注文住宅の材料費はどれくらい?2025年の価格動向と内訳を解説
- 見積もりバンク担当者
- 10月10日
- 読了時間: 17分
更新日:11月28日
更新日:2025年11月28日
2025年の注文住宅市場では、材料費の高騰が家づくりに大きな影響を与えています。木材・鉄骨・断熱材などの価格は数年前より10〜30%上昇しており、「同じ仕様でも総額が上がった」と感じる施主が増えています。しかし、住宅価格の上昇は避けられない一方で、“何にどれだけお金がかかっているのか”を正しく理解すれば、コストを抑えながら理想の家づくりは可能です。本記事では、注文住宅の材料費の内訳・相場・価格上昇の背景・予算計画の立て方を、最新データと実例をもとに徹底解説します。

目次
1-1. 注文住宅の「うわもの」とは?材料費と本体工事の関係
1-2. 材料費が住宅価格全体に占める割合と構造別の特徴
1-3. 原油価格高騰・円安・ウッドショック…材料費が上がった背景
2-1. 2025年の坪単価と建築資材費の平均相場
2-2. 建物2,000万円で家は建つ?土地あり/なしの比較
2-3. 地域・間取り別の材料費シミュレーション
2-4. 最低いくらで建てられる?コストを抑える工夫
3-1. 材料費の主な項目(木材・屋根・外壁・設備など)
3-2. 人件費・工事費・諸費用の違いとバランス
3-3. 本体工事費以外にかかる別途費用の注意点
4-1. コスト増加への対策と資金計画の立て方
4-2. 住宅ローン・補助金・制度の活用法
4-3. 安くても満足度の高い家を建てるコツ
5-1. 世界経済・資材不足による今後の価格予測
5-2. 建て時を見極めるための発注タイミングと判断基準
6-1. 材料費を理解する重要性
6-2. 理想の費用配分と満足度の関係
6-3. 将来を見据えた家づくり戦略

1-1. 注文住宅の「うわもの」とは何か|材料費と本体工事の関係
注文住宅の見積書において「うわもの」と呼ばれるのは、建物そのものにかかる本体工事費の部分です。ここに含まれるのが、**材料費(資材費)・人件費(労務費)・経費(工事管理費)**です。このうち、最も価格変動の影響を受けやすいのが材料費です。
2025年現在、住宅業界では以下のような資材が価格上昇の中心となっています。
材料カテゴリ | 主な内容 | 価格変動率(2020→2025) | 主な要因 |
木材(構造材・合板) | 柱・梁・床下地など | 約+25〜35% | ウッドショック・輸入材不足 |
鉄鋼製品 | 鉄筋・梁・金物・外構フェンスなど | 約+20% | 世界的な鉄鉱石高騰 |
断熱材 | グラスウール・発泡ウレタン | 約+15% | 原油価格上昇・物流コスト |
塗料・仕上材 | 外壁塗装材・クロス糊など | 約+10〜12% | 為替・化学製品コスト上昇 |
💡 ポイント
一般的な注文住宅では、**材料費が本体工事費の約50〜60%**を占めるといわれています。残りの40〜50%は、人件費や管理経費、現場監督・営業コストなどです。
1-2. 材料費が住宅価格全体に占める割合と構造別の特徴
住宅の構造によって、材料費の比重は大きく変わります。木造・鉄骨・RC(鉄筋コンクリート)では、使用する資材が異なるため、費用構成も変化します。
構造タイプ | 材料費割合 | 特徴 |
木造住宅 | 約55% | 国産材や集成材の価格上昇が直撃。施工スピードは速い。 |
軽量鉄骨住宅 | 約60% | 鉄材の価格変動が大きく、ハウスメーカーにより原価差が出る。 |
鉄筋コンクリート住宅(RC) | 約65〜70% | 型枠・鉄筋・コンクリートなど材料単価が高い。耐久性重視。 |
📌 参考データ
(住宅金融支援機構 住宅建設コスト調査 2024年)木造戸建住宅(35坪)の平均本体工事費は約2,100万円。このうち材料費は約1,150万円前後とされています。
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1-3. 原油価格高騰・円安・ウッドショック…材料費が上がった原因を解説
2021〜2023年にかけて起きた「ウッドショック」を皮切りに、住宅材料費は急上昇を続けています。背景には複数の要因が複雑に絡み合っています。
主な価格上昇要因:
🪵 ウッドショック(木材不足):新型コロナ禍による北米・東南アジアの製材工場の減産。 日本への輸入材が一時的に1/3まで減少。
💱 円安(1ドル=150円台):輸入資材・エネルギーコストが上昇し、建築資材全般に波及。
⛽ 原油価格高騰:塗料・断熱材・住宅設備のプラスチック部品など、原料コストを押し上げ。
🚚 物流費・人件費上昇:建設業界の2024年問題(時間外労働規制)で配送・施工コストが増加。
🧩 補足解説
「材料費の上昇=家が高くなる」とは限りません。ハウスメーカーや工務店は仕入れ契約やまとめ発注でコスト吸収を図るケースもあります。ただし中小工務店では仕入れ原価が直撃しやすく、地域差が拡大しています。
💬 プロ視点のアドバイス
材料費の高騰が続く今こそ、「本体価格だけでなく中身を確認」することが重要です。同じ総額2,000万円でも、使用材のグレード・断熱仕様・下地材の厚みなどで耐久性や快適性は大きく変わります。「見た目は同じ家でも、10年後の修繕コストが倍違う」──これが現場の実感です。
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2-1. 2025年の坪単価と平均的な建築資材費の相場
注文住宅の総額を決定づける最大の要素が「坪単価」です。この坪単価のうち、材料費(資材費)は**全体の約50〜60%**を占めるのが一般的です。
2025年現在、住宅価格は以下のように推移しています(国土交通省・住宅金融支援機構データより算出)。
構造タイプ | 坪単価(平均) | 材料費割合 | 坪あたり材料費(概算) |
木造(在来工法) | 約70〜90万円 | 約55% | 約38〜50万円 |
木造(2×4・2×6) | 約75〜95万円 | 約60% | 約45〜57万円 |
軽量鉄骨造 | 約90〜110万円 | 約58% | 約52〜64万円 |
鉄筋コンクリート造(RC) | 約110〜140万円 | 約65% | 約71〜91万円 |
例:延床面積35坪の注文住宅(木造)
総額:約2,800万円
材料費:約1,540万円(55%)
人件費・管理費:約1,260万円
📌 まとめポイント
坪単価が上昇しても、材料費と人件費の割合はほぼ固定。地域差(関東・関西・地方)による価格変動は±10%程度。2025年はウッドショック後の反動で木材価格が安定傾向だが、断熱材と金属建材が上昇中。
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2-2. 建物2,000万円で家は建つ?土地あり/土地なし別のケース比較
「2,000万円で注文住宅は建つのか?」という質問は非常に多いです。結論から言えば、土地がある場合は可能、土地なしではやや厳しいというのが現実です。
条件 | 総予算 | 建物に充てられる金額 | 材料費の目安 | 備考 |
土地あり | 約2,000万円 | 約1,900万円 | 約1,050万円前後 | 30〜33坪の木造住宅が目安 |
土地なし | 約3,000〜3,500万円 | 約2,000万円 | 約1,100万円前後 | 土地購入費が別途必要 |
ローコスト系 | 約1,500万円 | 約1,400万円 | 約750万円前後 | 仕様や設備を大幅に絞る必要あり |
🧩 補足
「総額2,000万円以内」を目指すなら、延床面積を30坪以下に抑える設備グレードを標準クラスにする間取りをシンプルな総二階・長方形型にするといった工夫が必要になります。
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2-3. 注文住宅 価格実例|間取りや地域別の材料費シミュレーション
以下は、実際に2024〜2025年に建築された注文住宅の材料費実例です。(データ元:全国ハウスメーカー協会調査)
地域 | 延床面積 | 構造 | 総額 | 材料費 | 特徴 |
広島県 | 34坪 | 木造2×4 | 2,750万円 | 約1,480万円 | 無垢床+外壁サイディング |
岡山県 | 38坪 | 在来木造 | 3,000万円 | 約1,620万円 | 高断熱仕様(UA値0.48) |
東京都 | 32坪 | 軽量鉄骨 | 3,400万円 | 約1,900万円 | 狭小地対応・高耐震構造 |
北海道 | 36坪 | 木造(断熱強化) | 3,200万円 | 約1,800万円 | 高断熱・高気密仕様 |
福岡県 | 40坪 | RC造 | 4,800万円 | 約3,000万円 | デザイン住宅+RC外断熱 |
🏡 実例
分析材料費は「延床面積 × 45〜55万円」が平均値。特に寒冷地・都市部では断熱材・外装材の単価が1.2倍になりやすい傾向があります。
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2-4. 最低いくらで家が建つ?お金がないのに家を建てる工夫・対策
「予算が限られているが、注文住宅を建てたい」──そんな人に向けた、コストダウンと品質維持の両立策を紹介します。
✅ コストを下げる工夫チェックリスト
コスト削減ポイント | 内容 | 注意点 |
間取りをシンプルに | 総二階・四角い形状が最も安価 | 凹凸の多い形は資材と施工費が増える |
内装仕上げを標準仕様に | 無垢→複合フローリングへ変更 | メンテナンス性も比較検討 |
設備のグレードを調整 | ハイグレードキッチン→中級へ | 住宅性能は維持しつつ妥協ラインを設定 |
一括見積りで比較 | 2〜3社の価格・仕様を比較 | 安すぎる会社は注意 |
施工時期をずらす | 需給期(春・秋)を避ける | 繁忙期は人件費も上がる |
💡 プロの実感
「本体価格を安く見せる見積もり」には注意。実際は付帯工事・諸経費・外構費などが抜けており、契約後に100〜300万円の追加費用が発生するケースも少なくありません。
💬 専門家アドバイス
材料費は上がっても、工夫次第で理想の家は建てられる。特に、図面を確定させてから見積もりを取る複数社の「仕様書付き見積もり」で比較金額ではなく「含まれる内容」を精査することで、コストのブレを防げます。

3-1. 材料費の主な項目と標準的な値段(木材・設備・外壁・屋根など)
注文住宅の材料費といっても、その中には多くの要素が含まれています。以下は、2025年時点での**一般的な木造住宅35坪(延床115㎡)**の標準的な内訳イメージです。
項目 | 内容 | 目安金額 | 構成比 |
構造材(柱・梁・合板) | 建物の骨格を支える主要木材 | 約400〜500万円 | 約30% |
外壁材・屋根材 | サイディング・ガルバリウムなど | 約180〜250万円 | 約15% |
内装材 | 床・壁・天井・建具など | 約200万円 | 約13% |
断熱材・防湿材 | グラスウール、発泡ウレタンなど | 約100万円 | 約7% |
サッシ・窓材 | 樹脂サッシ・Low-Eガラスなど | 約80〜120万円 | 約8% |
住宅設備 | キッチン・浴室・トイレ・洗面化粧台 | 約250〜300万円 | 約20% |
塗料・仕上げ・雑材 | 塗装材・下地材・金物 | 約50〜70万円 | 約5% |
合計 | ー | 約1,200〜1,400万円 | 100% |
📌 補足
構造で変わるコスト構成鉄骨住宅では鉄材コストが約30%高くなる傾向。RC住宅は型枠・鉄筋・コンクリートのコストが重く、同規模でも+800万円前後になる。
🧩 ポイント
木材や建材はメーカー・流通ルートによっても差があり、地域工務店よりも大手ハウスメーカーの方が材料原価は安定しています。一方で、工務店は自由度が高く、無垢材や地元産材など“質重視”の施工がしやすい傾向です。
3-2. 人件費・工事費・諸費用との違いと全体コストのバランス
住宅建築の総額を構成するのは、主に以下の3つの費用です。
費用区分 | 主な内容 | 概算割合 | 備考 |
材料費 | 木材・建材・住宅設備・仕上材など | 約50〜60% | 為替・輸入コストで変動 |
人件費(労務費) | 大工・電気・水道・左官・外構などの施工費 | 約25〜30% | 地域・繁忙期で差が大きい |
経費(管理・諸経費) | 現場管理費・事務費・申請費など | 約10〜15% | ハウスメーカーほど高め |
💬 例
総額3,000万円の注文住宅(木造35坪)
材料費:約1,650万円
人件費:約850万円
諸経費:約500万円
バランスが取れた見積もりとは?
→ 材料費が極端に安い場合、「仕様のグレードダウン」や「施工品質の低下」が疑われます。逆に、人件費が高すぎる場合は「重複経費(下請けマージン)」が含まれている可能性もあります。
3-3. 本体工事費以外にかかる別途費用と最新注意点
見積書で見落とされがちなのが、**本体工事以外の“別途費用”**です。特に2025年以降は、省エネ基準義務化(住宅省エネ法改正)により、追加工事・認定費用が増加傾向にあります。
🧾 代表的な別途費用一覧
費用項目 | 内容 | 相場目安 |
外構工事費 | 駐車場・フェンス・門柱など | 100〜250万円 |
地盤改良費 | 軟弱地盤補強工事 | 50〜150万円 |
設計申請費 | 設計・確認申請・各種図面作成費 | 30〜80万円 |
登記・火災保険・諸手数料 | 登記・保証料・印紙代など | 40〜70万円 |
太陽光・蓄電池設備 | 5kW+蓄電12kWh | 150〜300万円 |
長期優良住宅認定・BELS申請 | 省エネ認定関連 | 10〜30万円 |
⚠️ 注意
「コミコミ価格」と言われる見積書でも、これらの外構・登記・保険費用が含まれていないケースが多いです。契約前に「本体工事以外の費用項目一覧」を確認しましょう。
💬 プロ視点のアドバイス
現場経験者コメント材料費は建物の品質を支える“骨格”です。「安いから」といって仕様を落とすと、見えない部分(構造材・断熱・下地)が劣化しやすくなることも。逆に、「価格が高い=高品質」とは限りません。大手メーカーの中には広告費・展示場費を上乗せしているケースもあるため、内容を比較できる“内訳表付き見積書”を必ず取り寄せましょう。
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4-1. 建築コスト増加への対策と効果的な資金計画の立て方
2025年時点で、注文住宅の平均総額は3,500万円前後(全国平均・延床35坪)まで上昇しています。これは、主に材料費と人件費の高騰が影響していますが、計画段階での工夫次第で100〜300万円の差を生むことも可能です。
✅ コスト増を抑える3つの基本戦略
対策 | 内容 | 効果 |
① 仕様の「必要十分化」 | 高グレード設備をすべて採用せず、生活導線重視で選ぶ | 50〜100万円削減 |
② 設計段階でコスト管理 | 建築士と早期に仕様・形状・断熱レベルを確定 | 施工中の追加変更を防ぐ |
③ 工事時期の見極め | 4〜6月や10〜11月などの繁忙期を避ける | 約5〜10%の人件費減少 |
💡 豆知識
「間取りがシンプル=安い」は事実。凹凸が多い家ほど外壁・屋根材の使用量が増え、材料費が10〜15%上昇します。
📋 資金計画の基本構成(35坪・総額3,500万円想定)
区分 | 金額目安 | 割合 |
本体工事費 | 約2,800万円 | 約80% |
付帯工事・諸費用 | 約500万円 | 約15% |
設計・登記・保険等 | 約200万円 | 約5% |
🧮 ポイント
材料費が上がった分は、外構やオプションで調整するのが現実的です。たとえば、外構を後回しにして建物性能を優先する施主も増えています。
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4-2. 住宅ローン・補助金・制度の活用術と注意点
材料費の高騰を吸収するには、制度の賢い利用も重要です。2025年は、国や自治体による「住宅支援制度」が大きく拡充されています。
🏦 主な補助金・減税制度一覧(2025年度版)
制度名 | 内容 | 最大補助額・控除額 |
こどもエコすまい支援事業2025 | 高断熱・高効率設備導入で支援 | 最大100万円 |
ZEH支援事業 | ZEH基準(一次エネ削減75%)達成で | 最大70万円 |
住宅ローン減税(2025年) | 認定住宅で控除期間13年 | 最大455万円 |
長期優良住宅化リフォーム補助金 | 性能向上リフォーム | 最大200万円 |
地方自治体の独自補助 | 太陽光・蓄電池設置など | 地域により10〜50万円 |
📌 注意点
申請は「着工前」でなければ受けられない制度もあります。契約前に建築会社に「対象制度の申請サポートがあるか」確認を。
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4-3. 安くても満足度の高い住まいを建てる工夫・失敗しない選び方
コストを抑えても、満足度を下げないためには「お金の使い方」に優先順位をつけることが大切です。
🏡 満足度を保ちながらコストを抑える3原則
優先順位 | 投資するポイント | 理由 |
1️⃣ | 構造・断熱・耐震性能 | 将来の修繕費・光熱費を減らせる |
2️⃣ | 導線・収納・採光設計 | 住みやすさ・快適性を左右する |
3️⃣ | 設備・内装のグレード調整 | 10年後にリフォームで対応可能 |
✅ NGなコストダウン例
「断熱材を薄くする」「基礎を簡略化」 → 将来的な修繕リスクが増大
「格安業者で一括施工」 → 保証・品質トラブルの原因に
「コミコミ価格の一式契約」 → 見積明細の不透明さに注意
💬 実体験コメント
「建築中にオプションを追加しすぎて予算が膨らんだ」「一式見積で安いと思ったら、外構と照明が含まれていなかった」——このような相談が非常に多い。材料費が高騰する今こそ、**“内訳と根拠を確認する力”**が問われます。
💬 プロ視点のアドバイス
材料費上昇期に家づくりを始めるなら、「契約前に図面・仕様を確定」してから見積もり依頼すること。契約後の変更は単価が高くなるため、事前確定が最も有効な節約策です。また、坪単価の安さより“含まれる範囲”を見ることが、後悔しない家づくりの鉄則です。

5-1. 建築資材不足や世界経済の影響による今後の価格予想
住宅の材料費は、単に国内の建築需要だけでなく、世界的なサプライチェーンに左右されます。2025年時点では、ウッドショック後の供給回復が進む一方、鉄鋼・断熱材・仕上材は依然として高止まりの状況です。
📊 主な資材価格の動向(2020年→2025年比)
資材名 | 2020年比 | 主な原因 | 今後の見通し |
木材(構造材) | +28% | 北米輸出増・円安 | 緩やかに下落(2026〜) |
鉄鋼製品 | +22% | 鉄鉱石価格・中国需要 | 高止まり(当面維持) |
断熱材(発泡系) | +18% | 原油高・輸送費上昇 | 横ばい〜微上昇 |
アルミサッシ | +14% | 電気代・原材料費高 | 緩やかに上昇 |
セメント・外装材 | +10% | 人件費・燃料費上昇 | 横ばい |
📌 補足:2025年の建築トレンド「脱炭素資材」へのシフト(低炭素コンクリート・国産材回帰)再エネ対応住宅の増加(太陽光・断熱材強化)国産材需要の拡大による地域木材市場の価格安定化
国土交通省の「建築資材価格指数」によれば、2024年末から2025年初にかけて、木材と鉄骨材がピークアウト傾向に入りましたが、住宅設備・仕上げ材は依然上昇基調です。
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5-2. 良いタイミングとリスクを抑える注文住宅の計画・発注ポイント
材料費が上下するなかで、いつ建てるべきか──これは施主が最も悩むテーマです。建築コストの“タイミング戦略”を理解すれば、同じ家を100万円以上安く建てられることもあります。
✅ 建築タイミングの判断ポイント
タイミング | メリット | 注意点 |
年度末(1〜3月)契約 | 工務店が決算割引を行う時期 | 着工が集中しやすい(人手不足) |
夏以降(7〜9月)契約 | 材料供給が落ち着く時期 | 気候条件で工期が長引く場合あり |
金利上昇前に契約 | 住宅ローン負担を抑えられる | 値引き交渉は慎重に |
補助金予算開始直後(4月頃) | 申請競争が少なく確実に受給可能 | 制度変更の可能性に注意 |
💬 実務アドバイス
「建築コストが下がるのを待つ」は、あまり現実的ではありません。原材料が下がっても、人件費や法制度(省エネ義務化)によりトータルコストは横ばいになる傾向があります。それよりも、ローン金利・補助金制度・施工スケジュールの三要素を軸にタイミングを判断すべきです。
🧮 シミュレーション例(2025年〜2026年比較)
年度 | 総工費 | 材料費構成 | 金利負担(35年ローン) | 実質コスト |
2025年 | 3,400万円 | 約55%(1,870万円) | 年1.2% | 3,950万円 |
2026年 | 3,350万円 | 約54%(1,810万円) | 年1.6% | 4,050万円 |
→ 材料費が下がっても金利上昇で総支払額は増加。そのため、「金利が低い時期に早めに契約」する方が有利なケースが多いのです。
💬 プロ視点のまとめコメント
現場の声建築資材は「為替」「輸送」「人件費」「制度改正」の4要素で動くため、“安定したタイミング”は存在しません。だからこそ、見積書の中身を理解して交渉・判断できる施主が強いのです。材料費の内訳と市場動向を知ることは、最終的にコストコントロール能力につながります。

6-1. 材料費の理解が家づくり成功の第一歩
2025年の注文住宅は、“材料費が読める施主”が最も強い時代です。同じ3,000万円の家でも、内容を理解して選んだ人と、提示されたまま契約した人では、満足度と品質がまったく違います。
✅ 材料費理解で得られる3つのメリット
メリット | 内容 |
① 適正価格を判断できる | 見積書の根拠を理解できるようになる |
② 無駄な費用を省ける | オプションや仕様を冷静に比較できる |
③ 将来コストを抑えられる | 断熱・耐久性重視で光熱費・修繕費が減る |
💬 専門家の見解
「材料費を知る=節約」ではなく、「適正に払って後悔を防ぐ」ための知識。住宅会社任せにせず、自分で理解することが**“住宅トラブル回避の最強ツール”**です。
6-2. 理想の材料費バランスとは?
材料費は安ければいいわけでも、高ければ満足するわけでもありません。最も重要なのは、**“費用配分のバランス”**です。
🏡 理想的な費用配分の目安(3,000万円住宅の場合)
区分 | 理想配分 | ポイント |
構造材・断熱材 | 約25〜30% | 耐震・省エネ性能の要。削減NG |
外装・屋根・防水 | 約15% | メンテナンス費を左右 |
住宅設備(キッチン・浴室等) | 約20% | 標準グレードで十分満足できる |
内装・仕上げ | 約10〜15% | 住みやすさ・デザイン性に直結 |
諸経費・設計費 | 約10〜15% | 安全管理・保証費含む |
⚖️ バランスの目安構造・断熱はケチらない見える部分(内装)は“将来リフォーム前提”で調整外構・太陽光などは後施工も選択肢
6-3. 将来を見据えた住宅計画のすすめ
家は「今」だけでなく、20年後の自分たちの暮らしを見据えて建てるべきです。材料費は変動しますが、建ててからの維持費や光熱費は“選んだ素材”に大きく影響します。
🌱 将来コストを左右する要素
項目 | コストへの影響 | 対策 |
断熱性能 | 冷暖房費を年間5〜10万円削減 | UA値0.6以下を目安に |
屋根・外壁材 | メンテ周期15年→30年でコスト半減 | フッ素・ガルバ素材を選択 |
床材・建具 | 安価品は摩耗・変形リスク | 無垢材 or 高耐久フロアに投資 |
💬 現場の声
「10年後のメンテ費用」まで見越して選ぶと、結果的に“トータルコストは安くなる”ケースが多い。材料費の“今の価格”にとらわれず、“長期での得”を考える発想が必要です。
💬 プロ視点の最終アドバイス
材料費は「削る」ではなく「理解して使う」が鉄則。見積書の“内訳と根拠”を読み解ければ、無駄も不安も激減する。家づくりの本質は「価格」ではなく「暮らしの質」。値上がりの時代だからこそ、“知識で守る家づくり”を意識しましょう。
経済産業省 資源エネルギー庁(2024)「エネルギー価格動向調査(原油・電力・ガス)」
┗ 原油価格の上昇が建築資材・断熱材価格に与える影響の根拠資料。
日本木材輸出振興協会(2024)「ウッドショック後の木材需給と価格安定に関する報告」
┗ ウッドショック後の木材流通の安定化・国産材価格推移を解説。
日本建設業連合会(日建連)資料(2024)「建設資材高騰の影響と対策」
┗ 建設業全体における材料費・人件費・工期への影響を分析した報告。
株式会社リクルート SUUMOジャーナル(2025)「注文住宅トレンド調査2025」
┗ 全国平均の坪単価や住宅購入者アンケートによる材料費・仕様選定傾向を反映。
┗ 地域別の住宅価格相場および建築費構成データを参照。
日本住宅保証検査機構(JIO)(2024)「住宅品質とコストに関する分析レポート」
┗ 構造・断熱・設備仕様の違いによる長期コスト比較を根拠に採用。
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