒産会社が権利を保有していることがあります。破産管財人に「著作権譲渡依頼」または「使用許諾書の発行」を求める必要があります。


Q. 契約金の支払いはクレジットカードやローンでも返金できない?

A. 一部のカード会社では「サービス未提供の場合の返金申請(チャージバック)」が可能な場合もあります。すぐにカード会社へ相談を。




✅ チェックリスト:契約後倒産時の初動行動

  1. 倒産情報の公式確認(官報・破産手続開始決定)

  2. 支払済金額と契約書の照合

  3. 完成保証・保険の有無確認

  4. 金融機関・司法書士・弁護士への相談

  5. 他社引継ぎの見積り依頼を3社以上に行う




💡 プロ視点のアドバイス

ハウスメーカーの倒産は「家づくりの中断」だけでなく、心理的なショックも大きいものです。しかし、着工前であれば再建の余地が十分あります。


ポイントは以下の3点です。

  • 証拠(契約書・領収書・申請書類)をすぐに整理する

  • 感情的にならず、法的整理ルートを確保する

  • 再契約先は「倒産案件の引継ぎ経験がある会社」を選ぶ

こうした冷静な対応によって、建築計画を大きく遅らせることなく再スタートできるケースもあります。




建築中にハウスメーカーが倒産した場合の流れ

建築が始まってからの倒産は、施主にとって最も深刻なケースです。「上棟したまま工事が止まる」「現場が放置される」「下請け業者から直接請求が届く」といったトラブルが一気に発生します。ここでは、実際の倒産発生後の流れと、被害を最小限に抑える行動手順を解説します。


3-1. 工事中断・未完成住宅の現場対応


要約

現場が放置された場合、まずは「安全確保」と「現況確認」が最優先。勝手に作業を続けると法的トラブルになる可能性もあるため、慎重に行動する必要があります。


詳細解説

ハウスメーカーが倒産した時点で、工事現場の管理責任者が不在になります。この状態でやるべきことは、以下の3つです。

優先順位

対応内容

注意点

① 現場の安全確保

足場・資材・電気設備の確認

感電・盗難・崩落防止

② 現況の写真撮影

外観・内装・設備・書類を撮影

証拠保全に必須

③ 鍵・資材の管理

工事キー・資材・仮設電源などを施主が一時管理

第三者侵入を防止

倒産直後は、下請け業者が現場に出入りする可能性があるため、無断作業を防ぐためにも現場封鎖・鍵管理を行いましょう。


💬 現場監督経験者コメント

「倒産直後は現場が“無主物状態”になります。職人が自分の工具を取りに来たり、資材を持ち出すケースもありました。記録を残すことが何より大切です。」



3-2. 下請け業者への支払い・引継ぎリスク


要約

下請け業者(大工・設備・電気・外構など)への未払い問題が生じると、二重請求や引継ぎ拒否に発展する可能性があります。


詳細解説

ハウスメーカーと施主の関係は「請負契約」ですが、下請け業者はメーカーと別契約の立場です。したがって、施主が直接支払いを行う義務はありません。しかし、現場で作業していた職人から「支払いがされていないから工事を続けられない」と言われるケースが非常に多いのです。

トラブル事例

内容

対応策

二重請求

下請け業者が施主へ直接請求

法的には支払い義務なし。管財人経由で対応

引継ぎ拒否

未払いがあるため工事続行拒否

新請負契約で再発注可

資材持ち出し

倒産会社名義の資材が撤去

証拠保全・弁護士相談

このようなトラブルを避けるには、倒産発生後すぐに**「誰がどこまで施工したのか」**を明確にしておく必要があります。工事写真や施工日報、請負契約書を元に、完成率を算出すると次の引継ぎ交渉がスムーズになります。




3-3. 残工事を引き継ぐ会社を探すポイント


要約

残工事の引継ぎは「どの段階で止まっているか」によって難易度が変わります。経験豊富なリフォーム会社や地域工務店に依頼するのが現実的です。


詳細解説

引継ぎ会社を選ぶ際は、以下の3つの条件を重視しましょう。

チェック項目

内容

理由

① 倒産物件の引継ぎ実績

過去に同様の案件を扱った経験

申請書類・施工履歴の対応力

② 瑕疵保険への再加入サポート

新会社で再保険契約できる体制

今後の保証を確保

③ 現場調査・見積りの透明性

既存部分の調査と明細提示

二重施工・無駄な費用を防ぐ

特に、構造体(基礎・柱・屋根)まで進んでいる場合は、施工図や構造計算書の入手が最優先です。倒産元が管理していた設計データがないと、後続業者は施工保証を出せません。


💬 引継ぎ対応工務店の声

「倒産物件は“施工途中の不具合”が多いので、まず現場調査から再設計が必要です。費用はかかりますが、安全と保証を優先すべきです。」

🧩 引継ぎ費用の目安(一般的なケース)

建築進行度

残工事割合

引継ぎ追加費用の目安

基礎工事前

100%

約50〜80万円(再設計費含む)

上棟後・外壁前

約60%

約150〜300万円

内装仕上げ中

約20%

約50〜100万円

※上記は参考値であり、構造・地域・仕様により異なります。


💬 よくある質問(Q&A)

Q. 倒産した会社の保証書や瑕疵保険証書は引き継がれますか?

A. 原則として引き継がれません。新たに契約する会社が「継承手続き」を行う必要があります。再検査・再申請が必要になるケースが多いです。


Q. 建築途中でローンを止めたい場合は?

A. 銀行に「工事停止・債務整理発生」の旨を報告し、返済スケジュール変更や融資保留申請を行いましょう。勝手に返済を止めると信用情報に影響します。


Q. 引継ぎ会社はどこで探すのがいい?

A. 住宅完成保証機構・全国工務店ネットワーク・自治体住宅支援センターなどに相談すると、対応可能な事業者を紹介してもらえます。




✅ チェックリスト:建築中倒産時の行動フロー

  1. 倒産の正式確認(破産管財人・官報)

  2. 現場封鎖・写真記録・資材保全

  3. 瑕疵保険・完成保証の有無確認

  4. 下請け業者との関係整理

  5. 引継ぎ会社へ現場調査依頼

  6. 新請負契約・融資再手続き




💡 プロ視点のアドバイス

倒産が「建築中」に起きた場合、感情的な対応よりも“証拠整理と専門家連携”が最優先です。現場の進捗を正確に把握し、施工ミスや構造欠陥の有無を専門家にチェックしてもらいましょう。

  • 瑕疵保険の検査記録を再確認

  • 写真・図面・メールの保管

  • 弁護士・建築士・金融機関の三者で協議体制を整備

特に「再建築会社選び」では、価格だけでなく**“信頼性と透明性”を重視**することが、後悔しない再出発の鍵になります。




倒産後にまず確認すべき5つのこと

ハウスメーカーの倒産は、突然訪れます。「ニュースで知った」「営業担当に連絡がつかない」「現場が止まった」──そんなとき、まずすべきは“感情を落ち着けて状況を整理すること”です。ここでは、倒産直後に確認すべき5つの項目を、実務経験者・専門家の視点からわかりやすく解説します。


4-1. 契約書・領収書・請負契約の確認


要約

支払い済み金額と契約内容を明確化することが、返金・保証・法的対応の出発点です。


詳細解説

倒産直後に最も重要なのは、**「自分がどの立場にあるか」**を証明することです。そのために、まず以下の書類を整理・コピーしておきましょう。

種類

必要な理由

チェックポイント

請負契約書

契約当事者と金額の確認

請負者の法人名・印鑑の有無

領収書・振込明細

支払済金額の証明

日付・金額・振込先口座

契約時の見積書

契約範囲の確認

設計費・付帯工事費・オプションの有無

工事請負約款

契約解除条項の確認

第○条「契約解除・債務不履行」項目

もし契約書や領収書を紛失している場合でも、銀行振込記録・メールの送受信履歴などで補完できます。これらは、破産管財人・弁護士・保証機関への提出資料として必須です。


💬 専門家コメント

「書類の有無で被害回復のスピードが変わります。封筒やメモ書きも一つ残らず整理しておくのが大切です。」

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4-2. 建築確認申請や登記の状況


要約

工事が途中または未着工の場合、建築確認申請や登記がどの段階にあるかを確認しないと、再建築時に申請が重複・無効になる恐れがあります。


詳細解説

確認項目

意味

確認方法

建築確認済証

着工の許可証

役所または設計士から交付状況を確認

検査済証

完成後に発行

工事中断なら未発行のまま

表題登記・保存登記

建物の所有権の登記

土地家屋調査士・司法書士に確認

倒産した会社が申請代理人になっている場合、途中で申請が“宙ぶらりん”になることもあります。その場合は新しい設計士に代理権を移行する手続きが必要です。


💬 建築士のコメント

「建築確認番号が既に発行されていれば、再利用可能なケースもあります。ただし、設計変更を伴うと再申請が必要になります。」



4-3. 支払い状況(どこまで支払ったか)


要約

支払った金額と工事進捗が一致しているかを確認し、過払い分を債権として整理します。


詳細解説

倒産時の支払い状況を明確にすることは、返金交渉・法的整理の第一歩です。次の表を使って整理するとスムーズです。

支払い区分

支払日

金額

対応工事

完成率

差額

契約金(手付)

2024/9/10

¥500,000

契約締結

-

-

着工金

2024/10/5

¥2,000,000

基礎着工

0%

+2,000,000

中間金

未払い

-

上棟

-

-

上記のように整理すれば、「支払済なのに施工が進んでいない部分」が一目で分かり、債権届出時の根拠資料になります。


💬 実体験

「請負契約書に“工事進捗に応じて支払い”と書いてあったが、実際には前払いだった。結果、返金請求も難しくなった。」



4-4. 瑕疵保険・完成保証制度の加入有無


要約

保証制度の加入有無が、被害の回復可能性を大きく左右します。まずはどの制度に登録されていたかを確認しましょう。


詳細解説

住宅会社は、建築確認申請前に住宅瑕疵担保責任保険への加入が義務付けられています(住宅瑕疵担保履行法)。また、任意で「完成保証制度」に加入している場合もあります。

保険・保証

運営機関

補償内容

注意点

住宅瑕疵担保保険(JIO・住宅保証機構など)

登録事業者必須

構造・雨漏りの欠陥補償

倒産時は“着工後のみ”適用

完成保証制度

各団体・民間保証

倒産時の工事費補填

契約時に別途加入必要

住宅完成サポート保険

一部金融機関・自治体

建築中止時の一部費用補償

限度額が低いことも

倒産後は、保険証書の発行元に直接連絡し、保険契約が有効かどうかを確認します。特に「着工前に倒産」した場合、瑕疵保険が未発効のことも多い点に注意。


💬 住宅保証担当者コメント

「保険証書に“引受済日”が記載されていれば、保険が有効です。加入前に倒産した場合は対象外です。」



4-5. 弁護士・住宅支援機関への相談先

要約:倒産は個人で解決できる問題ではありません。早期に専門機関へ相談し、対応方針を整理することが再建の第一歩です。


主な相談先一覧

相談機関

内容

連絡方法

弁護士(建築・債権専門)

契約解除・債権届出・訴訟代理

法テラス・弁護士会で無料相談可

消費生活センター

事業者トラブル・返金交渉

地方自治体の窓口で相談

国土交通省 住宅局住宅生産課

保険・保証制度に関する情報提供

公式サイトまたは電話相談

全国住宅産業協会

加盟会社の状況・引継ぎ業者紹介

Web窓口あり

地方建築士会・住宅相談センター

設計引継ぎ・確認申請の再対応

専門家紹介を受けられる

💬 よくある質問(Q&A)

Q. 弁護士に依頼すると費用が高いのでは?

A. 「法テラス」や地方自治体の無料相談を利用すれば、初期費用ゼロで対応可能です。債権届出だけの依頼なら5〜10万円前後で済むこともあります。


Q. 倒産会社に連絡がつかない場合、どうやって管財人を探す?

A. 官報(インターネット版)で「破産手続開始決定・破産管財人名」を検索できます。 → 官報検索サービス(国立印刷局)


Q. 瑕疵保険会社が分からない場合は?

A. 契約時の「重要事項説明書」または「確認申請書」に記載されています。分からない場合は役所の建築指導課に問い合わせを。




✅ 倒産直後チェックリスト(保存推奨)

  1. 契約書・領収書・請求書をすべて整理

  2. 建築確認済証・登記状況を確認

  3. 支払い状況を一覧化

  4. 保険証書・保証書の発行元を確認

  5. 弁護士・支援機関へ初回相談予約




💡 プロ視点のアドバイス

倒産は「現場の中断」だけでなく、心理的なパニックを引き起こします。しかし、最初の72時間で冷静に情報を整理できれば、被害を最小限に抑えられます。


専門家としての視点から、次の3点を強調します。

  1. “感情”ではなく“証拠”で動く。

    倒産会社とのやりとりはすべて記録・保存。電話もメモに残す。

  2. “個人対応”より“制度対応”を。

    瑕疵保険・保証制度・法的整理を軸に、正規ルートで申請。

  3. “単独行動”を避け、専門家と連携。

    弁護士・建築士・司法書士が連携すると、次のステップ(再建)が早い。




完成保証制度・住宅瑕疵保険でカバーできる範囲

「倒産しても保険があるから安心」と思われがちですが、実際には補償の範囲と条件には大きな制限があります。制度の仕組みを正しく理解しないまま契約してしまうと、「保証対象外だった」というケースも珍しくありません。ここでは、倒産時に機能する代表的な2つの制度を詳しく見ていきます。


5-1. 完成保証制度の仕組みと限界


要約

「完成保証制度」とは、住宅会社が倒産しても他社が工事を引き継ぐ仕組み。ただし、加入条件や補償上限に制約があり、全額カバーできるわけではありません。


詳細解説

完成保証制度は、主に次のような流れで機能します。


🏠 仕組みの概要

流れ

内容

① 住宅会社が保証機関に登録

事前に審査・加盟が必要

② 契約時に施主が保証料を支払い

工事費の0.5〜1.0%程度

③ 倒産発生時に保証機関へ申請

書類・支払証明を提出

④ 保証機関が代替会社を紹介

他社が工事を引継ぎ完成

⑤ 追加費用の一部を保証金で補填

上限は工事費の20〜30%程度


💡 補償のイメージ(例)

総工事費

保証上限(約30%)

実際の補償額(例)

備考

3,000万円

900万円

700万円程度

書類整備・再見積りにより変動

つまり、保証上限=全額保証ではないという点が重要です。実際の追加費用(再設計・再工事・資材差額など)は、保証金ではまかないきれない場合も多いです。


🧭 主な運営団体例

  • 住宅保証機構「住宅完成保証制度」

  • JIO(日本住宅保証検査機構)「JIO完成サポート」

  • 住宅あんしん保証「完成サポート」

  • 一般社団法人住宅産業保証機構


💬 保証機関担当者コメント

「保証はあくまで“再建の支援”であり、“全損失の補償”ではありません。保証料を払っていても、加入証明書の発行前に倒産すれば適用外になります。」

⚠️ 注意すべき3つの限界

  1. 未加入の住宅会社が多い(中小工務店の加入率20%以下)

  2. 保証申請の期限(倒産発生後30日以内)を過ぎると失効

  3. 追加費用や仕様変更は補償対象外




5-2. 住宅瑕疵担保保険で補償される内容


要約

住宅瑕疵担保保険は「構造耐力上主要な部分」と「雨水の侵入防止部分」の欠陥を10年間保証する制度。倒産時には、別の工務店が保険法人の指示のもとで工事を引き継げるケースがあります。


詳細解説

住宅瑕疵担保保険の概要

項目

内容

保険対象

構造体(基礎・柱・屋根など)および雨漏り防止部分

保険期間

引渡しから10年間

加入義務

住宅会社に義務付け(住宅瑕疵担保履行法)

保険法人

JIO/住宅保証機構/ハウスプラス住宅保証/あんしん住宅瑕疵保険など

倒産した会社が加入しており、かつ「着工後」に倒産した場合には、保険法人が代替事業者を紹介し、検査・補修・完成工事を引き継ぐことが可能です。


🧩 対象となる代表的補償範囲

部位

保険対象

補償内容

基礎・構造躯体

崩壊・傾きなど構造耐力欠陥

屋根・外壁

雨漏り・防水不良

内装・設備

クロス・床・水回り不具合は対象外

外構工事

カーポート・塀・庭などは対象外

💬 建築検査員のコメント

「瑕疵保険は倒産後の“完成補助”ではなく、“欠陥発生後の修復”が主目的です。混同しないようにしましょう。」

📌 倒産時の特別措置(再建サポート)

保険法人によっては、倒産時に「保険金の一部を完成支援金として支給」する特例もあります。ただし、条件は次の通りです。

  • 着工済であること(基礎配筋検査済など)

  • 保険証書が発行済み

  • 工事途中で倒産したことが証明できる書類がある

この場合、最大で工事費の20〜25%程度が補助金として支給されます。




5-3. 加入していない場合の自衛策

要約:保証制度がない場合でも、被害を最小限に抑えるための自衛策はいくつかあります。信頼できる情報源を活用し、再契約・再建手続きを進めましょう。


🔒 主な自衛手段

対応策

内容

具体的行動

弁護士を通じた債権届出

倒産手続に正式参加

官報で管財人確認→債権届出書提出

保険未加入確認書を取得

次の施工会社に提出

瑕疵保険加入の再申請をスムーズに

住宅支援機構・自治体相談

引継ぎ会社紹介

「住宅相談センター」「県建築指導課」へ連絡

損害保険(火災・住宅総合)特約確認

仮設資材・盗難補償確認

建築中の事故被害にも備える

💬 実務経験からのポイント

  1. 書類・証拠の保存が命綱。

    契約書・領収書・写真を一括フォルダ化しておく。

  2. 時間との勝負。

    倒産直後は、破産管財人が財産整理を始める前に申請することが重要。

  3. 再契約は“保証加入可能な会社”と行う。

    瑕疵保険に再加入できる業者であれば、今後の保証も継続しやすい。


💬 よくある質問(Q&A)

Q. 瑕疵保険が未発行でも、後から加入できますか?

A. 基礎工事後に第三者検査を受けていれば、再加入できるケースもあります。保険法人によっては「途中加入制度」を設けています。


Q. 完成保証制度に加入していたか確認する方法は?

A. 契約時に発行される「保証申込書」または「保証証書」で確認できます。見当たらない場合は、住宅保証機構などに直接照会を。


Q. 瑕疵保険の引継ぎ費用は誰が負担する?

A. 原則として施主負担です。ただし、再建業者が保険法人と提携していれば、割引・補助の対象となることもあります。




✅ 比較表:完成保証制度 vs 住宅瑕疵保険

項目

完成保証制度

住宅瑕疵担保保険

目的

倒産時の工事引継ぎ

住宅完成後の欠陥補償

加入義務

任意

義務(住宅会社)

倒産対応

○(引継ぎ可)

△(条件付き)

保証上限

工事費の20〜30%

修復費上限(数百万円)

適用時期

建築中

完成後10年

加入率

約20〜30%

ほぼ100%(法令義務)




💡 プロ視点のアドバイス

「保証がある=安心」ではありません。制度を理解したうえで、自らリスクをコントロールする意識が重要です。


専門家としての見解

  • 契約前に「完成保証」加入の有無を営業担当に確認し、証書をコピーでもらう

  • 「瑕疵保険証書」が届くまでは着工を急がない

  • 加入していない会社は、価格の安さで勝負している可能性が高く、経営体力が乏しい傾向あり


💬 建築士のコメント

「保険や保証は“万一のため”にあるものですが、実際に倒産した施主の9割は『加入していると思っていた』と語ります。確認を“書面で残す”ことが大切です。」



倒産リスクを事前に見抜くチェックポイント

「信頼できる営業担当だから」「大手の名前だから安心」──こうした思い込みが、倒産被害を拡大させてしまうことがあります。住宅業界で営業経験のある筆者として断言します。倒産には必ず“前兆”があります。この章では、契約前に確認すべき6つの視点を整理し、具体的な見抜き方を紹介します。


6-1. 経営不安な会社に見られるサイン

要約:倒産は突然ではなく、数か月〜1年かけて「兆候」が現れます。受注状況・支払い遅延・社内体制の変化など、複数のサインが重なったときは注意が必要です。


🔍 主な“危険サイン”一覧

カテゴリ

兆候

背景・理由

経営面

受注数が急減・営業所閉鎖

人件費・資材高で赤字転落

現場面

工期遅延・職人不足・外注増

現場監督の退職・人員減

財務面

仕入先への支払い遅延・資材納入ストップ

資金繰り悪化

顧客対応

電話がつながらない・担当交代が頻発

離職増加・内部混乱

広告面

異常なキャンペーン・極端な値引き

キャッシュ確保のための“現金先取り”

こうしたサインは一見小さな変化でも、複数が同時に起きている場合は赤信号です。


💬 元営業担当者の実体験

「契約金を早く入金してほしいと言われたら、会社の資金繰りが危ない可能性があります。社内で“支払いが遅れている”という噂が出ると、数か月後に倒産というのは珍しくありません。」

💡 プロアドバイス

  • 「工期が伸びている」「社員がよく辞める」「担当が急に変わる」──これらが重なったら、まずは保証加入状況の確認を。


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6-2. 見積りの異常な安さ・納期の短さに注意

要約:見積もりが極端に安い会社は、原価を削るか、将来的に追加費用を請求してくる可能性が高い。「安さの裏側」には経営リスクが潜んでいます。


💰 見積りが危険なパターン3選

パターン

状況

潜在リスク

相場より坪単価が10万円以上安い

広告用“釣り価格”

原価割れ・赤字受注

オプション費が異常に少ない

標準仕様が限定的

契約後の追加請求

着工金が高額(30%超)

資金確保目的

倒産時に返金困難

例えば、地域平均が坪単価75万円のエリアで「55万円」を提示されたら要注意。その差額20万円は、資材・人件費のどこかを削っている可能性が極めて高いです。


💬 専門家コメント

「極端に安い見積もりは、“倒産直前の受注確保”というケースもあります。短期的に現金を集めているだけのことも。」

🧾 見積書チェックのポイント

  • 「一式」表記が多い(例:外構工事一式)

  • 「仮設工事」「諸経費」の金額が異常に低い

  • 「値引き」が10%を超えている

これらの条件が複数重なる場合は、原価を維持できていない可能性が高いと判断できます。


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6-3. 口コミ・財務情報・登記簿の確認方法

要約:会社の信用は「ネットの口コミ」だけでなく、登記情報・決算公告・官報情報で裏付けを取ることができます。誰でも確認できる無料・有料サービスを活用しましょう。


🔎 情報確認の3ステップ

ステップ

確認方法

具体例

① 基本情報の確認

国税庁「法人番号公表サイト」

設立年・代表者・所在地

② 決算公告の確認

官報/電子公告/帝国データバンク

資本金・利益・借入状況

③ 評判・口コミの確認

Googleマップ・SNS・住宅系掲示板

苦情・施工遅延・倒産予兆の口コミ


📊 財務の健全性を見抜く3つの指標(決算公告から読み取れる)

指標

良好の目安

危険サイン

自己資本比率

30%以上

10%以下は資金繰り難

売上高

前年比±10%以内

2期連続減少

流動比率

120%以上

100%未満は現金不足傾向

💬 金融機関担当者コメント

「登記簿を見ると、直近で“代表者変更”“本社移転”“資本金減額”が続いている会社は、資金繰り調整の真っ最中であることが多いです。」

💡 チェックリスト:契約前の企業調査

  1. 会社名でGoogle検索 → 「倒産」「支払い遅延」「トラブル」でヒットしないか

  2. 官報・帝国データバンクで「破産手続開始」の公告を確認

  3. 登記簿(法務局・オンライン申請)で代表者変更履歴を確認

  4. 口コミサイトで直近1年の投稿をチェック

  5. 保証機関・瑕疵保険法人に登録されているか問い合わせ




💬 よくある質問(Q&A)

Q. 登記簿の取得は一般人でもできますか?

A. はい。法務局の「登記・供託オンライン申請システム」から誰でも取得可能です。1通600円程度です。


Q. 財務情報が公開されていない会社は危険?

A. すぐに危険とは限りませんが、“非開示”が長期間続く場合は資金難を隠している可能性もあります。取引先の支払い遅延が増えるなど、他の兆候とセットで判断しましょう。


Q. SNSでの悪評は信じてよい?

A. 投稿者の主観も多いですが、同内容の口コミが複数サイトで一致している場合は信ぴょう性が高いです。




✅ 契約前チェックリスト(保存推奨)

チェック項目

Yes/No

補足メモ

決算公告を3期分確認した

官報・HPを確認

保証制度(完成保証・瑕疵保険)加入済

証書コピー取得

工期・支払いスケジュールが明確

契約書記載を確認

営業担当が説明を急がない

即決営業は注意

契約前に第三者相談を受けた

建築士・FP相談など




💡 プロ視点のアドバイス

倒産リスクを見抜く最大のコツは、「数字」と「行動」を見ることです。会社の“印象”や“知名度”ではなく、経営実態と現場の安定感を確認しましょう。


専門的な見抜きポイント

  • 見積書が明瞭である(項目分け・単価表記あり)

  • 営業担当が「完成保証」「瑕疵保険」の内容を即答できる

  • 契約金の支払い比率が20%以下に設定されている

  • 本社所在地・代表電話が公式HPと一致している

  • 支店・営業所が頻繁に移転していない


💬 建築士コメント

「“早く決めてください”“今週中なら特別値引きします”──この言葉が出た瞬間に、冷静に一歩引くこと。焦らせる営業の裏には、資金難やノルマのプレッシャーがあることが多いです。」


倒産リスクは“契約前の準備と情報収集”で防げる

7-1. 倒産リスクは「選ぶ前に9割決まる」

「契約してから後悔した」という声を聞くたびに感じるのは、ハウスメーカー選びは“価格”ではなく“信頼性”で決めるべきという事実です。


倒産は、資材高騰や人手不足など外的要因もありますが、多くの場合は「無理な値引き」「安請け合い」「資金管理の甘さ」といった経営判断ミスの積み重ねによって起こります。

そして、その兆候は必ず事前に見抜けます。契約前に「会社の決算」「保証加入」「施工実績」「営業担当の説明姿勢」を丁寧に確認すれば、リスクの8〜9割は避けられるのです。


💬 元ハウスメーカー営業の体験談

「見積もりを3社取って比較すると、1社だけ極端に安い会社が必ずあります。その会社が1年後に経営破綻する、というケースを何度も見ました。“安い理由”を必ず言葉ではなく“数値で説明できる会社”を選んでください。」

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7-2. 「倒産=家づくりが終わり」ではない

もし倒産が起きても、慌てる必要はありません。日本の住宅制度には、被害を最小化するための仕組みが複数用意されています。

制度・仕組み

対応内容

担当窓口

完成保証制度

倒産後に他社が引継ぎ

保証機関(JIO・住宅保証機構など)

瑕疵担保保険

構造・雨漏りの欠陥を補償

各保険法人

消費生活センター

返金・契約トラブル対応

自治体窓口

弁護士(建築法務)

契約解除・債権届出

法テラス・弁護士会

建築士会・住宅支援センター

再設計・引継ぎ相談

各都道府県の住宅課

これらを組み合わせれば、「途中で止まった家を完成させる」「一部返金を受ける」「新たな施工会社を見つける」ことも十分可能です。

大切なのは、“倒産後すぐの72時間”に行動を起こすこと。書類整理・保証確認・専門家相談──この3ステップで、被害の9割は抑えられます。




7-3. 今後増える“地域密着型倒産”への注意

近年特に増えているのが、地域工務店やFC加盟店の倒産です。これらの会社は地元で長年信頼を積んでいる反面、資金繰りの変化に弱いという特徴があります。

特徴

メリット

リスク

地元密着・顔の見える関係

柔軟な対応・地域特化

経営基盤が脆弱

FC加盟でブランド力あり

デザイン・仕様の安定

本部保証が及ばない場合あり

少人数経営

細かい要望対応可

一人退職で業務停滞

「昔からある会社だから大丈夫」という安心感は危険です。経営が安定しているかどうかは、創業年数ではなく、直近3年の決算と保証制度加入状況で判断するのが鉄則です。


💬 経営コンサルタントのコメント

「住宅業界は今、“淘汰の時代”に入っています。価格競争を続ける会社ほど体力を削り、やがて資金が尽きる。見積もりを取る際は、“安い理由”と“存続する理由”の両方を聞いてください。」



7-4. 信頼できる会社を見極める5つの条件

倒産しにくい会社には、共通した特徴があります。契約前に以下を満たしているかチェックしましょう。


🧾 信頼できるハウスメーカーの条件

  1. 保証制度(瑕疵保険+完成保証)のダブル加入

    → 書面で証書を確認できる

  2. 営業担当が契約を急かさない

    → 「即決値引き」「限定キャンペーン」を多用しない

  3. 見積明細が透明で、一式表記が少ない

    → 材料費・工賃が明示されている

  4. 社内に建築士・施工管理技士が常勤

    → 外注任せにしていない

  5. 過去3年の決算公告を開示している

    → 利益率・借入金が安定している


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7-5. 失敗を防ぐための「第三者チェック」の重要性

「見積書の内容が妥当か」「保証の範囲が正しいか」──施主が自分で判断するのは難しい部分もあります。

そのときこそ、第三者の専門家チェックを活用すべきです。


🔍 第三者チェックで確認できる内容

チェック内容

担当専門家

費用目安

契約前見積もり診断

建築コンサル・FP・住宅診断士

約5,000〜10,000円

契約書・約款確認

弁護士(法テラス可)

初回相談無料〜

工事中検査

建築士・住宅インスペクター

1回2〜5万円

施工後品質チェック

瑕疵保険検査員・第三者機関

保険内または別途

💬 住宅診断士のコメント

「倒産リスクを完全にゼロにはできません。しかし、第三者の目を入れることで“見抜ける倒産”は確実に減らせます。特に初回契約前の見積診断は、最も費用対効果が高い対策です。」



7-6. 読者への最終メッセージ

「倒産」は、誰の身にも起こりうる現実です。しかし、“情報を知っている人”は、被害を最小限に抑えることができます。

住宅は人生最大の買い物。だからこそ、「営業マンの印象」や「値引き額」ではなく、**“会社の実態”と“制度の裏付け”**で判断してください。

そして、もし不安を感じたら、契約を急がず、見積書を第三者に見せる勇気を持つこと。その一歩が、あなたと家族を守る最大の防衛策になります。




🧠 この記事のまとめ(要点リスト)

  • 倒産は突然ではなく、必ず前兆がある

  • 契約金の支払い前に「完成保証・瑕疵保険」の有無を確認

  • 価格の安さより「継続できる会社」を選ぶ

  • 倒産後の初動72時間で被害を最小化できる

  • 第三者による見積診断・契約確認が有効




💬 専門家の最終コメント

「家づくりの最大のリスクは“会社選び”です。坪単価・デザイン・間取りよりも、まず経営の健全性を見る。それが“倒産リスクを最も安く回避する方法”です。」—— 住宅業界アドバイザー(元ハウスメーカー勤務)




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