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注文住宅での建物代、知られざる裏事情とは?

  • 執筆者の写真: 将士 飴本
    将士 飴本
  • 5月28日
  • 読了時間: 21分

更新日:4 日前

注文住宅を建てる際、多くの人が気になるのが「建物代(建物本体価格)」です。チラシや広告に「坪単価●万円〜」と書かれていても、実際に契約を進めていくと「想定より高い」「こんな費用も必要なの?」と驚くケースが後を絶ちません。本記事では、注文住宅の建物代の基本構造から、相場、裏事情、節約方法、最新トレンドまでを網羅的に解説します。さらに、プロの住宅営業経験者の視点から「実際に見積もりで注意すべき点」や「失敗しないための裏話」も紹介します。


目次

1-1: 建物代の基本概念と価格相場の解説

1-2: 注文住宅の価格はどう決まるのか?

1-3: 建物代を左右する要素と内訳の詳細

1-4: 予算設定のポイントと目安

2-1: 予算2000万のケーススタディ

2-2: 1500万で実現した間取りの紹介

2-3: 土地あり物件の料金比較

2-4: 人気エリアにおける建物代の傾向

3-1: シミュレーターの利用法と利点

3-2: 各項目の費用を計算する方法

3-3: 追加費用や諸経費の見積り

4-1: コストダウンのためのプラン選びのコツ

4-2: 工事費用の見直しと工法の選定

4-3: 無理のない資金計画の立て方

5-1: 理想の間取りとその広さについて

5-2: 家族構成による家づくりのポイント

5-3: デザインと機能性のバランスを考える

6-1: エリア別の平均価格と傾向分析

6-2: 各地域における人気プランの紹介

6-3: 派生する新築価格のトレンド

7-1: 住宅ローンにかかる費用と借入額について

7-2: 身近な事例から学ぶ建物代のリアル

7-3: トラブルや失敗を避けるためのチェックポイント

注文住宅での建物代、知られざる裏事情とは?

第1章:注文住宅の建物代とは?


1-1. 建物代の基本概念と価格相場の解説

「建物代」とは、注文住宅の本体工事費を指します。一般的には基礎工事・構造体・屋根・外壁・内装・住宅設備機器など、建物そのものを形づくるために必要な費用が含まれます。多くの施主は契約時に「建物代〇〇万円」という見積もりを提示されますが、その金額だけを見て判断するのは危険です。


👉 全国平均の建物代相場(2025年最新版)

延床面積

平均建物代

坪単価目安

25坪(約82㎡)

1,800〜2,500万円

70〜90万円/坪

30坪(約99㎡)

2,100〜3,000万円

70〜100万円/坪

35坪(約115㎡)

2,500〜3,500万円

75〜100万円/坪

出典:住宅金融支援機構「2025年度住宅融資データ」


補足解説

  • 「坪単価」とは建物の延床面積1坪あたりにかかる建築費のこと。

  • 坪単価は「建物の仕様」「会社の規模」「地域差」によって変動する。

  • 設備グレードを上げると+5〜10万円/坪程度は簡単に変動する。


プロ視点コメント

元営業マンとして感じるのは「相場はあくまで参考」であること。実際には施主の要望と会社の得意分野によって最終金額は大きく変動します。



1-2. 注文住宅の価格はどう決まるのか?

注文住宅の建物代は「仕様 × 面積 × 工法」で決まります。

  • 仕様(グレード) 例:標準仕様のシステムキッチン → 追加で高級グレードに変更 → +100万〜200万円

  • 面積(延床) 例:30坪 → 35坪に変更 → 200万〜400万円の増額

  • 工法の違い 木造軸組工法は比較的安価、鉄骨造やRC造は高額になる傾向あり。


👉 つまり、「安く見せようと思えば安くできる」が、「施主の理想を反映させれば高くなる」のが注文住宅の特徴です。


実体験談

以前担当した施主様は、最初の提示額2,200万円(延床30坪)から契約後の仕様変更で最終的に3,000万円を超えました。「最初の安い見積もりは営業用」であることを身をもって知った例です。



1-3. 建物代を左右する要素と内訳の詳細

注文住宅の建物代の内訳を整理すると、以下のように分類されます。


建物代の主な内訳チェックリスト

  • 基礎工事費(50万〜150万円)

  • 構造体(柱・梁・耐力壁など)

  • 屋根・外壁(仕上げによって大きく変動)

  • 内装工事(床・壁・天井仕上げ)

  • 設備機器(キッチン、浴室、トイレ、洗面など)

  • 電気・給排水工事

  • 施工管理費・現場経費


👉 特に 「外壁」「設備機器」「仕上げ材」 はグレード差が大きく、建物代の変動要因になりやすい部分です。


比較表:標準仕様と高級仕様の違い

項目

標準仕様

高級仕様

差額目安

キッチン

システムキッチン(人工大理石トップ)

セラミックトップ・食洗機・収納強化

+100〜200万円

外壁

サイディング

タイル仕上げ

+150〜250万円

床材

合板フローリング

無垢フローリング

+80〜150万円

浴室

ユニットバス標準

高断熱浴槽+ミストサウナ

+50〜100万円

プロのアドバイス

「標準仕様」と言っても各会社で全く中身が異なります。標準に含まれているか否かを必ず確認しましょう。



1-4. 予算設定のポイントと目安

注文住宅の建物代を考える上で大切なのは「全体の資金計画とのバランス」です。

  • 建物代:全体費用の約60〜70%

  • 土地代:20〜30%(都市部ではもっと高い)

  • 諸経費(登記費用・ローン手数料・火災保険など):5〜10%


シミュレーション例(総額4,000万円のケース)

項目

金額

割合

建物代

2,600万円

65%

土地代

1,000万円

25%

諸経費

400万円

10%

注意点

  • 「建物代」に予算を使いすぎると土地選びや外構工事に回せなくなる。

  • 「坪単価80万円で30坪=2,400万円」と単純計算するのは危険。諸経費を含めて計画すべき。


実務的アドバイス

金融機関は「年収の6〜7倍まで借入可」と提示することが多いですが、実際に安全なのは年収の5倍程度まで。それ以上は生活を圧迫するリスクが高いです。

✅ 第1章まとめ

  • 建物代は「本体工事費」を指し、全国相場は2,000万〜3,000万円台が中心。

  • 相場は「仕様」「面積」「工法」で大きく変わる。

  • 標準仕様の範囲を確認しないと、契約後に追加費用が発生するリスクが高い。

  • 予算設定は「建物代=総額の6〜7割」を目安に、土地や諸経費とのバランスを重視すること。




第2章:注文住宅の建物代の実例集

注文住宅の建物代は「仕様や間取り次第で大きく変わる」と言われても、実際の金額感が見えないとイメージしにくいものです。そこで本章では、実際の予算別・条件別のケーススタディを紹介します。数字だけでなく、間取りや仕様、地域差などの要素も加味して解説します。

注文住宅の建物代の実例集

2-1. 予算2000万のケーススタディ

条件設定

  • 延床面積:28坪

  • 家族構成:夫婦+子ども1人

  • 工法:木造在来工法

  • 場所:地方都市(広島県福山市の郊外を想定)


👉 建物代 2,000万円の内訳イメージ

項目

費用目安

備考

基礎・構造

400万円

木造2階建て、耐震等級2

外装

350万円

サイディング外壁、スレート屋根

内装

300万円

合板フローリング、クロス仕上げ

設備機器

500万円

キッチン、浴室、トイレ2箇所、洗面

電気・給排水工事

250万円

標準仕様

その他管理費

200万円

現場経費含む

合計

2,000万円


ポイント

  • 仕様を「標準」でまとめれば、2,000万円前後でも十分に建てられる。

  • ただし、デザインやグレードを上げるとすぐに2,300〜2,500万円に到達する可能性が高い。


実体験コメント

実際に2000万前後の家を建てられた方は「見た目はシンプルでも、断熱や耐震は基準を満たしていたので安心できた」とおっしゃいます。必要な部分に絞って投資するのがコツです。



2-2. 1500万で実現した間取りの紹介

条件設定

  • 延床面積:22坪

  • 家族構成:夫婦のみ(将来子ども予定)

  • 工法:ローコスト系工務店、規格住宅プラン

  • 場所:岡山県の郊外エリア


👉 建物代 1,500万円の内訳イメージ

項目

費用目安

備考

基礎・構造

300万円

木造平屋

外装

250万円

ガルバリウム鋼板屋根、標準外壁

内装

200万円

フローリング標準、壁クロス

設備機器

400万円

キッチン、ユニットバス、洗面

電気・給排水工事

200万円

シンプル配線

その他管理費

150万円


合計

1,500万円


特徴

  • 規格住宅のプランを活用し、間取りを大幅にカスタマイズしない。

  • 設備は必要最小限に留め、外観や内装はシンプル。

  • 家族が少人数なら十分暮らせる規模。


チェックリスト:1500万住宅で注意すべき点

  • ✅ 将来の増築・リフォームを見越す(収納や部屋数に余裕があるか)

  • ✅ 標準仕様の断熱性能を確認(ZEH基準外のケースもある)

  • ✅ 外構工事は別途予算を確保




2-3. 土地あり物件の料金比較

土地代が不要な場合、建物代により多くの予算を割けるため、選択肢が広がります。


シミュレーション:同じ建物代でも土地代の有無で総額が変わる

条件

建物代

土地代

諸経費

総額

土地購入あり

2,500万円

1,000万円

400万円

3,900万円

土地あり(親から相続)

2,500万円

0円

400万円

2,900万円

解説

  • 土地代がゼロであれば、同じ建物代でも総額が1,000万円減少。

  • その分、建物の仕様や設備に投資できる。

  • 都市部では土地代が総額の半分を占めることもあるため、建物代の比率は相対的に下がる。


プロのコメント

「土地がある方は建物にこだわる余裕がある一方で、土地購入から始める方は建物代を抑える工夫が必須です。」



2-4. 人気エリアにおける建物代の傾向

都市部と地方で建物代には明確な傾向差があります。


比較表:大阪・東京・地方都市の建物代相場(30坪想定)

エリア

平均建物代

特徴

東京23区

2,800〜3,500万円

狭小地向け3階建て需要、鉄骨系が多い

大阪市内

2,500〜3,200万円

2階建て主流、木造と鉄骨混在

地方都市

2,100〜2,600万円

広い土地で2階建てor平屋が主流

傾向まとめ

  • 東京・大阪では敷地条件から鉄骨・RC造の需要が高く、建物代は割高。

  • 地方では坪単価は抑えられるが、延床面積を広く取る傾向があり、総額はそこまで大きく変わらない。


✅ 第2章まとめ

  • 予算2000万円前後なら「標準仕様の2階建て」が可能。

  • 1500万円台では「規格住宅・小規模プラン」が現実的。

  • 土地があるかどうかで総額に1,000万円以上の差が出る。

  • 人気エリアでは建物代そのものが高騰する傾向あり。




第3章:注文住宅の費用シミュレーション方法

建物代を理解した上で、実際に「いくらかかるのか?」を見積もるためには、費用シミュレーションが欠かせません。最近ではオンラインのシミュレーターも普及しており、施主自身が手軽に概算を把握できるようになっています。ただし、シミュレーションの使い方を誤ると実際の契約金額と大きな乖離が生じるため、正しい知識が必要です。

注文住宅の費用シミュレーション方法

3-1. シミュレーターの利用法と利点

オンラインシミュレーターの特徴

  • 建物の延床面積や坪単価を入力すると総額が算出される

  • 外壁や屋根の素材、設備グレードを選択できるものもある

  • ローン返済シミュレーション機能を備えたものもある


👉 利点

  • 住宅展示場に行かなくても自宅で概算を確認できる

  • 複数パターンを短時間で比較可能

  • 将来の資金計画を立てやすい


注意点

  • 多くのシミュレーターは「標準仕様」を前提としている

  • 実際の会社見積もりは諸経費やオプションで膨らむ

  • 坪単価の基準が不明確なケースもある


実例

例えば「延床30坪 × 坪単価80万円」でシミュレーションすると2,400万円と表示されますが、実際に契約すると「付帯工事費」「外構費」で+300〜500万円かかることも珍しくありません。



3-2. 各項目の費用を計算する方法

建物代シミュレーションをより現実的に行うには、費用項目を細かく分けて積み上げることが重要です。


建物代の項目別費用目安(30坪想定)

項目

費用目安

ポイント

基礎・構造

500〜700万円

耐震等級によって費用増加

外装

400〜600万円

サイディングかタイルかで差額大

内装

350〜500万円

床材・壁材のグレード差が影響

設備機器

600〜800万円

キッチン・浴室・洗面・トイレ

電気・給排水

250〜400万円

太陽光発電を導入すると+100〜200万円

現場経費・管理費

200〜300万円

会社によって比率が異なる

合計

2,300〜3,300万円


ポイント

  • 「坪単価」で一括計算するより、このように内訳で積算した方が正確性が高い。

  • 設備と外装は施主の選択による差が大きい。




3-3. 追加費用や諸経費の見積り

シミュレーションで最も抜け落ちやすいのが「追加費用」と「諸経費」です。


代表的な追加費用

  • 外構工事(駐車場、フェンス、庭):100〜300万円

  • 地盤改良費:50〜150万円(地域や地質による)

  • 設備オプション(食洗機、床暖房、太陽光):50〜300万円

  • インテリア追加(カーテン・照明・家具):50〜200万円


諸経費の例

  • 登記費用(表示登記・保存登記・抵当権設定):20〜50万円

  • 住宅ローン関連費用(保証料、事務手数料):30〜80万円

  • 火災保険・地震保険:20〜50万円

  • 引越し費用・仮住まい費用:10〜50万円

👉 合計すると建物代の10〜15%程度が追加で必要になるのが一般的です。


チェックリスト:シミュレーション時に見落としがちな費用

  • ✅ 外構工事は見積書に含まれているか?

  • ✅ 地盤改良費は調査後に追加される可能性があるか?

  • ✅ ローン保証料や火災保険を加味しているか?

  • ✅ 引越し・仮住まいの費用を考慮しているか?


✅ 第3章まとめ

  • オンラインシミュレーターは便利だが「標準仕様前提」である点に注意。

  • 正確に行うには「建物内訳+追加費用+諸経費」を積み上げて算出すること。

  • 建物代以外に総額の10〜15%の追加費用がかかるのが一般的。

  • 資金計画を立てる際は「シミュレーション=最低金額」ではなく「現実に近づけた見積もり」で考えるべき。




第4章:建物代を抑えるための工夫と注意点

注文住宅は自由度が高い反面、建物代がどんどん膨らみやすいのが特徴です。契約前に「予算内に収めたい」と考えていても、打ち合わせを進めるうちにオプション追加や仕様変更で想定以上の金額になるケースは少なくありません。ここでは、コストを抑えるための具体的な工夫と注意点を紹介します。

建物代を抑えるための工夫と注意点

4-1. コストダウンのためのプラン選びのコツ

建物代を抑えるには、まず「間取り」と「形状」の工夫が大きなポイントです。


建物代が高くなりやすい間取り・形状の例

  • 複雑な凹凸のある外観 → 外壁面積が増え、工事費もアップ

  • 3階建てや吹き抜け → 構造補強や足場費用が増加

  • 大きな窓や開口部 → サッシや断熱性能強化で高額化


コストを抑える間取りの工夫

  • ✅ 正方形や長方形のシンプルな総2階建てにする

  • ✅ 廊下を最小限にして床面積を効率化

  • ✅ 水回りを1カ所にまとめて配管コストを減らす

  • ✅ 吹き抜けを小さくして冷暖房効率を確保


実体験談

私が担当したお客様で、最初は「吹き抜けの大空間」を希望されていましたが、冷暖房コストと建築費が予算を圧迫するため断念。その代わりリビング天井を2.6mに上げ、開放感を確保しつつ200万円のコストダウンに成功しました。



4-2. 工事費用の見直しと工法の選定

建物代を左右する大きな要素が「工法」と「施工内容」です。


工法別の費用イメージ(30坪住宅の場合)

工法

費用相場

特徴

木造在来工法

2,000〜2,800万円

最も一般的、コスト抑制しやすい

2×4工法

2,100〜3,000万円

高気密・高断熱に強い

軽量鉄骨造

2,500〜3,200万円

大手ハウスメーカーに多い

鉄筋コンクリート造

3,500万円以上

都市型、耐火性能高いが高額

👉 コストを抑えたいなら木造在来か2×4工法が現実的。


工事費見直しのポイント

  • 外壁をサイディングにするか、タイルにするか

  • 屋根を瓦にするか、ガルバリウムにするか

  • 内装材を無垢にするか、合板にするか


比較表:外壁材による差額

外壁材

メリット

デメリット

費用目安

サイディング

安価、デザイン豊富

メンテ周期10〜15年

200〜300万円

タイル

高耐久、重厚感

初期費用が高い

350〜500万円




4-3. 無理のない資金計画の立て方

建物代を抑えるには、**「いくらなら安全に返済できるか」**を基準に考える必要があります。


住宅ローン返済の目安

  • 年収の25%以内に年間返済額を抑える

  • 年収400万円なら年間返済100万円、月8.3万円程度が目安


資金計画のポイント

  • ✅ ボーナス払いに頼らない(景気変動でリスク大)

  • ✅ 住宅ローン減税や補助金を活用する

  • ✅ 引渡し後の維持費(固定資産税、修繕費)を計算に入れる


実務アドバイス

「建物代を抑える」と言っても、ただ安い仕様を選ぶのではなく、ランニングコストを含めて最適化することが重要です。断熱性能を上げれば光熱費が下がり、長期的には得をするケースもあります。

✅ 第4章まとめ

  • 建物代を抑えるには「シンプルな間取り」と「水回りの集約」が効果的。

  • 工法の選定や外装材の違いで数百万円単位の差が出る。

  • 安さだけでなく、維持費まで含めた資金計画を立てることが後悔しない家づくりにつながる。




第5章:成功する注文住宅の家づくり

建物代を抑える工夫や注意点を理解したうえで、次に大切なのは「理想の家をどのように実現するか」です。単に予算内で収めるだけでなく、家族構成やライフスタイルに合った間取り・デザインを取り入れることが、長く快適に暮らすための鍵になります。本章では、間取り・家族構成・デザイン性と機能性のバランスに焦点を当てて解説します。

成功する注

5-1. 理想の間取りとその広さについて

注文住宅では「どのくらいの広さが必要か」が最初の論点になります。


延床面積の目安と暮らし方

家族構成

推奨延床面積

具体例

夫婦2人

20〜25坪

2LDK、平屋も選択肢

夫婦+子1人

25〜30坪

3LDK、2階建て主流

夫婦+子2人

30〜35坪

4LDK、リビング広め

3世代同居

40坪以上

2世帯住宅、玄関別も可

👉 注意点

  • 広ければ良いわけではなく、収納や動線を工夫することで「小さくても快適な家」は実現できる。

  • 延床面積が5坪増えると200万〜400万円の増額になるため、安易な拡張は避けたい。


実体験

ある施主様は当初35坪を希望されていましたが、動線を工夫することで30坪に縮小。結果的に300万円の削減と、光熱費の抑制につながりました。



5-2. 家族構成による家づくりのポイント

家族の人数やライフステージによって、求められる間取りは変わります。


家族構成別の工夫

  • 夫婦のみ → 将来の生活を見据え、バリアフリーや平屋を検討

  • 子育て世代 → リビングを広めに取り、子どもの学習スペースを確保

  • 3世代同居 → 玄関・浴室を分けることで生活リズムの違いに対応


チェックリスト:家族構成に応じた間取り計画

  • ✅ 子ども部屋は将来仕切れるように設計する

  • ✅ 高齢の親と同居する場合は1階に寝室を配置

  • ✅ 夫婦2人なら将来賃貸併用や店舗併用も視野に入れる




5-3. デザインと機能性のバランスを考える

「見た目」と「住みやすさ」のバランスも重要です。デザインを追求すると建物代は上がりがちですが、機能性を軽視すると暮らしにくい家になってしまいます。


デザイン重視で起こりやすい問題

  • 大きな吹き抜け → 冷暖房効率が悪化

  • 大開口窓 → 西日やプライバシーの問題

  • おしゃれな外壁材 → メンテナンス費用が高額化


バランスを取る工夫

  • ✅ 外観はシンプルでも内装でアクセントを取り入れる

  • ✅ 吹き抜けを部分的に設けることで光を確保しつつ冷暖房効率を保つ

  • ✅ メンテナンス性の高い素材を選択する(例:タイルよりコスト抑えつつ長持ちする高耐久サイディング)


プロの視点

「建物代を抑えながらデザイン性も確保するには、“見せ場”を1〜2カ所作るのがコツです。リビングの一部や玄関にこだわりを入れるだけで全体の印象は大きく変わります。」

✅ 第5章まとめ

  • 延床面積は「家族構成×動線の工夫」で最適化できる。

  • 家族のライフステージに合わせた間取り計画を立てることが重要。

  • デザインと機能性は二者択一ではなく、両立の工夫次第でバランスが取れる。

  • 「こだわる部分」と「コストを抑える部分」を分けることが、成功する家づくりの秘訣。




第6章:大阪府・東京の建物代の比較

建物代は全国でおおむね共通の相場がありますが、エリアごとに大きな違いが見られます。特に「大阪府」と「東京」は人口集中や地価の高さ、建築条件の特殊性から全国的に比較される代表的エリアです。本章では、地域別の平均価格・人気プラン・最新トレンドを解説します。

大阪府・東京の建物代の比較

6-1. エリア別の平均価格と傾向分析

2025年最新データ:延床30坪の建物代比較

エリア

平均建物代

坪単価目安

特徴

東京23区

2,800〜3,500万円

90〜115万円/坪

狭小地での3階建て需要が高く、鉄骨系が多い

東京都下(八王子・立川など)

2,400〜3,000万円

80〜100万円/坪

木造2階建て中心、土地は23区より安い

大阪市内

2,500〜3,200万円

85〜105万円/坪

鉄骨・木造混在、2階建てが主流

大阪府郊外(堺市・枚方市など)

2,100〜2,700万円

70〜90万円/坪

広い土地で平屋需要も増加

地方都市(例:広島・岡山)

2,000〜2,500万円

70〜85万円/坪

坪単価は抑えめ、建物面積は広め傾向

👉 分析ポイント

  • 東京23区は「狭い土地に建てるニーズ」が強く、3階建てや鉄骨造の割合が高い。

  • 大阪市内は「土地は東京より安いが、施工単価は高め」で、坪単価は近い水準。

  • 郊外や地方都市では坪単価は低いが、延床面積を広めに取る傾向があり、建物代総額はそこまで変わらないこともある。




6-2. 各地域における人気プランの紹介

東京で人気のプラン

  • 狭小地対応の3階建て住宅(延床25坪前後)

  • ビルトインガレージ付き住宅

  • 屋上テラスやルーフバルコニーを活用


大阪で人気のプラン

  • 郊外の2階建て30坪前後、4LDK

  • 平屋住宅(50坪以上の土地を活かす)

  • 二世帯住宅(玄関共有型より玄関別型が人気)


比較表:東京と大阪でのプラン傾向

項目

東京

大阪

敷地条件

狭小地、変形地多い

比較的広い土地あり

建物形態

3階建て多い

2階建て・平屋も多い

設計ニーズ

屋上・ガレージ

二世帯・平屋

工法

鉄骨・RC比率高め

木造中心、鉄骨も一定数




6-3. 派生する新築価格のトレンド

2025年の最新動向

  • 東京では「ZEH水準の省エネ性能」が義務化に近づき、断熱・太陽光標準化で坪単価上昇。

  • 大阪では「平屋人気」が高まっており、30〜40代の子育て世代から支持。

  • 両エリアともに「建材価格の高騰」「人件費の上昇」が反映され、建物代は全国平均より高止まりしている。


実務的コメント

「東京と大阪の施主様を比較すると、東京は“限られた敷地でどう快適に暮らすか”、大阪は“広さを確保してゆとりある生活をどう実現するか”というニーズの違いが見えます。」

✅ 第6章まとめ

  • 東京23区は3階建て・鉄骨造が多く、建物代は全国トップクラス。

  • 大阪市内は東京に近い水準だが、郊外は平屋・広めのプランが可能。

  • 両都市とも建材高騰の影響を受け、2025年も建物代は上昇傾向。

  • ニーズの違い(東京=狭小地対応、大阪=ゆとり重視)が建物代の構成に反映されている。




第7章:建物代に関するよくある質問

建物代は契約後に「思っていたより高かった」「追加費用がかかった」という声が最も多い項目です。ここでは、実際に多く寄せられる疑問を Q&A形式 で解説します。初心者の方にもわかりやすく、かつ実務経験者の視点から補足を入れています。

建物代に関するよくある質問

7-1. 住宅ローンにかかる費用と借入額について

Q:建物代が2,500万円の場合、どのくらい住宅ローンを借りられる?
A:一般的には年収の5〜7倍が目安ですが、安全圏は5倍程度までです。
  • 年収400万円 → 借入2,000万円前後が安心

  • 年収500万円 → 借入2,500万円前後

  • 年収600万円 → 借入3,000万円前後


注意点

  • 銀行は「借りられる額」を提示するが、「返せる額」かどうかは別問題。

  • 建物代以外に土地代・諸経費があるため、総額を必ず確認すること。


チェックリスト:ローン返済の健全性を保つために

  • ✅ 年収の25%以内に年間返済額を抑える

  • ✅ ボーナス払いに依存しない

  • ✅ 返済シミュレーションは固定金利・変動金利の両方で試算




7-2. 身近な事例から学ぶ建物代のリアル

Q:契約時より金額が上がるのは本当?
A:はい、多くの施主が「契約後に200万〜500万円増えた」と感じています。

よくある原因

  • 契約時は「最低限の仕様」で見積り

  • 打合せの中でキッチン・外壁・床材などをグレードアップ

  • 地盤改良や外構工事が追加で発生


実体験談

「最初の提示額は2,300万円だったのに、最終的には2,800万円に。契約前に“標準仕様に何が含まれているか”を確認すべきだったと後悔しました。」

👉 つまり、“最初の金額=最終金額ではない” という意識が必要です。




7-3. トラブルや失敗を避けるためのチェックポイント

建物代をめぐるトラブルは、契約時の確認不足が原因になることが多いです。


チェックリスト:建物代のトラブルを防ぐために

  • ✅ 契約前に「標準仕様一覧」を確認したか?

  • ✅ 「一式」という表記が多くないか?

  • ✅ 追加費用の可能性を具体的に質問したか?

  • ✅ 外構・諸経費を含めた総額を確認したか?


プロの視点

「トラブルの大半は“思い込み”が原因です。営業担当者の説明をそのまま受け止めるのではなく、第三者にチェックしてもらうことが安心につながります。」

✅ 第7章まとめ

  • 住宅ローンは「借りられる額」より「返せる額」を基準に。

  • 契約後に建物代が上がるのはよくあるケース。

  • 標準仕様や追加費用の確認を徹底することでトラブルを回避できる。

  • 第三者のチェックを取り入れると、安心感が格段に増す。


✅ 記事全体のまとめ

ここまで「注文住宅の建物代」について、基礎知識から相場、シミュレーション方法、コストダウンの工夫、地域別比較、そしてよくある質問までを解説しました。


重要なポイントは3つです:

  1. 建物代は「仕様・工法・面積」で決まり、追加費用が必ず発生する

  2. 契約前の見積もりは営業用である可能性が高く、冷静な比較が必要

  3. 後悔しないためには「総額」を把握し、資金計画を無理なく立てること


📌 更新日:2025年8月29日


📌 参考文献・出典URL一覧


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