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土地契約の注意点まとめ|契約前に必ず確認すべき重要項目を解説

  • 執筆者の写真: 見積もりバンク担当者
    見積もりバンク担当者
  • 8月11日
  • 読了時間: 25分

更新日:5 日前

更新日;2025年12月03日


マイホーム用地を購入する前に「契約の落とし穴」を理解していますか?土地契約は一度署名すると簡単に取り消せず、書面の1文や境界杭の有無で後々大きなトラブルになることもあります。

本記事では、「土地契約 注意点」をテーマに、契約書・重要事項説明書の読み方から、ローン特約・手付金・地盤リスクまで、契約前に必ず押さえておきたい重要項目を専門家の視点で徹底解説。さらに、境界・接道・災害リスクなど、現地での確認ポイントもチェックリスト形式で紹介します。初めて土地を購入する方でも、この記事を読むだけで安全で納得できる契約判断ができるようになります。

土地契約の注意点まとめ|契約前に必ず確認すべき重要項目を解説

目次

1-1. 土地購入から契約までの一般的な流れ

1-2. 売買契約書と重要事項説明書の関係

1-3. 契約時に発生する費用(手付金・印紙代など)

2-1. 所有権・借地権・抵当権の確認方法

2-2. 登記簿謄本で見るべきポイント

2-3. 共有名義・地目変更の注意点

3-1. 境界杭・測量図の有無を確認

3-2. セットバックや再建築不可のリスク

3-3. 私道負担・通行権の有無を見逃さない

4-1. 用途地域・建ぺい率・容積率の意味

4-2. 風致地区・景観条例などの地域制限

4-3. 建築条件付き土地の注意点

5-1. 地盤調査・液状化リスクの確認方法

5-2. ハザードマップ・浸水リスクの見方

5-3. 周辺環境・騒音・臭気・高低差の影響

6-1. 契約解除条項(ローン特約)の確認

6-2. 手付解除・違約金の取り扱い

6-3. 引き渡し条件(更地・残置物処理)の明記

土地契約とは?流れと基本的な仕組みを理解しよう

1-1. 土地購入から契約までの一般的な流れ

土地契約とは、土地を売主から買主へ正式に譲渡するための法的な約束を指します。注文住宅やマイホーム建築の第一歩として「土地を買う」ことは避けて通れませんが、この契約は単なる“購入手続き”ではなく、法的拘束力を持つ取引です。


🧭 一般的な土地購入の流れ(住宅用地の場合)

ステップ

内容

注意点

① 土地探し

不動産会社・建築会社を通して候補を選定

周辺環境・建築条件の有無を早期確認

② 現地調査

境界・道路・地盤などを確認

「建てられない土地」でないか要チェック

③ 売買契約前審査

金融機関で住宅ローン事前審査

契約前に“資金計画”を確定させる

④ 重要事項説明

宅建士が法的・物理的条件を説明

ここで疑問を残さないことが最重要

⑤ 売買契約

手付金支払い・契約書署名押印

契約解除条件(ローン特約など)を必ず確認

⑥ 決済・引き渡し

残代金支払い・所有権移転

登記と現地確認を同時に行う

💬 プロのアドバイス

契約時に焦りは禁物です。特に「建築条件付き土地」や「先行契約(建物と同時契約)」は、内容の読み違いによるトラブルが非常に多いです。契約書の条文や図面の中に“建築上の制約”が紛れ込んでいないか、必ず第三者(建築士・宅建士など)に確認してもらいましょう。

👇もっと深く知りたい方はこちら




1-2. 売買契約書と重要事項説明書の関係

土地契約の基本書類は2つ。

  1. 重要事項説明書(宅建業法35条書面)

  2. 売買契約書(宅建業法37条書面)


📘 両者の違いをわかりやすく整理

書類名

説明内容

提示タイミング

作成者

重要事項説明書

法律・権利・制限・設備などを“買主へ説明”

契約前

宅地建物取引士(宅建士)

売買契約書

売買の条件(価格・引渡し・解除条項)を“双方で合意”

契約時

不動産会社(売主または仲介)

この2つはセットで機能します。「説明」→「同意」→「契約」 の流れを経て、はじめて法的効力が生じます。


✅ チェックリスト:重要事項説明で確認すべき代表項目

  • 権利関係(所有権・抵当権・借地権)

  • 接道状況(再建築不可リスク)

  • 用途地域・建ぺい率・容積率

  • ライフライン(上下水道・ガス・電気)

  • 建築条件の有無

  • 境界確定の有無・隣地トラブルの履歴


⚠️ 注意

この説明で「建築条件付き」と説明されていないのに、契約書に“条件条項”が記載されているケースも。書類を別々の担当者が作成している場合、整合性に欠けることがあります。



1-3. 契約時に発生する費用(手付金・印紙代など)

土地契約では、売買代金以外にも複数の費用が発生します。特に初回支払いで必要な「手付金」は、契約解除にも関係するため重要です。


💰 土地契約時の主な費用一覧

費用項目

目安金額

支払いタイミング

補足

手付金

売買価格の5〜10%

契約時

契約解除の可否に関係

印紙代

1〜3万円程度

契約書貼付時

売買価格に応じて税額変動

仲介手数料

取引額の3%+6万円+税

契約成立時 or 決済時

仲介業者を介す場合のみ発生

登記費用

数万円〜十数万円

引き渡し時

司法書士へ依頼

固定資産税精算金

数千〜数万円

決済時

引渡し日で日割り計算

ローン関連費用

金融機関ごとに異なる

融資時

事務手数料・保証料など含む

💬 プロ視点の補足

「手付金」は返ってこない可能性あり。契約解除条項(ローン特約など)が明記されていない場合、買主都合のキャンセルでは没収されることも。印紙代の節税術: 電子契約(クラウドサインなど)を利用すると印紙が不要になるケースもあります。



💡 第1章まとめ|土地契約は「流れ・書類・費用」をセットで理解する

土地契約は、**「流れ」→「書類」→「費用」**の3ステップで整理するとわかりやすくなります。特に「重要事項説明」は軽視しがちですが、トラブル防止の最重要ポイント。すべての書類を1度で理解しようとせず、事前にコピーを受け取り自宅で熟読する習慣をつけましょう。


🏗️ プロのアドバイス(元住宅営業より)

契約書・図面・説明書に少しでも矛盾があれば、そのまま署名しない。「後で直します」は危険。書面修正して再捺印が鉄則。土地契約時に焦ってサインした人の約30%が「境界・地盤・条件」で後悔しています。



契約前に必ず確認すべき「土地の権利関係」

2-1. 所有権・借地権・抵当権の確認方法

土地契約を結ぶ前に、まず確認すべき最重要項目が「権利関係」です。見た目がきれいな土地でも、他人の権利が残っている・抵当権が設定されている・借地権の土地だったなど、購入後に大きなトラブルへ発展するケースもあります。


🏠 土地の「権利関係」3大ポイント

種類

内容

注意点

所有権

土地を完全に自分のものとして利用できる権利

最も安心できるが、登記上の名義を必ず確認

借地権

他人の土地を借りて建物を建てる権利

契約期間・更新条件・地代支払いに注意

抵当権

銀行が融資の担保として設定する権利

抹消登記が済んでいないと購入できない場合あり

🔍 確認の手順

  1. 法務局またはオンライン登記情報提供サービスで**登記簿謄本(全部事項証明書)**を取得

  2. 「権利部(甲区・乙区)」を確認

  3. 抵当権や共有者が存在する場合は、売主・不動産会社に解除予定や登記変更予定を必ず確認


💬 プロのアドバイス

「売主=所有者」とは限りません。売主が法人で、実際の登記名義人が個人の場合、代表者の承諾が必要になることも。また、抵当権付き土地では決済日に抵当権を抹消する手続きが正確に行われるかどうかが極めて重要です。

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2-2. 登記簿謄本で見るべきポイント

登記簿謄本(全部事項証明書)は、土地の“戸籍”のようなものです。契約前に必ず取得し、誰の土地で、どんな権利が設定されているかを確認しましょう。


📑 登記簿の構成

区分

内容

チェック項目

表題部

所在地・地番・地目・地積

面積が実測と一致しているか

権利部(甲区)

所有者・所有権移転履歴

売主が本当に所有者か

権利部(乙区)

抵当権・地上権・賃借権など

抹消予定の抵当権が残っていないか

✅ 見落としやすい注意点

  • 「地目」が宅地以外(畑・山林・雑種地)になっている場合 → 住宅を建てるには地目変更手続きが必要

  • 「共有名義」になっている場合 → 共有者全員の同意がないと契約無効になることも

  • 「相続登記未了」になっている場合 → 契約できても登記移転が遅延・無効リスクあり


🧾 具体例(典型的な注意ケース)

例:登記簿上の所有者が「田中太郎」だが、実際に売却対応しているのは「田中花子(妻)」。→ 花子さんは法的に売主ではないため、委任状+印鑑証明書が必要。この確認を怠ると、売買契約自体が無効になるリスクがあります。



2-3. トラブルの多い共有名義・地目変更の注意点


🧩 共有名義の土地とは

兄弟・親族で共同所有している土地を指します。たとえ1人が「売りたい」と思っても、他の共有者全員の同意がなければ売買契約は成立しません。

リスク

内容

合意形成の難しさ

共有者の1人でも反対すると契約できない

名義人の死亡・所在不明

相続人の調査・承認手続きが必要

売却後のトラブル

「同意していない」と訴えられるケースも

💬 実務者コメント

「親戚の名義が一部残っている」ケースは地方では非常に多いです。権利関係を解消してから販売するのが基本。契約書に“共有者承諾済み”と明記されていない場合は、契約を保留すべきです。

🏕️ 地目変更の必要性

地目(ちもく)は、土地の用途区分(宅地・畑・山林など)を示します。地目が「畑」の場合、住宅を建てるには農地転用許可が必要で、許可が下りるまで数週間〜数か月かかる場合もあります。

地目

建築可能性

必要な手続き

宅地

○ 建築可能

特になし

田・畑

× 原則不可

農地転用許可が必要

山林・原野

△ 地盤や接道次第

地目変更+造成工事が必要




💡 第2章まとめ|登記簿を読めば土地の“過去とリスク”が見える

土地契約のトラブルの約6割は、「登記・権利関係の確認不足」が原因です。購入を急がず、登記簿を一度自分の目で確認することが最大のリスク回避になります。


🏗️ プロのアドバイス

契約書よりもまず「登記簿」を読む。権利関係に不明点がある場合は、法務局か司法書士に相談。“安い土地”の多くは、権利関係が複雑であることが多い。



境界・面積・接道のチェックポイント

3-1. 境界杭・測量図の有無を確認

土地契約の前に、まず確認すべきは**「境界が確定しているか」**です。境界が曖昧なまま契約を進めると、将来的に「隣地との越境トラブル」「塀をどちらが建てるか問題」「測量費用の負担」などに発展するケースが非常に多いです。


📏 境界確定とは?

隣地所有者との立ち会いを経て、土地の境界線を明確にし、杭やプレートで物理的に示す作業のこと。法的にも「確定測量図」として登記簿上に反映される重要書類です。

種類

内容

法的効力

確定測量図

境界点を現地確認+隣地所有者立ち会い済

高い(将来の紛争防止に有効)

現況測量図

売主・業者の調査のみで作成

弱い(隣地承諾がない場合が多い)

公図

法務局の古い図面。目安レベル

参考程度(誤差数mあることも)

✅ チェックリスト:契約前に確認すべき境界関連項目

  • 境界杭が全ての角に存在するか

  • 「確定測量図」があるか(立ち会い者の署名が入っているか)

  • 隣地との境界線が塀・ブロックなどで曖昧になっていないか

  • 建物解体後の再測量費用は誰が負担するか


💬 プロのアドバイス

契約書に「現況有姿(現状のまま)」と書かれている場合、境界未確定でもクレーム不可とみなされることがあります。「確定測量図あり」または「引き渡しまでに確定測量実施」と明記させておくことが安全です。



3-2. セットバックや再建築不可のリスク

境界確認と同じくらい重要なのが、接道条件(道路との関係)です。都市計画法上、建物を建てるには「建築基準法上の道路」に2m以上接していることが条件です。この条件を満たしていない土地は「再建築不可物件」となり、家を建て替えることができません。


🛣️ 接道条件のチェック項目

項目

内容

注意点

道路種別

公道 or 私道

私道は通行権や掘削許可が必要

幅員

4m以上(原則)

4m未満ならセットバック必要

接道長さ

2m以上

2m未満なら再建築不可リスク

道路位置指定

指定番号の有無

無指定は“みなし道路”扱いの可能性

🚧 セットバック(道路後退)とは?

前面道路の幅が4m未満の場合、道路中心線から2m後退した位置を敷地境界とみなす制度です。つまり、土地の一部を“道路として提供”しなければならないことになります。

例:間口10mの土地で、道路幅3mの場合→ 道路中心線から2m必要 → 自分の土地の0.5m分 × 間口10m = 5㎡が減少

📉 セットバックで損する典型的ケース

  • 建ぺい率・容積率の計算に不利(有効面積が減る)

  • フェンス・塀を建てられないエリアができる

  • 実質の敷地が狭くなり、駐車スペースが確保できなくなる


⚠️ 注意

こうした条件は「重要事項説明書」に記載されていますが、口頭説明だけでは理解しにくいため、「道路位置図」「測量図」「公図」を現地で照らし合わせて確認しましょう。



3-3. 私道負担・通行権の有無を見逃さない

土地契約でもっとも見落としやすいのが「私道(しどう)」です。見た目は道路でも、実際は個人所有地であるケースが多く、建築時やライフライン工事に制約がかかります。


🚗 私道の種類とリスク

種類

所有者

リスク

共有私道

複数人(近隣住民など)

掘削・通行許可が必要

他人所有私道

一部の個人・法人

通行権の設定がなければ通行不可

公道扱い私道

行政が管理

問題は少ないが工事許可は要確認

✅ 契約前に確認すべき3つのポイント

  1. 「通行地役権」や「通行承諾書」が登記されているか

  2. ライフライン(上下水道・ガス)を掘削して引けるか

  3. 持分割合が明確になっているか(登記簿乙区で確認)


💬 プロ視点の補足

私道は「住み始めてからトラブル化する」パターンが多いです。「隣の家が許可してくれない」「道路補修費を請求された」など、関係性リスクも見逃せません。購入前に自治体へ「道路台帳」を請求し、私道の管理者・所有者・幅員を確認しておくのが安全です。



💡 第3章まとめ|境界・接道・私道は“現地確認”が命

土地契約の失敗例で最も多いのが、境界・道路に関する認識ミスです。地図上は問題なく見えても、現地では杭がずれていたり、道路幅が足りなかったりすることもあります。


🏗️ プロのアドバイス

測量図は**「確定測量図」**を必ず要求する。「再建築不可」「私道持分なし」は、価格が安くても避ける。不動産会社任せにせず、自分でも現地を歩き、境界杭・道路幅・隣地状況を目視確認。



土地の法的制限と建築条件の確認

4-1. 用途地域・建ぺい率・容積率の意味

土地には、好きなように建物を建てていいわけではありません。都市計画法に基づき、用途地域ごとに建築できる建物の種類・大きさ・高さが制限されています。契約前にこの「用途地域」を確認しないと、「希望の家が建てられない」「2階が建てられない」などの問題が発生します。


🏙️ 用途地域とは?

土地の利用目的を行政が定めた区分で、住宅地・商業地・工業地などに分類されています。全国で13種類あり、住宅が建てられるのは主に「第1種低層住居専用地域」などの住居系エリアです。

用途地域

建てられる主な建物

特徴

第1種低層住居専用地域

戸建住宅・小規模店舗

建ぺい率50%・容積率100%前後

第1種中高層住居専用地域

住宅・中層マンション

日影規制あり

近隣商業地域

店舗・共同住宅

通勤・通学に便利だが騒音リスクあり

準工業地域

工場・住宅混在可能

価格は安いが環境に注意

📐 建ぺい率・容積率とは?

  • 建ぺい率(けんぺいりつ):敷地面積に対する建築面積の割合

    → 例:敷地100㎡ × 建ぺい率60% → 建築面積60㎡まで

  • 容積率(ようせきりつ):敷地面積に対する延床面積の割合

    → 例:敷地100㎡ × 容積率200% → 延床面積200㎡まで


💬 注意

角地・防火地域・前面道路幅などによって、この数値は変動します。契約前に不動産会社へ「建築計画概要書」または「都市計画証明書」を提示してもらいましょう。

✅ チェックリスト:この土地は本当に“建てられる土地”?

  • 用途地域は住宅に適しているか?

  • 建ぺい率・容積率が希望の建物に対応しているか?

  • 日影規制や高さ制限がないか?

  • 防火・準防火地域に該当していないか?




4-2. 風致地区・景観条例などの地域制限

土地の法的制限は、都市計画法だけではありません。自治体独自の条例によって、外観・色・高さ・樹木の伐採などが制限されることもあります。


🏞️ 代表的な地域制限の例

制限名

内容

主な地域

風致地区

樹木・塀・建物高さなどを制限

京都市、鎌倉市など

景観地区

屋根色・外壁色・デザインの制限

神戸市、横浜市など

防火・準防火地域

建物構造やサッシ仕様を制限

都市中心部(東京23区など)

特別用途地区

特定施設(病院・工場など)に制限

都市再開発区域など

💬 例

京都市北区の風致地区「建物高さ10m以下」「屋根勾配30度以内」「外壁は自然色系」など細かい制限あり。設計士が知らずにプランを作ると、建築確認が下りないことも。

⚠️ 注意:景観条例は建築確認では見逃されやすい

建築確認は建築基準法のチェックのみ。しかし、景観条例は自治体独自の判断なので、確認申請とは別に届出が必要な場合があります。土地契約前に市役所の「都市計画課」へ、“建築計画予定地”の住所で制限確認を行いましょう。




4-3. 建築条件付き土地の注意点

土地契約で特に注意すべきが、「建築条件付き土地」です。これは、土地を購入する際に指定の建築会社(ハウスメーカー・工務店)で建てることが条件となっている土地を指します。


📋 建築条件付き土地の仕組み

項目

内容

条件

「土地+建築セット販売」

建築会社

売主が指定する業者のみ選択可能

契約期間

3か月以内に建築請負契約を結ぶのが一般的

メリット

土地代が比較的安い/設計がスムーズ

デメリット

業者選択の自由がない/建築費が高くなりがち

⚠️ よくあるトラブル事例

  • 建築条件を知らずに土地契約してしまい、後からハウスメーカーが指定される

  • 契約期間内(3か月)に建築契約が決まらず、土地契約が解除されてしまう

  • 条件解除に**違約金(数十万円)**を請求される


✅ 契約前に確認すべきポイント

  • 「建築条件付き」である旨が重要事項説明書に明記されているか

  • 指定建築業者の見積書・仕様書・坪単価を事前に提示されているか

  • 「条件解除条項」があり、他社施工が可能か


💬 プロのアドバイス

建築条件付きは、実質的には建築会社を選べない土地です。“土地は安いけど建物が高い”というケースが多く、総額で見ると相場より高くなる可能性があります。どうしても気に入った土地なら、「条件解除交渉(追加費用支払い)」も選択肢です。

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💡 第4章まとめ|法的制限と条件を理解すれば「後悔ゼロ」の土地選びができる

法的制限を知らずに契約してしまうと、「建てたい家が建てられない」「追加工事が必要になった」「許可が下りない」などのリスクが発生します。


🏗️ プロのアドバイス

契約前に「都市計画図」「用途地域証明書」「建築条件書」を確認。建築士・不動産士の両方から説明を受ける。安い土地には必ず“理由”がある。価格だけで判断しない。



土地の安全性・地盤リスクをチェック

5-1. 地盤調査・液状化リスクの確認方法

土地契約の際に最も軽視されがちなのが、「地盤の強さ」です。見た目が平らな土地でも、地中の構造や地質によっては不同沈下や液状化のリスクが潜んでいることがあります。


🏗️ 地盤調査とは?

建物を建てる前に、地中の硬さ・構造・支持層の深さを調べる検査。通常は建築請負契約後に行われますが、土地契約前にも「過去の調査結果」を確認しておくことが可能です。

調査方法

内容

精度

費用目安

スウェーデン式サウンディング試験(SWS)

家庭用住宅の標準調査法

★★★☆☆

約5〜8万円

ボーリング調査

深い地層まで掘削して分析

★★★★★

約20〜40万円

表面波探査

振動波で地盤硬度を推定

★★☆☆☆

約5万円前後

🌍 液状化リスクの確認手順

  1. 各自治体のハザードマップポータルサイトで地盤カテゴリを確認

  2. 「低地・埋立地・河川近く」は要注意エリア

  3. 地盤改良工事が必要な場合、費用50〜150万円前後を見込む


💬 プロのアドバイス

「地盤改良費」は建物費用に含まれていないことが多く、土地によって追加費用が発生します。契約前に「この土地は改良が必要になる可能性がありますか?」と確認するだけで、後悔を防げます。

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5-2. ハザードマップ・浸水リスクの見方

「安い土地だと思ったら、実は浸水常習地だった」というトラブルは全国で増加しています。価格よりも安全性を優先して土地を選ぶのが、今の時代の常識です。


🗾 ハザードマップの確認方法

リスク項目

主な指標

確認ポイント

洪水

浸水想定深(cm)

50cm以上で家屋浸水リスク

土砂災害

警戒区域・特別警戒区域

がけ地・山沿いは要注意

津波

到達想定エリア

海抜10m以下はリスク高

地震

表層地盤増幅率

揺れやすさ・液状化の目安

💬 補足

建築基準法上は建築可能でも、「災害リスクが高い土地=住宅ローン審査で不利」になることがあります。銀行によっては「ハザードマップ要注意エリア」の土地を担保評価で減額する場合もあります。

📋 チェックリスト:契約前に行う現地確認

  • 雨上がりの日に水が溜まりやすい地形か?

  • 周辺より低い場所に位置していないか?

  • 側溝の排水状態は良好か?

  • 近隣に擁壁(ようへき)やがけがないか?




5-3. 周辺環境・騒音・臭気・高低差の影響

地盤や災害だけでなく、周辺環境の快適性も契約前に確認しておきましょう。特に見落としがちなのが、**騒音・臭気・高低差(擁壁)**です。


🚧 騒音・臭気の確認方法

  • 近隣に工場・大型道路・飲食店がないか

  • 夜間や早朝の交通量を現地で確認

  • 下水処理施設・畜産施設・河川の近くは風向きによって臭気が強まる場合あり


⛰️ 高低差・擁壁の注意点

  • 高低差がある土地は造成・擁壁工事が必要(50〜200万円)

  • 古い擁壁(築30年以上)は再構築指導を受けるケースあり

  • 隣地との境界で「崖地」扱いになると、**建築制限(崖条例)**が適用される可能性も


💬 プロの視点

日中だけでなく、夜・雨の日・風が強い日にも現地を見てください。住宅地の真価は「静けさ・風通し・安全性」にあります。建物を建ててから気づくリスクは、契約前の一歩で防げます。



💡 第5章まとめ|「安い土地」は“理由付き”であることを忘れない

土地は立地・形状・地盤・法規制のすべてが複合的に影響します。一見お得に見える土地でも、地盤改良・擁壁・災害リスクを含めると結果的に高くつくケースが多いのです。


🏗️ プロのアドバイス

ハザードマップ・登記簿・都市計画図を「3点セット」で確認。地盤改良の有無を建築会社に相談し、想定見積もりを事前提示してもらう。“安全な土地”は、“資産価値の落ちにくい土地”でもある。



契約時・引き渡し時に注意すべきポイント

6-1. 契約解除条項(ローン特約)の確認

土地契約で最も重要な条項のひとつが、**「ローン特約」**です。住宅ローンの審査が通らなかった場合に、契約を無条件で解除できる救済措置のことを指します。


💡 ローン特約の基本構造

項目

内容

対象

銀行・フラット35などの住宅ローン審査

効力

審査結果が「否決」の場合、契約を白紙解除できる

返金

手付金は全額返還される

期限

通常は契約日から30日以内に結果を提出

💬 例文(契約書の一部)

「買主が住宅ローンの承認を得られなかった場合、本契約は無条件に解除でき、売主は手付金を無利息にて全額返還する。」

⚠️ 注意点

  • 指定金融機関が限られている場合(例:A銀行のみ)はリスク大。

  • 否決の証明書(融資不承認通知書)の提出期限を過ぎると、特約が無効になる。

  • 「仮審査では通っていたのに本審査で否決」も多い。期限管理を徹底。


✅ チェックリスト:ローン特約を確認する際のポイント

  • 契約書に「住宅ローン特約あり」と明記されているか

  • 適用期限・提出書類が明確か

  • 「金利」「借入額」「金融機関」が柔軟に選べるか

  • 審査結果が出ない場合の取扱い(延長の可否)


💬 プロのアドバイス

ローン特約は買主を守る命綱。書面で「いつまでに」「どの銀行で」「どの金額で」審査を受けるか明確にすることで、無用なトラブルを防げます。



6-2. 手付解除・違約金の取り扱い

契約を途中で解除する場合に関わるのが、手付解除と違約金です。特に、買主側が事情で契約を辞退した場合の金額負担を明確にしておくことが重要です。


🧾 手付解除とは?

契約締結後に「買主が契約をやめたい」と申し出た場合、支払った手付金を放棄することで解除できる制度。逆に、売主が解除する場合は手付金の2倍を返金します。

タイプ

買主の対応

売主の対応

買主から解除

手付金を放棄

なし

売主から解除

手付金の2倍を返金

なし

💬 例

手付金100万円の場合→ 買主から解除 → 100万円放棄→ 売主から解除 → 200万円返還義務

⚠️ 注意点

  • 手付解除は契約書で定めた期日までしか行えない。

  • 「手付解除期日」が過ぎると、解除には**違約金(通常10〜20%)**が発生。

  • 売主都合の解除は民法上の制限あり。


✅ チェックリスト:違約金トラブルを防ぐために

  • 契約書に手付解除期日が明記されているか?

  • 違約金の金額(総額の何%)が明確になっているか?

  • 手付金の性質(解約手付 or 違約手付)を確認したか?

  • 解除条件が曖昧な口約束になっていないか?


💬 プロ視点の補足

「とりあえず契約しておきましょう」は危険。契約書に書かれた期日・金額が、すべての判断基準になります。迷ったら署名・押印の前に「一晩考える勇気」を。



6-3. 引き渡し条件(更地・残置物処理)の明記

土地の引き渡し時に最も多いトラブルが、「更地」「残置物」「境界不備」に関するものです。契約書では“現況有姿”と記載されるケースが多いですが、これは現状のまま引き渡すという意味であり、買主にとって不利な場合もあります。


📋 引き渡し条件で確認すべき内容

項目

内容

注意点

更地渡し

建物・構造物を撤去して引き渡し

撤去費用の負担者を明記

残置物

倉庫・ブロック塀・古井戸など

契約書に「撤去済」と記載

境界

杭・塀の確定有無

引き渡し時に確認書を作成

インフラ

水道・ガス・排水の有無

接続負担金の有無を確認

✅ チェックリスト:引き渡し時に後悔しないために

  • 「更地渡し」と明記されているか?

  • 残置物撤去・境界確認の完了時期がいつか?

  • 上下水道・電柱の引込位置が明記されているか?

  • 土地内の“古井戸・樹木・ガラ(廃材)”の処理責任が誰にあるか?


💬 実際のトラブル例

契約書に「現況有姿渡し」と書かれていたため、**古井戸の埋戻し費用(20万円)**を買主が負担することになったケースがあります。“現況有姿”という言葉は便利ですが、買主にとってリスクを含みます。



💡 第6章まとめ|契約条項を理解して「守られる側」に回る

土地契約の最終段階で多いのは、「知らなかった」「聞いていなかった」というトラブルです。書面を読むだけでなく、“書かれていないこと”を質問する姿勢が最も重要です。


🏗️ プロのアドバイス

契約書の“条文の意味”を理解してから署名。不明点は不動産会社ではなく、**第三者の専門家(宅建士・司法書士)**にも確認。契約書のコピーを手元に置き、重要条項には付箋を貼る。



土地契約は「確認と記録」がすべて。書面と現地をセットで確認

7-1. 契約前に必ず確認すべき項目の総まとめ

土地契約は一度サインすれば、簡単には取り消せません。したがって、「契約前に何を確認するか」がすべての鍵を握ります。以下のチェックリストは、不動産取引における失敗・トラブル防止のための最重要項目です。


✅ 土地契約の最終チェックリスト

分類

確認内容

確認方法

権利関係

登記簿上の所有者が売主本人か?抵当権・借地権の有無

登記簿謄本(法務局・登記情報提供サービス)

境界・面積

境界杭が設置されているか?面積誤差の許容範囲

測量図・隣地立会い

用途・制限

用途地域・建ぺい率・容積率・高さ制限

都市計画図・役所窓口確認

地盤・災害

地盤調査済みか?ハザードマップで安全か?

役所・地盤調査会社・現地確認

契約条項

ローン特約・解除条件・手付金・違約金が明記されているか

契約書・重要事項説明書

引き渡し条件

更地渡し・残置物の撤去・境界確認済か

契約書の特約欄

金銭面

手付金・仲介手数料・印紙代・諸費用の内訳

見積書・領収書

💬 プロのアドバイス

「不動産会社に任せきり」ではなく、必ず自分で“契約書と現地の一致”を確認しましょう。書類上の「〇〇済」や「予定」は、現地確認で裏を取ることが鉄則です。

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7-2. 書面と現地をセットで確認する理由

不動産トラブルの8割以上は、「現地と書面の齟齬(そご)」が原因です。つまり、書類上は問題なしでも、現場を見ると違うというケースが非常に多いのです。


🏡 書面だけで判断してはいけない理由

  • 登記簿に境界明記がなくても「杭が消失」しているケース

  • 契約書に「現況有姿」と書かれており、古い擁壁や残置物が残っていた

  • 実際の接道幅が4m未満で、再建築不可になるリスク


📷 記録を残す3つのコツ

  1. 現地写真をスマホで撮影(境界杭・道路幅・電柱・排水桝など)

  2. 不動産会社との会話をメモ(「撤去します」「確認済です」など)

  3. 契約書・重要事項説明書・測量図をファイル化して保管


💬 実体験例

「売主が撤去すると言っていた倉庫が残ったまま引き渡された」→ 書面記録があれば法的に主張可能ですが、口頭のみでは難しいです。



7-3. 契約後にできるトラブル防止対策

契約が完了したあとでも、“引き渡しまでの管理”が重要です。土地の状態が変わったり、登記変更が遅れるケースもあります。


🔍 契約後に行うべき確認事項

  • 引き渡し前の現地確認(ゴミ・残置物・境界標の再確認)

  • 登記名義変更の完了通知書を司法書士から受け取る

  • 固定資産税・公課証明書の名義変更を忘れずに


💬 プロの視点

「契約して終わり」ではなく、「登記完了・引き渡し完了」までが1つの取引です。途中で担当者が変わった場合は、進捗確認のメール記録を残しておくと安全です。



7-4. 不動産取引は“価格”よりも“リスク管理”で差がつく

土地購入の成功・失敗を分けるのは、価格交渉の上手さではなく、**「確認と記録の精度」**です。同じ価格帯でも、リスクを見抜けるかどうかで、後々のトラブル回避率が大きく変わります。


✅ 後悔しない土地契約の鉄則

  • 書面・現地・担当者の説明を「三方向」で確認する

  • 不明点は契約前に必ず「文書で回答」をもらう

  • 契約書の特約欄は、買主からの希望条件も追加記載できる

  • 第三者(司法書士・宅建士・建築士)に**“ダブルチェック”**を依頼する


💬 著者コメント(元・住宅営業マン)

私自身、これまで沢山の土地・建物契約を見てきましたが、契約後にトラブルになる方の多くは「確認を人任せにしていた」ケースです。逆に、“自分で書類に付箋を貼って質問した”お客様ほど、最終的に満足度が高い傾向があります。不動産契約の成功は、「質問力」に比例します。



💡 最終まとめ|“信頼できる取引”は「疑問を残さない姿勢」から

土地契約の本質は、**「信頼」ではなく「確認」です。誠実な業者ほど、買主からの質問を歓迎します。不安や疑問をそのままにせず、“納得のうえでハンコを押す”**ことこそ、後悔しない最大の防御策です。


🏠 最終アドバイス

不動産は一生で一度の大きな契約。契約の“スピード”より“理解度”を優先する。書類・現地・専門家の3点確認を徹底する。安心できる契約こそ、理想のマイホームへの第一歩。



ソース名・資料名

内容概要

宅地建物取引業法(全文)

不動産売買・仲介に関する基本法。権利関係・重要事項説明・契約義務の根拠法。 (e-Gov 法令検索)

国土交通省 「重要事項説明における各法令に基づく制限等についての概要一覧」

用途地域・都市計画・法令制限・私道負担など、不動産取引時に開示すべき制限のリスト。 (国土交通省)

国土交通省 「重要事項説明・書面交付制度の概要」

不動産取引での「重要事項説明書」の役割・義務・説明義務の説明。 (国土交通省)

国土交通省 「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」

宅建業法の運用指針。媒介契約・売買契約の手続き、説明義務、報酬規制などの実務ルール。 (国土交通省)

不動産売買の一般解説サイト(例:不動産売買契約書と重要事項説明書の違いと注意点)

売買契約書と重要事項説明書の役割や注意点をわかりやすく説明。 (レキオウウィング)

不動産取引の消費者向けガイド(例:私道負担・境界・登記確認について解説する記事)

私道負担や境界の問題、登記簿確認の必要性などを具体例で説明。 (MIRAI不動産株式会社 |)


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