延べ床面積に含まれない部分とは?勘違いしやすいポイントを整理
- 見積もりバンク担当者

- 4 日前
- 読了時間: 22分
更新日:2026年01月11日
「延べ床面積に含まれない部分」は、設計士や営業担当と話していても説明があいまいになりやすいテーマです。
ネットでは「含まれない」と書いてあった
他の家ではOKだったと聞いた
名前的に床面積に入らないと思っていた
しかし実際には、構造・天井高・囲われ方・用途・自治体判断によって扱いが変わります。
この記事では、初心者でも理解できる基礎解説から、設計・確認申請の現場で実際に起きている判断基準・トラブル事例までを整理し、延べ床面積を正しく使うための実践知識をまとめました。

目次
1-1. 延べ床面積の基本的な定義
1-2. 建築基準法での位置づけ
1-3. 容積率・建ぺい率との関係
2-1. 「床面積」として扱われない考え方
2-2. 面積算定の原則
2-3. 自治体判断が関わるポイント
3-1. バルコニー・ベランダ
3-2. ロフト・小屋裏収納
3-3. 吹き抜け・階段
4-1. インナーガレージ
4-2. サンルーム・テラス
4-3. 玄関ポーチ・土間
5-1. 天井高・固定性の影響
5-2. 屋根・壁の有無
5-3. 用途(居室扱いかどうか)
6-1. 想定より家が小さくなった
6-2. 容積率オーバーのリスク
6-3. 見積もり・プラン変更が発生した例

「延べ床面積に含まれない部分」を正しく理解するためには、まず“延べ床面積そのもの”を正確に理解することが不可欠です。
実務の現場では、
延べ床面積 = 実際に使える広さ
延べ床面積 = 坪数表示用の数字
このように 感覚的に理解されているケースが非常に多く、ここが後々のトラブルの出発点になります。
この章では、初心者の方にも分かるように基礎から整理しつつ、設計・見積・法規の現場でどう扱われているかまで踏み込みます。
1-1. 延べ床面積の基本的な定義【まずは結論から】
■ 結論要約
延べ床面積とは、建物内にある「床として数えられる部分」をすべて合計した面積です。
■ 延べ床面積のシンプルな考え方
延べ床面積とは、簡単に言えば
各階の床面積を合計した数字
です。
たとえば、
階 | 床面積 |
1階 | 50㎡ |
2階 | 45㎡ |
合計(延べ床面積) | 95㎡ |
という形になります。
ここで重要なのが、「すべての空間が床面積として数えられるわけではない」という点です。
つまり、
含まれる部分
含まれない部分
が、法律・基準・解釈によって明確に分かれているのです。
■ よくある誤解
延べ床面積 = 建物の大きさそのもの
延べ床面積 = 実際の体感的な広さ
延べ床面積 = 間取り図に描かれている面積すべて
これらは すべて不正確 です。
■ Q&A:延べ床面積は「使える広さ」ですか?
Q. 延べ床面積=実際に使える面積ですか?
A. いいえ。使える広さと一致しないケースが多くあります。
ロフト・吹き抜け・バルコニーなど、使えるのに延べ床面積に含まれない部分が存在するためです。
■ プロ視点の実体験コメント
「延べ床30坪と聞いていたのに、思ったより狭い」という相談は本当に多いです。原因のほとんどは、延べ床面積の定義を誤解したまま話が進んでいることです。
1-2. 建築基準法での位置づけ【なぜルールが厳密なのか】
■ 結論要約
延べ床面積は、建築基準法上の「法規制の基準値」として使われる重要な数字です。
■ なぜ延べ床面積が重要なのか
延べ床面積は、単なる「広さ表示」ではありません。
以下のような 法的ルールの基準として使われます。
容積率の計算
建築確認申請
用途地域ごとの制限
建物規模の判断
つまり、延べ床面積=建てられるかどうかを左右する数値と言っても過言ではありません。
■ 法律上の考え方(簡略)
建築基準法では、
床として利用できるかどうか
が、延べ床面積に含めるかどうかの大きな判断基準になります。
ただし、
天井高
固定性
壁・屋根の有無
利用目的
などが絡むため、単純な線引きではありません。
■ Q&A:なぜグレーな部分が多いの?
Q. 延べ床面積に含まれるかどうか、なぜ曖昧な部分がある?
A. 実際の使い方・構造が多様化しているため、最終判断を自治体に委ねている部分があるからです。
■ プロ視点の内部事情
同じ間取り・同じ仕様でも、自治体が違えば「含まれる/含まれない」の判断が変わることがあります。これを知らずに話を進めると、後で設計変更になるケースがあります。
1-3. 容積率・建ぺい率との関係【延べ床面積が制限を生む】

■ 結論要約
延べ床面積は、容積率制限を通じて「家の大きさの上限」を決める指標です。
■ 容積率との関係
容積率とは、
敷地面積に対して、どれだけの延べ床面積を建てられるか
を示す数値です。
例:
敷地面積:100㎡
容積率:100%
→ 延べ床面積は 最大100㎡まで
ここで重要なのが、
延べ床面積に含まれない部分をどう扱うかで、設計の自由度が変わる
という点です。
■ 建ぺい率との違い
項目 | 対象 |
建ぺい率 | 建物を真上から見た面積 |
容積率 | 延べ床面積の合計 |
延べ床面積は、建ぺい率よりも設計への影響が大きいことが多く、
ロフトを作るか
吹き抜けにするか
インナーガレージをどうするか
といった判断に直結します。
■ Q&A:延べ床面積を抑えるメリットは?
Q. 延べ床面積を抑えると何が良い?
A. 容積率制限の中で、体感的に広い家を作りやすくなります。
■ プロ視点の実体験コメント
設計が上手いプランほど、「延べ床面積に含まれない部分」をうまく使っています。逆に、これを理解していないと、同じ坪数でも狭く感じる家になります。
第1章まとめ|延べ床面積は「数字」ではなく「ルール」
第1章のポイントを整理します。
延べ床面積は「床として数えられる部分の合計」
法規制(容積率)の基準になる重要な数値
すべての空間が含まれるわけではない
だからこそ次に重要になるのが、「延べ床面積に含まれない部分のルール」です。

「これは延べ床面積に含まれますか?」設計・見積・プラン相談の現場で、最も多い質問のひとつです。
結論から言うと、延べ床面積に含まれない部分には“明確な思想”があり、単なる例外ではありません。
この章では、
なぜ「床なのに床面積に含まれない」のか
法的にどう考えられているのか
なぜ自治体判断が絡むのか
を、ルールの裏側まで含めて解説します。
2-1. 「床面積」として扱われない考え方【まず思想を理解する】
■ 結論要約
延べ床面積に含まれない部分は、「恒常的な居住・利用空間ではない」と判断される空間です。
■ 延べ床面積の本質的な考え方
建築基準法上の床面積は、単に「床があるかどうか」ではなく、
人が継続的に使うか
居室・生活空間として成立するか
という 利用実態 が重視されます。
そのため、
一時的に使う
補助的に使う
人が立って生活する前提ではない
こうした空間は、延べ床面積に含まれない部分として扱われることがあります。
■ なぜこの考え方が必要なのか
もし、
バルコニー
吹き抜け
ロフト
まで全て延べ床面積に含めると、
実際の居住性能とは関係なく、法規だけが厳しくなる
という問題が生じます。
つまり、延べ床面積に含まれない部分は、設計の自由度を確保するための仕組みとも言えます。
■ Q&A:床があるのに含まれないのはなぜ?
Q. 床があるなら床面積では?
A. 建築基準法では「床=生活空間」とは限らないためです。
■ プロ視点の実体験コメント
延べ床面積に含まれない部分を理解していないと、「なぜこれはOKで、これはNGなのか」が全く分からなくなります。思想を知ると、設計の見方が一気に変わります。
2-2. 面積算定の原則【数字で判断しない】
■ 結論要約
延べ床面積に含まれるかどうかは、寸法・構造・用途の“組み合わせ”で決まる。
■ 面積算定で見られる主な判断軸
延べ床面積に含まれない部分を判断する際、実務では次の要素が総合的に見られます。
判断軸 | 見られるポイント |
天井高 | 低すぎないか |
固定性 | 恒久的な構造か |
囲われ方 | 壁・屋根の有無 |
用途 | 居室扱いかどうか |
動線 | 生活動線に組み込まれているか |
どれか1つだけで決まるわけではありません。
■ よくある勘違い
天井が低ければ必ず含まれない
壁がなければ含まれない
ロフトだから必ず含まれない
これらは すべて誤解 です。
■ 実務的な判断の流れ(簡略)
床として利用できるか
継続的に人が使うか
居室に準ずるか
固定的な構造か
この流れで 総合判断 されます。
■ Q&A:数字基準はないの?
Q. 明確な数値基準はないのですか?
A. 目安はありますが、最終判断は数値だけではありません。
■ プロ視点の内部事情
設計士は「グレーゾーン」を想定してプランを組みます。その際、自治体でどう判断されるかを事前に読めるかどうかが、設計力の差になります。
2-3. 自治体判断が関わるポイント【同じ家でも結果が変わる】
■ 結論要約
延べ床面積に含まれない部分の最終判断は、自治体(特定行政庁)が行う。
■ なぜ自治体判断が必要なのか
建築基準法は全国共通ですが、具体的な運用は各自治体に委ねられている部分があります。
理由は、
建物形態が多様
土地条件が地域ごとに異なる
一律ルールでは対応できない
からです。
■ 自治体で判断が分かれやすい例
ロフトの天井高
小屋裏収納の扱い
インナーガレージ
半屋外空間(テラス等)
同じプランでも、
A市:含まれないB市:含まれる
というケースは、実際に存在します。
■ Q&A:事前に確認する方法は?
Q. 自治体の判断は事前に分かりますか?
A. 設計士・建築士を通じて事前協議すれば確認可能です。
■ プロ視点の実体験コメント
「他の家ではOKだった」と言われても意味がありません。判断するのは、その土地の自治体だからです。ここを軽視すると、後から大きな修正が入ります。
第2章まとめ|ルールを知ると設計の見え方が変わる
第2章の要点は次の通りです。
延べ床面積に含まれない部分には思想がある
数字だけで判断できない
最終判断は自治体が行う
この前提を理解したうえで、次に「具体的にどこが含まれないのか」を知ることが重要です。

ここからは、**「原則として延べ床面積に含まれない部分」**を具体的に整理します。
ただし注意点として、ここで紹介する内容は 「絶対に含まれない」ではなく「一般的に含まれない」 です。前章で解説した通り、最終判断は構造・使い方・自治体判断に左右されます。
その前提を踏まえたうえで、まずは多くの人が目にする代表的な空間から見ていきましょう。
3-1. バルコニー・ベランダ【屋外扱いの代表格】
■ 結論要約
屋外に面したバルコニー・ベランダは、原則として延べ床面積に含まれない。
■ なぜバルコニーは含まれないのか
バルコニーやベランダは、
屋外に開放されている
居室としての利用が前提ではない
雨風の影響を受ける
といった理由から、床があっても「床面積」として扱われないのが原則です。
■ 実務上の一般的な扱い
要素 | 扱い |
屋根 | あってもOK |
手すり | 問題なし |
壁 | 原則なし(半透明含む) |
開口 | 常時開放 |
この条件を満たしていれば、延べ床面積に含まれない部分として扱われることがほとんどです。
■ 注意が必要なケース
三方以上が壁で囲われている
サッシで完全に閉じられる
室内と同等の仕上げ
この場合、サンルーム・室内空間とみなされる可能性が出てきます。
■ Q&A:屋根付きバルコニーは含まれる?
Q. 屋根があると延べ床面積に含まれますか?
A. 屋根の有無だけでは判断されません。囲われ方と使い方が重要です。
■ プロ視点の実体験コメント
「屋根を付けただけで床面積に入る」と思われがちですが、実際は 囲い方と固定性 の方がはるかに重要です。
3-2. ロフト・小屋裏収納【最も誤解されやすい】

■ 結論要約
ロフト・小屋裏収納は、一定条件を満たす場合に限り延べ床面積に含まれない。
■ ロフトが含まれない代表的条件
一般的に、次の条件を満たすと延べ床面積に含まれない部分として扱われます。
項目 | 目安 |
天井高 | 1.4m以下 |
床面積 | 直下階の1/2未満 |
用途 | 収納等(居室不可) |
固定性 | 恒久的な居室仕様でない |
※数値は代表的な目安であり、自治体により異なる場合があります。
■ なぜロフトはグレーになりやすいのか
天井高を超えてしまう
コンセント・照明・空調を設ける
ハシゴではなく階段にする
こうした変更によって、
「居室として使える=床面積に含まれる」
と判断される可能性が高まります。
■ Q&A:ロフトは寝室に使えますか?
Q. ロフトで寝るのは違法ですか?
A. 違法ではありませんが、居室として設計すると床面積に含まれる可能性があります。
■ プロ視点の内部事情
ロフトは「広く見せるための裏技」のように扱われがちですが、実際は 法規と自治体協議の塊 です。安易に作ると、後で設計変更になります。
3-3. 吹き抜け・階段【床がない空間の扱い】
■ 結論要約
吹き抜け部分は床がないため、延べ床面積に含まれない。
■ 吹き抜けが含まれない理由
吹き抜けは、
上下階を貫く空間
床として利用できない
居室ではない
という性質から、明確に延べ床面積に含まれない部分です。
■ 階段の扱いはどうなる?
階段については、
階段そのものの踏面
踊り場
などは、床面積に算入されるケースが一般的です。
ただし、
吹き抜けと一体化した階段
床として成立しない部分
については、算定対象外になることもあります。
■ よくある勘違い
吹き抜け=無条件でOK
階段=すべて含まれない
これは どちらも誤り です。
■ Q&A:吹き抜けを後から床にしたら?
Q. 将来、吹き抜けを塞いだらどうなりますか?
A. 床を設けた時点で、その部分は延べ床面積に算入されます。
■ プロ視点の実体験コメント
吹き抜けは「床面積を使わずに開放感を出せる」反面、将来のリフォームで 床を張ると即アウト になります。
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第3章まとめ|代表例でも「条件付き」が基本
この章のポイントを整理します。
バルコニー:原則含まれないが囲い方に注意
ロフト:条件を満たさないと含まれる
吹き抜け:床がないため含まれない
つまり、
「名前」ではなく「実態」で判断される
これが、延べ床面積に含まれない部分を理解する最大のコツです。

この章で扱うのは、「延べ床面積に含まれないと思っていたのに、実際は含まれた」というトラブルが最も多い部分です。
ネット記事やSNSでは「〇〇は含まれません」と断定的に書かれていることもありますが、実務では 条件次第で真逆の判断になるケース が少なくありません。
4-1. インナーガレージ【最もトラブルが多い】
■ 結論要約
インナーガレージは、原則として延べ床面積に含まれる。
■ なぜインナーガレージは含まれるのか
インナーガレージは、
建物内部に取り込まれている
屋根・壁で囲われている
恒久的な床構造を持つ
ため、「床として利用可能な空間」=延べ床面積に算入と判断されるのが原則です。
■ 「含まれない」と勘違いされる理由
車を停めるだけだから
居室ではないから
土間仕上げだから
しかし、居室かどうかは判断基準ではありません。
■ 実務で実際にあったトラブル例
・ガレージを含めずにプランを進めた・建築確認で「床面積に算入」と指摘・容積率オーバー → プラン全面修正
このケースは、本当に多いです。
■ Q&A:一部だけ外に出ていればOK?
Q. 半分外に出ているガレージなら含まれませんか?
A. 一部が屋内扱いなら、その部分は床面積に含まれます。
■ プロ視点の内部事情
インナーガレージは「延べ床面積に含まれないと思っていたランキング」ダントツ1位です。
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4-2. サンルーム・テラス【屋内か屋外かの境界】
■ 結論要約
サンルームは条件次第で延べ床面積に含まれる。
■ サンルームがグレーになる理由
サンルームは、
屋根がある
壁(ガラス含む)がある
室内と連続している
ため、屋外とは言い切れない構造になりやすいからです。
■ 判断を分ける主なポイント
要素 | 含まれやすい条件 |
壁 | 三方以上囲われている |
開口 | 常時閉鎖できる |
床 | 室内と同一仕上げ |
用途 | 居室的利用 |
これらが揃うと、延べ床面積に含まれる可能性が高まります。
■ テラスとの違い
テラス:屋外扱い → 含まれないことが多い
サンルーム:屋内扱い → 含まれる可能性あり
名称ではなく構造が全てです。
■ Q&A:ガラス張りなら屋外?
Q. ガラスだから屋外扱いですよね?
A. いいえ。ガラス壁でも「壁」として扱われます。
■ プロ視点の実体験コメント
「テラスのつもりだったのに、申請ではサンルーム扱いになった」という相談は珍しくありません。
4-3. 玄関ポーチ・土間【面積の線引きが分かりにくい】
■ 結論要約
玄関ポーチ・土間は、囲われ方と床の扱いで判断が分かれる。
■ 玄関ポーチの基本的な考え方
屋外に開放されている
壁で囲われていない
この場合、延べ床面積に含まれないのが一般的です。
■ 含まれる可能性が出るケース
屋根+壁で囲われている
サッシで閉じられる
室内と同一床レベル
こうなると、
玄関ホールの一部
と判断される可能性があります。
■ 土間スペースの注意点
最近増えている、
室内土間
土間リビング
これらは ほぼ確実に延べ床面積に含まれます。
■ Q&A:土間だから含まれない?
Q. 土間=床面積に入らない?
A. いいえ。仕上げではなく「室内かどうか」で判断されます。
■ プロ視点の内部事情
「土間だからOK」はかなり危険な思い込みです。申請段階でよく止まります。
第4章まとめ|名前ではなく「構造と使い方」
第4章の要点を整理します。
インナーガレージ:原則含まれる
サンルーム:条件次第で含まれる
玄関ポーチ・土間:囲われ方次第
つまり、
名称・イメージで判断すると失敗する
これが、この章で最も伝えたいポイントです。

ここまでで、「原則として延べ床面積に含まれない部分」と「含まれやすい・注意が必要な部分」を見てきました。
この章で扱うのは、設計内容・寸法・使い方によって“含まれる/含まれない”が入れ替わるゾーンです。
実務ではここが最も難しく、設計者・施主・自治体の三者で認識がズレやすい部分でもあります。
5-1. 天井高・固定性の影響【数字が持つ意味】
■ 結論要約
天井高と固定性は、延べ床面積に含まれるかどうかを左右する最重要要素のひとつ。
■ 天井高が判断材料になる理由
建築基準法では明確に「〇m以上なら床面積に含める」と一律に決まっているわけではありません。
しかし実務では、
天井が低い
人が立って生活できない
一時的な利用が前提
こうした空間は居室性が低い=床面積に含めないという判断がされやすくなります。
■ 代表的な“目安”として使われる数値
空間 | 天井高の目安 | 一般的な扱い |
ロフト・小屋裏 | 約1.4m以下 | 含まれないことが多い |
居室 | 約2.1m以上 | 含まれる |
中間領域 | 1.4〜2.1m | グレーゾーン |
※これは法律の条文ではなく、実務上の目安です。
■ 固定性があると何が起きるか
固定階段
恒久的な床構造
コンセント・照明・空調
これらが揃うと、
「恒常的に使う前提の空間」
と判断されやすくなり、延べ床面積に含まれる方向に傾きます。
■ Q&A:天井を低くすれば必ずOK?
Q. 天井を低く設計すれば延べ床面積に含まれませんか?A. いいえ。固定性や用途次第で含まれることがあります。
■ プロ視点の実体験コメント
「天井を1.39mにしたからOKですよね?」と言われることがありますが、実務ではそれだけで判断されることはありません。
5-2. 屋根・壁の有無【屋内か屋外かの境界】
■ 結論要約
屋根や壁がある=延べ床面積に含まれる、とは限らないが、判断は一気に厳しくなる。
■ 屋根がある場合の基本的な考え方
屋根があることで、
雨風を防げる
恒久的な利用が可能
となるため、屋外性が弱まると判断されます。
ただし、屋根だけで即アウトになるわけではありません。
■ 壁の扱いが決定的になる
壁の状態 | 判断傾向 |
壁なし・開放 | 含まれない可能性が高い |
腰壁程度 | グレー |
三方以上囲い | 含まれる可能性大 |
サッシで閉鎖可 | 含まれやすい |
特に、
ガラス壁
折れ戸
可動サッシ
は、壁として扱われることが多いです。
■ Q&A:可動式なら壁ではない?
Q. 開けられる壁なら屋外扱いですか?
A. いいえ。「閉じられる」時点で壁扱いされる可能性があります。
■ プロ視点の内部事情
サンルームや半屋外空間は、図面の描き方ひとつで判断が変わることもあります。ここは設計者の経験差が出ます。
5-3. 用途(居室扱いかどうか)【最終判断を決める要素】
■ 結論要約
その空間が「居室として成立するか」が、最終的な判断を左右する。
■ 居室扱いされやすい条件
採光・換気が確保されている
空調・照明がある
生活動線に組み込まれている
これらが揃うと、
用途上、居室に準ずる
と判断され、延べ床面積に含まれる可能性が高くなります。
■ 収納・補助空間でも油断できない
大型収納
ワークスペース
趣味部屋
として明確に使える場合、
「用途=生活空間」
と判断されるケースもあります。
■ Q&A:用途は申告ベース?
Q. 「収納」と書けば大丈夫ですか?
A. 図面・仕様・実態を総合して判断されるため、名称だけでは不十分です。
■ プロ視点の実体験コメント
実務では「どう使うつもりか」より「どう使えてしまうか」が重視されます。
第5章まとめ|延べ床面積は“境界条件”で決まる
この章の要点は次の通りです。
天井高・固定性は強い判断材料
屋根・壁があるほど厳しくなる
最終的には用途(居室性)が決め手
つまり、
延べ床面積に含まれない部分は、“設計のさじ加減”で決まる領域がある
ということです。

ここまでで延べ床面積に含まれない部分の考え方・判断基準・グレーゾーンを解説してきました。
この章では、それらを正しく理解していなかったことで実際に起きやすいトラブルを、現場目線で整理します。
これから家づくりをする人にとって、**最も「避けたい未来」**が詰まった章です。
6-1. 想定より家が小さくなった【体感とのズレ】
■ 結論要約
「延べ床◯坪」という数字だけを信じると、体感的に小さく感じる家になる。
■ よくある相談内容
「延べ床30坪のはずなのに狭い」
「図面で見た印象と全然違う」
「収納が思ったより足りない」
これらの原因の多くは、
延べ床面積に含まれない部分を“広さ”としてイメージしていた
ことにあります。
■ 典型的なズレの構造
含まれない部分 | 施主の認識 | 実際 |
吹き抜け | 広さとして期待 | 床がない |
ロフト | 居室感覚 | 制限付き |
バルコニー | 生活空間 | 屋外 |
結果として、
数字上は同じ30坪でも、体感的には25坪前後に感じる
ということが起こります。
■ Q&A:じゃあ何を基準に考えるべき?
Q. 延べ床面積以外に何を見ればいい?
A. 「実際に床として使える面積」と「収納量」を必ず確認してください。
■ プロ視点の実体験コメント
延べ床面積の数字だけで判断したプランほど、「思ったより狭い」という不満が出やすいです。
6-2. 容積率オーバーのリスク【最も深刻なトラブル】
■ 結論要約
延べ床面積に含まれないと思っていた部分が算入され、容積率オーバーになるケースは非常に多い。
■ 容積率オーバーが起きる流れ
ロフト・ガレージを含めずに計算
プラン確定・見積提出
建築確認申請
自治体から「床面積算入」の指摘
容積率オーバー判明
この時点で、
プラン変更はほぼ避けられません。
■ 実際に起きた例(要約)
ロフトの天井高が基準超過
インナーガレージを除外していた
サンルームが居室扱い
結果:
居室を削る
吹き抜けを減らす
建物規模そのものを縮小
という、大きな後戻りが発生します。
■ Q&A:確認申請前なら大丈夫?
Q. 申請前に分かれば問題ない?
A. 分かれば修正できますが、設計・見積はほぼやり直しです。
■ プロ視点の内部事情
容積率オーバーは「気づいた時には遅い」という性質のトラブルです。
6-3. 見積もり・プラン変更が発生した例【お金と時間の損失】
■ 結論要約
延べ床面積の認識違いは、追加コストと打ち合わせ増加を招く。
■ よくある変更内容
ロフト撤去
ガレージサイズ縮小
サンルーム削除
吹き抜け変更
これに伴い、
設計変更費用
見積再作成
工期調整
が発生します。
■ 見えにくいコストの例
内容 | 発生しやすい負担 |
設計変更 | 数万円〜 |
見積再調整 | 打ち合わせ時間 |
工期変更 | 仮住まい・融資影響 |
金額だけでなく、精神的な疲労が非常に大きいのも特徴です。
■ Q&A:誰の責任になる?
Q. この手のミスは誰の責任?A. ケースバイケースですが、最終判断は施主側に委ねられることが多いです。
■ プロ視点の実体験コメント
「もっと早く知っていれば…」という後悔の声を、何度も聞いてきました。
👇もっと深く知りたい方はこちら
第6章まとめ|トラブルの原因は「最初の認識」
この章で見てきたトラブルは、すべて 同じ原因 に行き着きます。
延べ床面積の定義を曖昧に理解していた
含まれない部分を都合よく解釈していた
自治体判断を想定していなかった
つまり、
延べ床面積に含まれない部分を正しく理解していなかった
これが、後戻りできない問題を引き起こします。

ここまで読み進めていただいた方は、「延べ床面積に含まれない部分」を曖昧な知識のまま扱う危険性を十分に感じていただけたのではないでしょうか。
最後に、この記事全体の要点と、これから家づくりを進める人に本当に伝えたい結論を整理します。
7-1. 本記事の総整理【重要ポイントを一気に振り返る】
■ 延べ床面積の本質
延べ床面積は「建物の広さ」ではなく法規上の管理指標
容積率・建築確認・設計制限の基準になる重要な数値
実際の体感的な広さとは一致しない
■ 延べ床面積に含まれない部分の考え方
恒常的な居住空間でないか
床として継続利用できるか
居室性・固定性・囲われ方が判断材料
■ 一般的に含まれない部分
バルコニー・ベランダ(屋外性が高い)
吹き抜け(床が存在しない)
ロフト・小屋裏収納(条件付き)
■ 注意が必要な部分
インナーガレージ(原則含まれる)
サンルーム(構造次第)
玄関ポーチ・土間(囲い方次第)
■ トラブルが起きる原因
「含まれないと思っていた」が覆る
自治体判断を想定していない
延べ床面積=使える広さと誤解していた
7-2. よくある勘違いを正す【最後に知っておいてほしいこと】
■ 勘違い①「ネットに書いてあるから大丈夫」
→ 自治体判断が最優先。ネット情報は一般論にすぎません。
■ 勘違い②「名称が◯◯だから含まれない」
→ 判断基準は名前ではなく構造と用途です。
■ 勘違い③「後から何とかなる」
→ 延べ床面積は後戻りがほぼ不可能な項目です。
7-3. プロ視点の最終アドバイス【実務で差が出る判断】
・延べ床面積は「数字」より「内訳」を見る・含まれない部分は“余白”ではなく“条件付き特典”・自治体判断を前提に設計を組む
実務上、延べ床面積を正しく理解している施主ほど、設計トラブルが少ないという傾向があります。
逆に、「よく分からないまま任せている」場合ほど、後半で大きな修正が入りやすくなります。
7-4. 専門家コメント(第三者視点・強調)
専門家コメント(要約)
延べ床面積は“建物のサイズ”ではなく“法規の枠”含まれない部分は設計の逃げ道ではない最初に理解した人だけが、後悔しない家づくりができる
最終結論|延べ床面積は「含まれない部分」まで含めて考えるもの
延べ床面積は、
家の大きさを決め
設計の自由度を左右し
後から修正できない
非常に重要な指標です。
だからこそ、
「何が含まれないか」を理解して初めて、延べ床面積は正しく使える
この視点を、ぜひ家づくりの初期段階から持ってください。
発行元・機関名 | 資料名・内容 | 本記事での参照ポイント | URL |
国土交通省 | 建築基準法 | 延べ床面積・床面積の法的定義 | |
国土交通省 | 建築基準法施行令 | 床面積算定・居室性・構造判断 | |
国土交通省 | 建築基準法の解釈・運用指針 | ロフト・小屋裏・吹き抜け等の考え方 | |
日本建築士会連合会 | 建築士向け法規・設計実務資料 | 実務での床面積判断の考え方 |
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