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現金で家を買うのはアリ?住宅ローンとの違いとメリット・デメリットを徹底比較

  • 執筆者の写真: 見積もりバンク担当者
    見積もりバンク担当者
  • 2 日前
  • 読了時間: 31分

更新日:2025年11月28日


家を買うとき、最初に悩むのが「現金で買うか?住宅ローンを組むか?」という選択です。近年、金利上昇や老後の安心を理由に、現金一括で家を購入する人が増加しています。一方で、住宅ローンを利用すれば控除や保険、資産運用の自由度といったメリットも得られます。

この記事では、2025年最新の制度・税制を踏まえて、「現金購入」「ローン購入」それぞれの損得・注意点・判断基準を実例・比較表・専門家コメント付きで詳しく解説します。あなたのライフスタイルに合った“正しい選択”を見つけましょう。

現金で家を買うのはアリ?住宅ローンとの違いとメリット・デメリットを徹底比較

目次

└ 1-1. 家を現金一括で購入するケースの増加と背景

└ 1-2. 住宅ローンでの購入と現金一括払いの違い

└ 1-3. 現金で家を買う人の特徴・どんな人が選ぶのか

└ 2-1. 毎月返済ゼロで得られる精神的安心感

└ 2-2. ローン審査不要でスムーズな契約

└ 2-3. 金利・総支払額を抑えられる経済的効果

└ 2-4. 値引き交渉・資産活用の面での優位性

└ 2-5. 注文住宅と建売住宅で異なるメリット

└ 3-1. 流動性リスクと手元資金不足

└ 3-2. 住宅ローン控除の非適用

└ 3-3. 投資・運用機会の喪失

└ 3-4. 贈与税・相続税の申告リスク

└ 3-5. 登記・諸費用など想定外の出費

└ 5-1. 必要資金と計画の立て方

└ 5-2. 契約・支払い・登記のステップ

└ 5-3. 税金・確定申告・軽減措置の対応

└ 5-4. 手付金・登録免許税・諸費用の計算ポイント

└ 6-1. 宝くじ・相続・贈与など特殊ケース

└ 6-2. 年収・年齢別の現金購入者の傾向

└ 6-3. 戸建て・マンション・土地別の注意点

└ 6-4. Q&A形式で疑問を解消

└ 7-1. 両者の総合比較と最適な判断基準

└ 7-2. 判断に迷ったときのチェックリスト

└ 7-3. ライフステージ別おすすめプラン

└ 7-4. 専門家からの最終アドバイス

現金で家を買うのはアリ?住宅購入の支払い方法をわかりやすく解説

1-1. 家を現金一括で購入するケースの増加と背景

かつては「家を買う=住宅ローンを組む」が一般的でしたが、近年では現金で家を一括購入する人が増加しています。住宅金融支援機構の2024年度調査によると、新築住宅購入者のうち約16%が現金購入を選択。特に50代以上の世帯や退職金世代で顕著です。


■ 背景としての主な要因

背景要因

内容

金利上昇への懸念

日銀の緩和政策修正により住宅ローン金利が上昇傾向

現金資産の運用難

定期預金の利率が0.002%前後と低く、資産を実物に替える動き

老後不安の回避

借金を抱えず老後を迎えたい心理

不動産資産志向

「現金より家を残したい」という資産防衛の考え方

2025年は特に、GX志向型住宅(脱炭素住宅)補助金制度や固定資産税の軽減特例延長の影響もあり、「ローンを使わずに補助金を活用し、現金で購入する」という層が増えています。


💬 専門家コメント

「金利上昇局面では“借りないリスク回避”の意識が強まります。ただし、現金一括購入は安心感がある反面、手元資金をすべて固定資産に変えることで“流動性リスク”が発生します。資金計画のバランスが重要です。」



1-2. 住宅ローンでの購入と現金一括払いの違い

家の購入方法は大きく分けて「現金一括」と「住宅ローン」の2つです。それぞれの違いを整理すると以下の通りです。

比較項目

現金一括購入

住宅ローン利用

支払い方法

全額を一度に支払う

毎月分割で支払う

金利負担

なし

あり(変動・固定)

手続き

簡単・スピーディー

審査・保証料・登記など多い

所有権移転

即時可能

融資実行後に移転

税制優遇

住宅ローン控除なし

控除・補助金の対象あり

リスク

資金枯渇リスク

返済不能リスク

たとえば住宅ローンを利用すると、「住宅ローン減税」により年末残高の0.7%を10年間控除可能です。仮に3,000万円を借りた場合、総額で最大210万円の税額控除を受けられる計算になります。


✅ ポイントまとめ

現金購入は「支払い完結型」で安心住宅ローンは「節税・保険・資金分散」が可能総支払額と“手元に残るお金”の両面で比較することが大切

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1-3. 現金で家を買う人の特徴・どんな人が選ぶのか

現金一括購入を選ぶ人には一定の共通点があります。主なタイプを見ていきましょう。


■ 現金購入を選ぶ人の代表的タイプ

タイプ

特徴

退職金利用型

60代前後。退職金と貯蓄でローンを避けたい層

売却資金活用型

旧宅を売却して新居に充当する買い替え層

相続・贈与型

両親や祖父母の支援金・遺産を活用するケース

フリーランス・個人事業主型

収入の波があり、住宅ローン審査に通りにくい

投資・富裕層型

資産分散の一環として現金で所有する層

筆者(元住宅営業マン)の経験でも、全顧客の約2割が現金一括派でした。特に「銀行に収入を見せたくない」「手続きが面倒」という心理的理由から現金を選ぶ方も多く見られます。


💡 実体験談(住宅営業時代)

「50代後半のご夫婦が、退職金と預金で3,500万円の注文住宅を現金購入されました。ローン手続きが不要で、追加工事や仕様変更も即決済できたため、設計~引き渡しまで非常にスムーズでした。」



プロ視点のアドバイス

  • 現金購入は「自由度」が高く、ローン審査・融資実行を待たずに契約・着工が可能。

  • ただし、生活防衛資金を全て使ってしまうと緊急時に身動きが取れない。

  • 住宅ローン控除・団体信用保険などの金融的メリットも考慮し、「節税分」を織り込んだ総支払額比較を行うべき。




🔍 まとめ:第1章のポイント

観点

内容

現金購入が増えている背景

金利上昇・安心志向・補助金活用

ローンとの主な違い

税制優遇・手続き・流動性の有無

向いている層

退職金利用・売却資金・相続・自営業など

注意点

手元資金の確保・税制メリットの検討が必須




現金で家を買うメリット|住宅ローンとの比較で見える強み

 

2-1. 毎月の返済ゼロ・精神的な安心感と家計の安定

現金で家を買う最大の魅力は、**「毎月の返済がない」**という精神的な安心感です。住宅ローンを利用すれば、30年にわたる長期の支払いが続き、金利変動や収入減少への不安が常につきまといます。一方で現金一括購入は、購入時点で住宅が完全に自分の資産になるため、「住宅ローン破綻」や「金利上昇リスク」から解放されます。


■ 実際の家計シミュレーション(例)

項目

現金購入

ローン(3,000万円・35年・金利1.2%)

毎月の支払い

0円

約8.6万円

総支払額

3,000万円

約3,600万円

利息負担

0円

約600万円

返済完了時期

即時

35年後

この差額600万円は、単に「金利」だけではなく、家計の自由度にも大きく影響します。現金購入では毎月8.6万円を別の目的(旅行・教育・老後資金など)に回すことができ、結果的に家族のQOL(生活の質)を向上させることができます。


💬 専門家コメント

「ローン返済のプレッシャーから解放されることは、金額以上の心理的メリットがあります。精神的ストレスが減ることで、長期的に見れば健康面・家族関係にも良い影響を与えるケースも多いです。」



2-2. ローン審査不要・手続きや入居のスムーズさ

現金購入は、ローン審査が不要で手続きが非常にスムーズです。住宅ローンを組む場合、融資承認・契約・金消契約・実行日調整など、多くの工程と銀行のスケジュール調整が必要になります。


■ 手続きの流れ比較

項目

現金購入

住宅ローン利用

審査

不要

審査あり(1~2週間)

契約から決済まで

約1〜2週間

約1〜1.5か月

引き渡し時期

早い

銀行実行日に依存

必要書類

最小限

多数(印鑑証明・住民票・所得証明など)

特に建売住宅や中古住宅では、**「現金購入者が優先される」**ケースもあります。売主としても「融資が通らないリスクがない」ため、現金購入者を好む傾向があります。


✅ チェックポイント

現金購入なら「即日契約・即決済」も可能引き渡しスケジュールを自分主導で決められる審査や融資実行の遅延リスクがない



2-3. 金利や総支払額を抑えられるメリット

現金購入では金利負担がないため、長期的に見た総支払額が圧倒的に少なくなります。

例えば、3,500万円を年1.3%の固定金利で35年ローンにした場合、支払い総額は約4,250万円。実に750万円が利息負担です。

現金一括であれば、この750万円を将来のリフォーム費用や教育資金として活用できます。


■ 金利負担の比較表

借入額

金利

期間

支払総額

利息額

3,000万円

1.0%

35年

約3,550万円

約550万円

3,000万円

1.5%

35年

約3,790万円

約790万円

現金購入

3,000万円

0円

金利上昇リスクも無視できません。2025年現在、変動金利型住宅ローンの下限は0.3〜0.4%台ですが、日銀の金融政策次第では、今後1〜2%台に上昇する可能性もあります。


💬 プロ視点アドバイス

「住宅ローンは“金利が上がるリスク”を常に抱えています。固定金利にすれば安心ですが、その分金利は高く、総支払額も増える。現金購入はこのリスクをゼロにできる、最も確実な方法です。」



2-4. 値引き交渉や資産活用面での利点

現金購入者は、売主や仲介業者との交渉で優位に立ちやすいという強みがあります。理由はシンプルで、「融資が通らない」「契約が流れる」リスクがないためです。


■ 不動産業界でよくある“現金優遇”パターン

ケース

売主の心理

結果

建売住宅

早く資金を回収したい

現金客に5〜10万円の値引き

中古住宅

早期売却を希望

現金購入者を優先案内

土地売買

契約から登記まで短縮できる

売主にとって安心材料に

また、住宅を購入したあとも、借入金がない=自由な資産運用が可能です。たとえば、将来的に売却して別の土地や物件に買い替える際も、ローン残債の清算が不要なため、流動性が高い資産として活用できます。


💬 業界内部の裏話

「不動産営業の現場では、“現金即決のお客様”は特別扱いされることが多いです。契約トラブルのリスクが低く、会社の資金回収も早いため、営業側も値引きに応じやすいのです。」

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2-5. 注文住宅・建売住宅で現金購入のメリットの違い

現金一括購入といっても、注文住宅と建売住宅ではメリットの性質が異なります。


■ 比較表:住宅タイプ別の現金購入メリット

項目

注文住宅の場合

建売住宅の場合

支払いタイミング

契約時・上棟時・引き渡し時の3段階

契約〜決済まで一括

手続きのスムーズさ

施主判断で柔軟に進められる

売主に即金で支払えるためスピード決済可能

値引き効果

工事進捗に応じて追加発注が容易

即決で価格交渉しやすい

入居までの期間

長期(6〜10か月)

短期(即入居可も多い)

総合的メリット

設計自由度+金利ゼロ

価格交渉+スピード重視

注文住宅では「仕様変更やオプション追加」を柔軟に行えるため、工務店側が現金客を好む傾向があります。資金確保が早い分、着工スケジュールが安定するからです。




🔍 第2章まとめ:現金購入の4つの強み

観点

内容

経済的メリット

金利負担ゼロ・総支払額を抑制

精神的メリット

返済不要による安心・ストレス軽減

実務的メリット

手続き短縮・入居スムーズ

交渉面メリット

値引き・優先契約・資産流動性の高さ

💡 専門家コメント

「現金購入は“資金管理と判断力が伴う人”に向いた選択です。単に“ローンが嫌だから”ではなく、税制・流動性・リスク分散まで踏まえて総合的に判断することが重要です。」



現金一括購入のデメリットと注意点

3-1. 流動性リスクと手元資金不足の懸念

現金で家を買う最大の落とし穴は、**「流動性リスク(現金の動かしにくさ)」**です。家は一度購入すると、すぐに現金化できる資産ではありません。特に全額を現金で支払ってしまうと、手元資金が極端に減少し、いざという時の出費に対応できない事態が起こり得ます。


■ 流動性リスクの具体例

事例

想定リスク

① 医療費や介護費が急に必要

預金が足りずカードローンを利用する羽目に

② リフォームや修繕費

屋根や外壁など急な出費に対応できない

③ 子どもの教育費

住宅購入後に学費・塾代が重なり、資金不足に

④ 収入減少・退職

緊急時の現金がなく、資産を売却せざるを得ない

住宅は「資産」ではありますが、「流動性の低い資産」です。現金一括購入を検討する際は、生活防衛資金として最低でも6〜12か月分の生活費を確保しておくことが鉄則です。


💬 専門家アドバイス

「3,000万円の住宅を購入する際、手元資金が3,500万円ある場合は危険です。理想は『購入後に1,000万円程度の預貯金が残ること』。この“残す勇気”が後悔を防ぎます。」



3-2. 住宅ローン減税や控除の適用外になる可能性

現金購入では、**住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)**が利用できません。この制度は「ローンを利用して住宅を取得した人」が対象のため、現金一括購入者は控除を受けられないのです。


■ 住宅ローン減税の概要(2025年時点)

項目

内容

控除期間

最大13年間(新築・長期優良住宅など)

控除率

年末残高の0.7%

控除上限額

最大4,550万円(条件により異なる)

対象者

住宅ローンを利用して住宅を購入した人

たとえば3,000万円のローンを組んだ場合、年末残高が減少していく中で10年間で約200万円の控除効果を受けられる計算になります。現金購入ではこの恩恵を完全に失うため、**「控除を捨てる=実質的に損をしている」**という見方もできます。


💡 補足

代替できる節税策「住宅取得等資金の贈与非課税制度」:最大1,000万円まで非課税(2025年3月末まで)「長期優良住宅やZEH認定による固定資産税軽減」も対象にできる場合あり



3-3. 資産運用・投資機会喪失など老後の不安

現金で家を購入すると、資金のすべてを“住まい”という1つの資産に集中投資することになります。つまり、「分散投資」ができなくなるのです。


■ 現金購入と資産運用の差

項目

現金一括購入

ローン利用+運用併用

手元資金

ほぼゼロ

数百万円〜数千万円残る

投資可能額

なし

株式・投信などに分散可能

リターン機会

ゼロ

年3〜5%の運用益を狙える

リスク

流動性リスク高

金利リスクありだが運用で補える

たとえば、3,000万円を全額現金で使う代わりに、2,000万円をローン、1,000万円を投資に回した場合、年3%で運用できれば10年で約1,300万円の利益を生み出せます。つまり、住宅ローンの金利負担を運用益で相殺する戦略もあり得るのです。


💬 専門家コメント

「現金一括購入は“安全”に見えて、実は“成長機会を失うリスク”があります。老後資金を含めた資産全体のポートフォリオで考えることが大切です。」



3-4. 贈与税や相続税など税務署への申告と注意点

親からの資金援助や相続を使って現金で家を買う場合、税務上の手続きや申告が必須になります。「知らなかった」では済まない、意外な落とし穴です。


■ 贈与・相続を利用した現金購入の注意点

項目

内容

贈与税の非課税枠

110万円/年(親子間)

住宅取得資金の非課税枠

最大1,000万円(2025年3月まで)

相続時精算課税制度

2,500万円まで非課税(相続時に清算)

必要な申告

贈与税申告書の提出が必要(翌年2月〜3月)

とくに「住宅取得等資金の非課税制度」を利用する場合、契約日や引き渡し時期によって対象外になることもあるため、税務署や専門家に事前確認を行うことが重要です。


⚠️ 注意

贈与を受けたことを申告しないと、後に追徴課税の対象となる親が亡くなった際に相続税の対象として再計算されることがある



3-5. 諸費用・登記・固定資産税など発生費用の把握

現金で家を買う場合も、**「本体価格以外の費用」**が必ず発生します。ローンがない分、金融機関手数料は省けますが、その他の費用は避けられません。


■ 現金購入でも必要な諸費用一覧

費用項目

概算金額

備考

登記費用(所有権移転)

約15〜30万円

司法書士への依頼含む

固定資産税・都市計画税

年間10〜20万円程度

新築は軽減措置あり

火災保険・地震保険

10〜30万円(10年)

任意加入だが推奨

仲介手数料

売買価格の3%+6万円+税

不動産仲介業者に支払い

印紙税・登録免許税

5〜10万円

契約書・登記時に発生

不動産取得税

評価額の3〜4%

購入半年〜1年後に通知あり

これらを合計すると、**物件価格の5〜8%**にのぼる場合があります。3,000万円の住宅なら、150〜240万円程度の現金を別途用意しておく必要があります。


💬 プロ視点コメント

「“ローンがないから安く済む”と思っていたお客様が、諸費用で想定外の出費に驚くケースは多いです。契約前に“現金購入の総額シミュレーション”を作成することが、最も重要な準備です。」

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🔍 第3章まとめ:現金購入で見落としがちなリスク

デメリット

内容

流動性リスク

現金が動かせず、緊急時に対応できない

控除対象外

住宅ローン減税を受けられない

投資機会喪失

資金が“家だけ”に集中する

税務リスク

贈与・相続時に申告漏れのリスク

諸費用負担

登記・保険・税金など追加支出が発生

💡 専門家アドバイス

「現金購入は“借金ゼロ”という安心感の裏に、“運用・税務・資金繰り”の3つのリスク”が潜んでいます。『現金=安全』ではなく、総合的な資金戦略として位置づけることが大切です。」



住宅ローンを利用するメリット・現金購入との徹底比較

4-1. 住宅ローン減税・各種控除の活用方法

住宅ローンの最大の魅力は、**「住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)」**を活用できる点です。この制度をうまく利用すれば、実質的に数百万円単位の節税が可能になります。


■ 住宅ローン減税の基本概要(2025年最新版)

項目

内容

控除期間

最大13年間(新築・ZEH・長期優良住宅など条件あり)

控除率

年末残高の0.7%

控除限度額

最大4,550万円(認定住宅)/3,000万円(一般住宅)

控除対象

所得税+住民税(合算で控除可)

所得制限

合計所得額が2,000万円以下

たとえば、3,000万円のローンを組んだ場合、初年度は21万円(0.7%×3,000万円)が控除され、10年間で合計約150〜200万円の節税効果になります。

さらに、住宅ローン減税と併用できる税制もあります。


■ 併用可能な代表的控除制度

  • すまい給付金(最大100万円):所得制限あり(目安年収775万円以下)

  • ZEH・長期優良住宅の固定資産税軽減:5年間の税額1/2軽減

  • 登録免許税・不動産取得税の軽減措置:条件を満たせば2〜3割軽減


💬 専門家コメント

「現金購入では“控除を捨てている”のに等しいです。ローンを組むことで税還付が得られるなら、むしろ“戦略的に借りる”方が合理的な時代です。」



4-2. 団体信用生命保険への加入や安心感

住宅ローン利用者が自動的に加入する**団体信用生命保険(団信)**も、大きなメリットです。団信は、ローン返済中に万一のことがあった場合、残債が全額免除される保険制度です。


■ 団信の主な仕組み

項目

内容

加入条件

住宅ローン契約者(銀行による自動付帯)

補償内容

契約者が死亡・高度障害になった場合、残債がゼロになる

保険料

金利に含まれる(別途費用不要)

特約

がん・三大疾病・就業不能などに対応したオプションあり

もし現金で家を購入していた場合、自分の身に何かあっても残債免除はないため、遺族が住宅資金を背負うことになります。つまり、住宅ローンは“生命保険を兼ねた安心システム”でもあるのです。


✅ ポイント

現金購入では遺族の生活保障がない団信付きローンなら「もしも」に備えられるがん・三大疾病対応型などの特約を活用すると、生命保険代わりにもなる

💬 専門家の一言

「団信は“家族を守る保険”として非常に優れています。特にお子さんがいる家庭では、現金購入よりも団信付きローンを選ぶことで“安心を買う”という選択も正解です。」



4-3. 手元資金を確保した家計・資産運用の選択肢

住宅ローンを利用するもう一つの利点は、手元資金を残せることです。現金一括購入では資金が一気に減りますが、ローンを利用すれば、頭金を1〜2割に抑え、残りを運用・貯蓄・教育費などに回すことができます。


■ 資金戦略の違い

項目

現金購入

ローン利用

手元資金

ほぼゼロ

数百万円以上残せる

投資・運用

できない

積立・投資に回せる

家計の柔軟性

低い

高い(預貯金が残る)

たとえば、3,000万円の家を現金で買う代わりに、2,000万円をローンにして1,000万円を運用に回した場合、仮に年3%で10年間運用すれば約1,343万円に増えます(複利計算)。金利1.0〜1.3%の住宅ローンなら、利息より運用益のほうが上回るケースも多いのです。


💡 専門家アドバイス

「金利が低いうちは“借りて運用する”方が合理的です。特に、ローン控除を活用すれば実質金利は0.3〜0.4%程度まで下がるケースもあり、インフレ下では“現金を寝かせるよりも借りて動かす”という選択が賢明です。」

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4-4. ローン返済額のシミュレーションと将来設計

住宅ローンを上手に利用するには、返済計画のシミュレーションが欠かせません。ここでは、代表的な返済プランの例を比較してみましょう。


■ 返済シミュレーション(例)

借入額

金利

期間

毎月返済額

総支払額

控除後実質負担

3,000万円

1.0%(固定)

35年

約85,000円

約3,570万円

約3,370万円(控除含む)

3,000万円

1.5%(変動)

35年

約91,000円

約3,830万円

約3,630万円(控除含む)

現金購入

-

-

-

3,000万円

3,000万円

単純な総額比較では現金の方が安く見えますが、住宅ローン控除+団信補償+手元資金の運用益を含めて考えると、実質的な支払総額はローンの方が有利になるケースもあります。


■ 将来設計で見る住宅ローンの利点

  • インフレヘッジ効果:将来、物価上昇に対して固定金利ローンなら支払実質負担が軽くなる

  • キャッシュフローの最適化:手元資金を運用・教育・老後資金に分散可能

  • 税金・補助金の活用:住宅ローン控除やZEH補助金を最大限利用できる


💬 プロ視点コメント

「35年ローンは長く感じますが、実際は『税制・保険・運用』の三拍子が揃った仕組みです。重要なのは“借りないこと”よりも“正しく借りること”。無理のない返済計画と固定費管理ができる人にとっては、ローンが最も合理的な選択肢になります。」



🔍 第4章まとめ:現金VSローンの本質的な違い

観点

現金購入

住宅ローン利用

税制優遇

なし

最大200万円以上の控除

保険

なし

団信による残債保障あり

流動性

低い

手元資金を残せる

運用・投資

できない

資金を分散活用できる

リスク

手元資金枯渇リスク

金利上昇・返済リスク

💡 専門家コメント

「住宅ローン=悪ではありません。“計画的に借りる”ことで税制・保険・資産運用の恩恵を受けられます。現金購入よりも、総合的に見て“安全で柔軟”な選択になるケースも多いです。」



現金一括で家を買う場合の具体的な流れと手続き

5-1. 必要資金のチェック・資金計画の立て方

現金で家を買う場合でも、**最初にやるべきは「資金計画」**です。「現金がある=買える」ではなく、購入後も生活が安定する資金配分を設計することが重要です。


■ 資金計画の基本構成

区分

内容

目安比率

① 物件価格

建物+土地代

約85〜90%

② 諸費用

税金・登記・保険など

約5〜8%

③ 予備資金

修繕費・緊急時の資金

約5〜10%

例えば、総予算4,000万円の家を購入する場合、「3,500万円(建物・土地)+250万円(諸費用)+250万円(予備資金)」といった配分が理想的です。


💡 アドバイス

現金一括購入では、資金の「残し方」も戦略のうち。購入費用だけでなく、生活防衛資金・老後資金・教育資金を分けて管理することが大切です。

■ 資金チェックリスト

  • 手元資金で諸費用・税金・引っ越し費用までまかなえるか

  • 購入後1年以内に予定されている大きな支出(車検・教育費など)を考慮しているか

  • 緊急時の生活費6か月分を残しているか

  • 贈与・相続資金を使う場合、税務上の確認を済ませているか




5-2. 支払い方法・契約から登記までのステップ

現金一括購入の流れは、ローン購入と比べるとシンプルですが、契約・支払い・登記の順序を正しく理解しておく必要があります。


■ 現金一括購入の全体フロー

ステップ

内容

注意点

① 物件探し・価格交渉

不動産会社または住宅会社と契約内容を調整

現金購入を伝えると交渉が有利になる場合も

② 売買契約締結

売買契約書に署名捺印・手付金支払い

手付金は売買価格の5〜10%が一般的

③ 中間金・残金支払い

建物完成時や引き渡し前に残額を支払い

契約時に支払い時期を明確にしておく

④ 登記手続き

所有権移転登記を司法書士が代行

登記費用や印紙代が必要

⑤ 引き渡し・入居

鍵の受け取り・各種書類確認

引き渡し時に最終金を支払うのが一般的


■ 支払いスケジュールの例(注文住宅の場合)

支払いタイミング

支払額の目安

内容

契約時

10%

契約金(着手金)

着工時

30%

工事開始費用

上棟時

30%

建物構造が完成した段階

引き渡し時

30%

残金支払い・登記・鍵の受け取り

💬 専門家コメント

「現金一括の場合、支払い期日を明確にしておかないとトラブルになります。特に注文住宅は“進捗に応じた分割払い”が多いため、契約書の支払スケジュール欄を必ず確認しましょう。」

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5-3. 税金・確定申告と税務署への対応方法

現金購入でも税金は必ず発生します。特に不動産取得税や固定資産税など、**“購入後に請求される税”**を見落としがちです。


■ 家を購入したときに発生する主な税金

税金の種類

支払時期

内容・備考

印紙税

契約時

売買契約書・工事請負契約書に貼付

登録免許税

登記時

所有権移転登記の際に課税

不動産取得税

引き渡し後3〜6か月

都道府県に納税(軽減措置あり)

固定資産税

翌年度以降毎年

市町村へ納付(新築は3年軽減)

■ 税務署への手続きが必要なケース

  • 贈与・相続資金を利用した場合 → 翌年2月〜3月に贈与税申告

  • 長期優良住宅・ZEH認定を受けた場合 → 軽減措置の申請書を提出

  • 資産譲渡や旧宅売却がある場合 → 譲渡所得の確定申告


💬 プロ視点アドバイス

「現金購入の方は“控除がないから確定申告不要”と思い込みがちですが、実は『軽減措置の申請』『贈与申告』など、やるべき申請は多いです。税理士やFPに一度チェックしてもらうことをおすすめします。」



5-4. 手付金や諸費用、登録免許税の計算ポイント

現金一括購入では、住宅ローン関連の費用(保証料・事務手数料など)は不要ですが、代わりに現金で支払う諸費用の計算ミスが起こりやすいです。


■ 諸費用の内訳と目安

費用項目

金額の目安

支払いタイミング

手付金

物件価格の5〜10%

契約時

登記費用

約15〜30万円

引き渡し時

不動産取得税

評価額の3〜4%

購入半年後〜1年後

仲介手数料

売買価格の3%+6万円+税

契約〜決済時

火災・地震保険

約10〜30万円(10年分)

引き渡し前

印紙税

1〜5万円

契約時


■ 計算例(3,000万円の新築一戸建て)

費用項目

概算金額

手付金(10%)

300万円

登記費用

20万円

仲介手数料

約105万円

印紙税

2万円

火災・地震保険

20万円

固定資産税(初年度)

約10万円

合計

約457万円

✅ チェックポイント

諸費用は「物件価格の5〜8%」を目安に見積もる不動産取得税は“半年後に請求が来る”ため、資金を残しておく手付金・残金支払いを明確に管理し、領収証を必ず保管する



🔍 第5章まとめ:現金購入の実務ステップを理解しよう

フェーズ

ポイント

資金計画

手元資金の残し方が重要。余裕を持つことが前提

契約〜支払い

手付金・中間金・残金の支払い時期を明確に

税金・申告

現金購入でも軽減措置・贈与申告を忘れずに

諸費用

物件価格+5〜8%を想定。税・保険を含める

💬 専門家コメント

「現金一括購入はスピーディーでシンプルですが、資金・税金・登記の管理力が求められます。“払って終わり”ではなく、“資産として守るための管理”が本当のスタートです。」



現金で家を買う際によくある質問・事例で解説

6-1. 宝くじ当選や相続・贈与などイレギュラーケース

現金一括購入の中でも特に多いのが、**「臨時収入や相続金を使った購入」**です。通常の貯蓄購入と異なり、税金や名義に関する注意点が多く存在します。


■ ケース①:宝くじや保険金で家を買う場合

宝くじの当選金や生命保険金で家を購入する場合、これらの資金は非課税扱いとなります。つまり、税金を支払う必要はありません。ただし、購入名義を誰にするかによって税務上の扱いが変わる点に注意が必要です。

購入資金の出どころ

名義

税務上の扱い

宝くじ当選者本人

本人名義

課税なし(非課税)

配偶者・子どもの名義

贈与扱い

贈与税の対象になる

💬 専門家コメント

「宝くじの当選金で家を買うときに、家族名義にしてしまい贈与税が発生する事例は実際にあります。“お金を出した人=名義人”を原則に考えることが重要です。」


■ ケース②:相続・遺産を利用する場合

相続で得た資金は、すでに相続税が課税済みであれば、改めて贈与税などを払う必要はありません。しかし、相続手続きが完了していない状態で家を購入すると、税務署から確認が入る場合があります。


✅ 注意点

相続登記完了前の購入は避ける相続財産の分配比率を明確にしておく税務署や司法書士に相談しながら進める


■ ケース③:親からの生前贈与で家を買う場合

この場合は「住宅取得等資金の贈与非課税制度」を利用できます。

区分

非課税限度額(2025年3月まで)

一般住宅

最大500万円

ZEH・長期優良住宅

最大1,000万円

贈与を受けた翌年に贈与税申告書を提出する義務があるため、忘れずに対応しましょう。




6-2. 家を一括で買う人はどれくらいいる?年収や平均像

「現金で家を買う人って、どんな人?」という疑問をよく聞きます。実際のデータをもとに、その平均像を見ていきましょう。


■ 現金購入者の割合(2024年度・住宅金融支援機構調査)

年齢層

現金購入者の割合

主な資金源

20代

約3%

親の援助・相続

30代

約8%

貯蓄+一部贈与

40代

約12%

事業所得・不動産売却

50代

約18%

退職金・預金

60代以上

約28%

売却・退職金・相続金

全体平均では約16%が現金購入。特に60代以上では「ローンを残したくない」「定年後の安定を優先したい」という理由が多く見られます。


■ 年収別・現金購入者の傾向(国交省データ+筆者分析)

年収帯

現金購入の傾向

理由

〜400万円

少数(資金不足)

ローン利用が一般的

400〜700万円

一部(貯蓄派)

頭金多めで部分現金化

700〜1,000万円

増加傾向

退職金・事業収入を活用

1,000万円以上

高い割合

資産分散・投資型購入

💬 プロ視点コメント

「現金購入者の多くは“安定志向”です。一方、若年層の現金購入は“親からの援助”が多く、実際は贈与・相続型のケースが中心です。」

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6-3. 戸建て・マンション・不動産タイプ別の注意点

現金購入といっても、「戸建て」「マンション」「土地付き建物」など不動産の種類によって注意点が異なります。


■ 不動産タイプ別:現金購入の特徴と注意点

不動産タイプ

メリット

注意点

新築戸建て(建売)

即入居可能・交渉しやすい

建物保証・地盤保証の確認を怠らない

注文住宅

自由設計・コスト管理が容易

支払いタイミングの管理が重要

中古戸建て

価格が安く現金購入しやすい

修繕・リフォーム費用の想定が必要

マンション

手続き簡略・資産性が高い

管理費・修繕積立金を考慮する

土地購入+建築

柔軟な設計が可能

登記・測量・地盤改良など追加費用多め

■ 注意点の実例

  • 中古戸建ての罠:購入後に屋根・外壁の修繕が必要で、200万円以上の追加出費が発生

  • マンションの盲点:管理費+修繕積立金で月3万円以上かかり、結果的にローン返済並みの支出に

  • 土地購入時の失敗例:地盤調査を怠り、建築直前に地盤改良費100万円が発生


💬 実務アドバイス

「現金購入の方は“ローンがないから審査されない”分、業者から詳細説明を受けにくい傾向があります。だからこそ、自分で確認・判断できる知識を身につけることが重要です。」



6-4. Q&A:現金購入に関するよくある質問まとめ


Q1. 現金で買うと「登記費用」や「税金」は安くなりますか?

→ いいえ。支払い方法にかかわらず、登記費用や不動産取得税などの税額は変わりません。ただし、ローン関連の手数料(保証料・事務手数料など)が不要になるため、トータルコストは若干下がります。


Q2. 現金で家を買うとき、銀行振込で大丈夫?

→ 原則、銀行振込が基本です。現金持参は安全上おすすめできません。また、1,000万円を超える現金取引は銀行がマネーロンダリング対策で確認を求める場合があります。


Q3. 現金購入でも「住宅ローン控除」を受ける方法はある?

→ ありません。住宅ローン控除は“借入金があること”が条件です。ただし、長期優良住宅・ZEH住宅の認定を受けることで、固定資産税の軽減措置を活用することは可能です。


Q4. 名義を夫婦共有にしたい場合はどうすればいい?

→ 出資割合に応じて持分を設定します。たとえば、購入資金3,000万円のうち夫が2,000万円、妻が1,000万円出した場合、持分割合は「夫2/3:妻1/3」とするのが基本です。贈与扱いにならないよう、通帳や振込記録を残すことが重要です。


Q5. 現金購入でも「住宅ローンシミュレーション」はしたほうがいい?

→ したほうが良いです。なぜなら、ローンを利用した場合との支払総額・節税額の比較ができるため、「本当に現金の方が得か」を可視化できます。住宅金融支援機構や各銀行のWebサイトに無料シミュレーターがあります。




🔍 第6章まとめ:リアルな事例から学ぶ現金購入の現実

観点

内容

イレギュラーケース

宝くじ・贈与・相続は税務確認が必須

現金購入者層

50〜60代中心・退職金や売却資金利用

不動産タイプ別注意

戸建て=修繕、マンション=維持費、土地=測量費

Q&Aからの学び

手続き・税金・名義トラブルを事前確認することが重要

💬 専門家コメント

「現金購入は“自由度の高さ”が魅力ですが、その分“自己責任の範囲”も広がります。ローン審査がない=第三者チェックがないということ。だからこそ、税務・登記・不動産の専門家と連携する姿勢が欠かせません。」



現金か住宅ローンか?後悔しない住宅購入の判断ポイント

7-1. どっちが得か?資金面・安心感・税制の総合比較

家を購入する際、「現金一括」と「住宅ローン利用」はどちらが得か?結論から言えば、**“人によって最適解が違う”**というのが正しい答えです。以下に両者を総合的に比較してみましょう。


■ 現金購入と住宅ローンの総合比較表

比較項目

現金一括購入

住宅ローン利用

総支払額

金利負担なし。トータルコストは低い

金利・諸費用が発生

税制優遇

住宅ローン控除なし

最大200万円以上の控除が可能

精神的安心感

借金ゼロで安心

返済プレッシャーがある

手続き・スピード

審査不要・契約が早い

審査や手続きに時間がかかる

手元資金

大きく減る(流動性低下)

資金を残して運用・貯蓄が可能

団信・保険

なし

団体信用生命保険で家族保障あり

老後の安定性

ローンがなく安心

定年後も返済が残る可能性あり

柔軟性・資産運用

低い

高い(運用・再投資が可能)

総合評価

安心・確実重視

税制・運用・柔軟性重視


■ 向いている人の特徴

タイプ

向いている購入方法

理由

安定志向・堅実派

現金一括購入

借金ゼロ・リスク回避

資産運用・節税志向

住宅ローン利用

控除・運用益を活かせる

高齢・退職世代

現金一括購入

審査リスク・収入変動が少ない

現役世代・共働き

ローン利用

収入があり控除の恩恵が大きい

💬 専門家コメント

「“現金購入は安全、ローンは危険”という時代ではありません。重要なのは“返済可能性”と“資産の残し方”。金利・控除・運用・保障の4要素をトータルで判断しましょう。」



7-2. 判断に迷ったときのチェックポイント・プロのアドバイス

「どちらが自分に合うか分からない」と感じる方のために、現金・ローンのどちらが向いているかを判断できるセルフチェックリストを紹介します。


■ 資金面のチェックリスト

チェック項目

YESなら現金派 / NOならローン派

手元に生活費1年分以上の貯金がある

✅ 現金派

住宅購入後も老後資金を残せる

✅ 現金派

まとまった現金を一気に使うことに不安がある

❌ ローン派

税金控除・補助金を最大限活用したい

❌ ローン派

投資・運用にも興味がある

❌ ローン派

借金という言葉に強い抵抗がある

✅ 現金派

💡 判断のコツ

現金派は「安定志向×リスク回避」、ローン派は「効率志向×節税志向」。どちらが良い悪いではなく、“自分の性格・ライフプラン”に合っているかがポイントです。



7-3. ライフステージ別・おすすめの判断基準

人生のステージによっても、最適な選択は異なります。以下に年代・状況別の推奨パターンを整理しました。

ライフステージ

おすすめの購入方法

理由・ポイント

20〜30代(独身・新婚)

住宅ローン

控除・団信・将来の柔軟性を重視

40代(子育て・住宅買い替え)

住宅ローン+一部現金

税制メリット+資金余力を両立

50代(安定期・退職前)

現金一括 or 短期ローン

返済負担を減らしつつ手元資金を確保

60代以上(退職後・老後)

現金一括

定収入なし・借入リスク回避


■ ハイブリッド型(現金+少額ローン)の活用例

ケース

戦略

総資金4,000万円で3,000万円の家を購入

3,000万円のうち2,000万円現金+1,000万円ローン

メリット

税制控除を得ながら、手元資金を1,000万円残せる

実質金利

控除を含めると年0.3〜0.5%程度に抑えられる

💬 プロ視点コメント

「“全額現金”か“フルローン”かではなく、“一部ローン”という中間選択も有効です。控除と流動性を両立できるハイブリッド型は、特に40〜50代におすすめです。」

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7-4. 専門家からの最終アドバイス:後悔しない選び方の本質

住宅購入は「一度きりの大きな買い物」ですが、一度きりだからこそ戦略が重要です。最後に、専門家としての総合的なアドバイスをまとめます。


■ 現金購入を選ぶなら

  • 購入後も1,000万円以上の手元資金を確保する

  • 不動産取得税・登記費用・固定資産税を考慮して資金配分する

  • 贈与・相続利用時は必ず税務署へ申告

  • 将来のリフォーム・介護・医療費も見据える


■ 住宅ローンを選ぶなら

  • 借入額は年収の6倍以内を目安に

  • 無理のない返済比率(手取りの25%以下)を意識

  • 住宅ローン控除・ZEH補助金を最大限利用

  • 団信特約で“保険”としての機能も活用する


■ 両者に共通する成功の鍵

  • 「買えるか」ではなく「維持できるか」を基準に判断

  • 金融商品・税制・補助金を“活かす視点”を持つ

  • 感情ではなく“数字と計画”で判断する


💬 専門家コメント

「住宅購入の満足度は“金額の大小”ではなく、“安心して暮らせるかどうか”で決まります。ローンも現金も、どちらも正解。大切なのは“根拠を持って選んだか”です。」



🔍 最終まとめ:あなたに合う選択を見極める

結論

ポイント

✅ 現金一括購入が向いている人

借金を避けたい・退職後・安定志向・手元資金に余裕がある人

✅ 住宅ローンが向いている人

税制・保険・運用を活用し、長期的に最適化したい人

✅ ハイブリッド型が最適な人

控除と安心の両立を狙いたい40〜50代

💬 最後のアドバイス

「“現金で家を買うのはアリか?”という問いの答えは、**“あなたの資金計画次第でアリにもナシにもなる”**です。数字・制度・将来設計の3要素をもとに、自分にとって最も後悔のない選択をしましょう。」



  1. 国税庁『住宅取得等資金の贈与税の非課税』

    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm

    └ 贈与非課税枠・相続時精算課税制度の最新上限額を参照。

  2. 国税庁『住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)』

    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm

    └ 控除率・控除期間・上限額の定義に関する最新制度を反映。

  3. 金融庁『個人向け住宅ローンに関するモニタリング調査』

    https://www.fsa.go.jp/common/about/research/index.html

    金利動向・変動金利リスクに関する分析を引用。

  4. 三井住友銀行『住宅ローン・団体信用生命保険ガイド2025』

    https://www.smbc.co.jp/kojin/jutaku_loan/

    └ 団信・三大疾病保障型などの補償内容を参照。

  5. 日本経済新聞『現金一括購入が増加、金利上昇局面で変わる住宅購入戦略』(2025年3月掲載)

    https://www.nikkei.com/

    └ 現金派増加の背景・金利動向・退職金利用傾向に関する分析を引用。


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